「春の鎌倉でみちくさ」編  今回の先生/森昭彦さん プロフィールはこちら
番外編 どうぶつの名前。 〜吉本由美さんの新刊をご紹介〜
2010年4月中旬のとある火曜日。
天気は、晴れ。
快晴です。
シリーズ4回目にしてはじめて、
青空の下での「みちくさ」になりました。

今回、先生にお招きしたのは、
サイエンス・ジャーナリストの森昭彦さん。
植物や動物の調査と執筆をされているかたです。

午前10時に江ノ電・鎌倉駅で待ち合わせた
吉本さんと森さんは、そのまま駅前の喫茶店へ。
まずは「はじめまして」のご挨拶とおしゃべりを少々。

春の鎌倉の「みちくさ」に出かける前の、
プロローグとしてお読みください。

吉本 はじめまして、吉本です。
はじめまして、森と申します。
きょうはよろしくお願いします。

吉本 こちらこそです。
そもそもは森さんのこの本、
『身近な雑草のふしぎ』を読んで、
ぜひ今回の先生にとお願いしたわけですから。
ありがとうございます、恐縮です。
吉本 読ませていただきました。
植物の情報だけじゃなくて、
森さんのエッセイがひとつずつに書いてあって‥‥
やさしいですよね、植物に(笑)。

そうでしょうか(笑)。
吉本 わたしもやさしいほうだと思ってたけど、
「負けたー」って思ったところが
何カ所もありました。
いえいえ! そんな、恥ずかしいです。
吉本 「この本を書いたかたとなら、
 きっといいみちくさになりますよ」って、
ほぼ日の人が教えてくれたんです。
そうでしたか、ありがとうございます。
吉本 どんな人なんだろう?って
ちょっとドキドキしてたんですけど‥‥
よかった、やさしそうな先生で(笑)。
いや(笑)、もう、なんだか光栄です。
とてもたのしみにしてやってきました。
吉本 わたしもです。
久しぶりの「みちくさ」だし。
それにこのお天気!
そうですねえ。
ほんとに好天に恵まれました。

吉本 滅多にない。
もう、最近はずーっと寒かったでしょ?
きょうもどうせ雨なんだろうなあと思ってたら、
ねえ? 奇跡的に。
(寒さが続いていた4月中旬の取材でした)
奇跡的に。
吉本 人も草も、みんなが一斉に、
パアッと顔を出したーって感じですよね。
草木たちが、元気でかわいらしいこと
このうえないです。
吉本 森さんは、ふだんどういう暮らしぶりなんですか?
やっぱり植物にかこまれて?
そうですね、主に近所を歩いては
植物や動物を調査して、
それをこうした本にまとめるような感じです。
吉本 近所というのは、どのあたりを?
埼玉県の坂戸市といいまして、
川越よりちょっと奥に行ったところで、
そのあたりはまだ古い里山なんです。
ちょうど、うちの近所に
武者小路実篤さんが作られた
「新しき村」っていう場所がありまして、
子どものころからそこが遊び場だったんですよ。
吉本 「新しき村」、聞いたことがあります。
そこにはいろんな宝物が埋まってるんですよ。
吉本 宝物?
植物とか生き物が。
吉本 あー。
この時期になりますともう、うわーっと出てきて、
里山がほころぶような感じで。
吉本 いいですねえ。
美しいです。
そこを拠点に活動しているのが、
まあ、ふだんの暮らしぶりになります。
それと、妻がガーデナーで、
近くにハーブガーデンがあるんです。
吉本 ハーブガーデン。
公園の中にあるハーブガーデンなんですが、
そこでボランティアさんも含めて
みんなでわいわいやりながら作業をしたり。
吉本 ほんとにたのしそう。

そうですね、こんなに幸せでいいのだろうか?
と思うくらい、生き物と植物に囲まれています。
吉本 うらやましい‥‥。
この本、『身近な雑草のふしぎ』は、
どういうきっかけで
出版されることになったんですか?
もう7、8年前になりますでしょうか。
ぼくもやっぱり、
植物のことを覚えたいと思うようになったんです。
とくに、道ばたや庭先にはえてる
身近な植物たちのことを。
まずは名前だけでも知りたくて。
吉本 最初の動機は、わたしたちといっしょ(笑)。
そうなんですよ(笑)。
で、いろんなトピックを集めたり、
観察したことをメモしていたんです。
これをいつか本にできたらいいかなあ、
そんなことがあるわけないよなあ、
なんて思いながら続けてましたら‥‥。

吉本 うん。
なっちゃったんです、本に。
吉本 よかったですねえ!
びっくりしました。
ほんとに夢が叶ったっていうか、はい。
吉本 雑草の本はいろいろあるんですけど、
森さんの本は、あの、説明がすごく長い。
(笑)
吉本 読み物になっているからすごくありがたいんです。
図鑑は便利だけど、
読み物としてはちょっと物足りないですよね。
その点この本は「あー、なるほどー」
って思いながらたっぷり読んで、
次のページの別な植物につながっていくの。

ありがとうございます。
吉本 たのしいですよね、身近な植物。
はい。庭園をつくっていると、
どうしてもまぎれ込んでくるんですよ。
「この人(植物)、何してるんだろう?」
っていうのが興味のポイントでした。
吉本 ほんと、どうして急に来るんだろうとか。
そうなんです。
吉本 どっから来たの?
去年は来たのに今年は来ない、
っていうこともあるでしょ?
ありますねー。
吉本 あれは不思議ですよねー。
──ハナニラってあるでしょ?
はい、ハナニラ。
吉本 あれがそうなんです、ビックリ仰天なの。
あれ、来ましたか。
吉本 前までうちの庭にぜんぜんいなかったんですよ。
それが、もう、すっごいの!

ほんと、不思議ですよねー。
─── あのぉ、横からすみません、
せっかくのお天気なので、ぼちぼち‥‥。
あ、ごめんなさい、
そうですね、そろそろ出かけないと。
吉本 つい、お話がおもしろくて(笑)。
─── きょうはこれから江ノ電に乗って、
極楽寺で降りまして、
そこからの「みちくさ」になります。
実はぼく、生まれと育ちが鎌倉なんです。
吉本 え? そうなんですか?
はい、北鎌倉ですけど。
吉本 それはまたすごい偶然!
ますます「みちくさ」がたのしみ。
じゃあ、出かけましょうか。
ええ、まいりましょう。
今回ご協力いただいた喫茶店
『自家焙煎珈琲 ヲガタ』

神奈川県鎌倉市御成町11-3
営業時間/9:00-19:00
お休み/木(第1、第3、第5)
お店について、詳しくはこちらからどうぞ。

 
2010-05-14-FRI
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