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吉本 |
はじめまして、吉本です。 |
森 |
はじめまして、森と申します。
きょうはよろしくお願いします。 |
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吉本 |
こちらこそです。
そもそもは森さんのこの本、
『身近な雑草のふしぎ』を読んで、
ぜひ今回の先生にとお願いしたわけですから。 |
森 |
ありがとうございます、恐縮です。 |
吉本 |
読ませていただきました。
植物の情報だけじゃなくて、
森さんのエッセイがひとつずつに書いてあって‥‥
やさしいですよね、植物に(笑)。 |
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森 |
そうでしょうか(笑)。 |
吉本 |
わたしもやさしいほうだと思ってたけど、
「負けたー」って思ったところが
何カ所もありました。 |
森 |
いえいえ! そんな、恥ずかしいです。 |
吉本 |
「この本を書いたかたとなら、
きっといいみちくさになりますよ」って、
ほぼ日の人が教えてくれたんです。 |
森 |
そうでしたか、ありがとうございます。 |
吉本 |
どんな人なんだろう?って
ちょっとドキドキしてたんですけど‥‥
よかった、やさしそうな先生で(笑)。 |
森 |
いや(笑)、もう、なんだか光栄です。
とてもたのしみにしてやってきました。 |
吉本 |
わたしもです。
久しぶりの「みちくさ」だし。
それにこのお天気! |
森 |
そうですねえ。
ほんとに好天に恵まれました。 |
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吉本 |
滅多にない。
もう、最近はずーっと寒かったでしょ?
きょうもどうせ雨なんだろうなあと思ってたら、
ねえ? 奇跡的に。
(寒さが続いていた4月中旬の取材でした) |
森 |
奇跡的に。 |
吉本 |
人も草も、みんなが一斉に、
パアッと顔を出したーって感じですよね。 |
森 |
草木たちが、元気でかわいらしいこと
このうえないです。 |
吉本 |
森さんは、ふだんどういう暮らしぶりなんですか?
やっぱり植物にかこまれて? |
森 |
そうですね、主に近所を歩いては
植物や動物を調査して、
それをこうした本にまとめるような感じです。 |
吉本 |
近所というのは、どのあたりを? |
森 |
埼玉県の坂戸市といいまして、
川越よりちょっと奥に行ったところで、
そのあたりはまだ古い里山なんです。
ちょうど、うちの近所に
武者小路実篤さんが作られた
「新しき村」っていう場所がありまして、
子どものころからそこが遊び場だったんですよ。 |
吉本 |
「新しき村」、聞いたことがあります。 |
森 |
そこにはいろんな宝物が埋まってるんですよ。 |
吉本 |
宝物? |
森 |
植物とか生き物が。 |
吉本 |
あー。 |
森 |
この時期になりますともう、うわーっと出てきて、
里山がほころぶような感じで。 |
吉本 |
いいですねえ。 |
森 |
美しいです。
そこを拠点に活動しているのが、
まあ、ふだんの暮らしぶりになります。
それと、妻がガーデナーで、
近くにハーブガーデンがあるんです。 |
吉本 |
ハーブガーデン。 |
森 |
公園の中にあるハーブガーデンなんですが、
そこでボランティアさんも含めて
みんなでわいわいやりながら作業をしたり。 |
吉本 |
ほんとにたのしそう。 |
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森 |
そうですね、こんなに幸せでいいのだろうか?
と思うくらい、生き物と植物に囲まれています。 |
吉本 |
うらやましい‥‥。
この本、『身近な雑草のふしぎ』は、
どういうきっかけで
出版されることになったんですか? |
森 |
もう7、8年前になりますでしょうか。
ぼくもやっぱり、
植物のことを覚えたいと思うようになったんです。
とくに、道ばたや庭先にはえてる
身近な植物たちのことを。
まずは名前だけでも知りたくて。 |
吉本 |
最初の動機は、わたしたちといっしょ(笑)。 |
森 |
そうなんですよ(笑)。
で、いろんなトピックを集めたり、
観察したことをメモしていたんです。
これをいつか本にできたらいいかなあ、
そんなことがあるわけないよなあ、
なんて思いながら続けてましたら‥‥。 |
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吉本 |
うん。 |
森 |
なっちゃったんです、本に。 |
吉本 |
よかったですねえ! |
森 |
びっくりしました。
ほんとに夢が叶ったっていうか、はい。 |
吉本 |
雑草の本はいろいろあるんですけど、
森さんの本は、あの、説明がすごく長い。 |
森 |
(笑) |
吉本 |
読み物になっているからすごくありがたいんです。
図鑑は便利だけど、
読み物としてはちょっと物足りないですよね。
その点この本は「あー、なるほどー」
って思いながらたっぷり読んで、
次のページの別な植物につながっていくの。 |
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森 |
ありがとうございます。 |
吉本 |
たのしいですよね、身近な植物。 |
森 |
はい。庭園をつくっていると、
どうしてもまぎれ込んでくるんですよ。
「この人(植物)、何してるんだろう?」
っていうのが興味のポイントでした。 |
吉本 |
ほんと、どうして急に来るんだろうとか。 |
森 |
そうなんです。 |
吉本 |
どっから来たの?
去年は来たのに今年は来ない、
っていうこともあるでしょ? |
森 |
ありますねー。 |
吉本 |
あれは不思議ですよねー。
──ハナニラってあるでしょ? |
森 |
はい、ハナニラ。 |
吉本 |
あれがそうなんです、ビックリ仰天なの。 |
森 |
あれ、来ましたか。 |
吉本 |
前までうちの庭にぜんぜんいなかったんですよ。
それが、もう、すっごいの! |
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森 |
ほんと、不思議ですよねー。 |
─── |
あのぉ、横からすみません、
せっかくのお天気なので、ぼちぼち‥‥。 |
森 |
あ、ごめんなさい、
そうですね、そろそろ出かけないと。 |
吉本 |
つい、お話がおもしろくて(笑)。 |
─── |
きょうはこれから江ノ電に乗って、
極楽寺で降りまして、
そこからの「みちくさ」になります。 |
森 |
実はぼく、生まれと育ちが鎌倉なんです。 |
吉本 |
え? そうなんですか? |
森 |
はい、北鎌倉ですけど。 |
吉本 |
それはまたすごい偶然!
ますます「みちくさ」がたのしみ。
じゃあ、出かけましょうか。 |
森 |
ええ、まいりましょう。 |
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