糸井 |
「飽きないですか?」って、
はなからそういう言い方は変ですけれど、
‥‥飽きないですか? |
皆川 |
飽きないですね。
多分、糸井さんが、
「『ほぼ日』(手帳)は、
ちょっとずつ変わっていって」
とおっしゃっていたように、
意外ときりなく発見がありますよね。
だから、意外と自分の人生の持ち時間では
飽きずにやれるかなぁなんて思うんですよね。 |
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糸井 |
頼まれ仕事じゃないことをやっていくおもしろさ? |
皆川 |
そうですね。
それはありますね。
どんなふうに受け取ってもらえるかなぁとか。
頼まれてやると、
出来上がりが頼んだ方の思い通りに、
って感じですけど、
「喜んでくれるかな?」って作るのは、
すごく楽しいなと思います。
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糸井 |
皆川さんのお作りになるもの、
例えば、今年のこの絵でも、
(sonataシリーズ)
元の絵っていうのは、
ササッと、指で描いてるような。 |
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皆川 |
これは指で描いてるんです。
絵の具を指に付けて、
全部人差し指で描いてるんですけどね。 |
糸井 |
指で描いた、その1輪の花を
重ねていってるわけですよね。 |
皆川 |
はい。 |
糸井 |
もしこれが、なんだか偉そうな人から
「皆川君、お願いね」って頼まれて、
指で描いてるところを見られたら‥‥。
重ねていくつも描いてるのかと思ったら、
1つの絵を重ねていた、みたいなのを見てたら、
「なんかずいぶん君は僕の仕事を簡単にやってる」と。
僕なんかも、よく言われたことがあるんですけどね、
コピー1行の話ですから。 |
皆川 |
(笑) |
糸井 |
夜中に眠れないでウンウン腕組みして、
それこそ血反吐を吐くようにしてやった仕事だけが
認められるみたいな、
そういうことが頼まれ仕事だとあるんですけど、
自分が「OK!」っていう仕事は
どんなふうにしてもいいわけですよね。 |
皆川 |
そうですね。なんかこれも
土いじりするみたいに、
やっぱり楽しく。 |
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糸井 |
苦労の跡が見えない楽しさっていうのは、
やっぱり自分の仕事ならではですよね。 |
皆川 |
そうかもしれないですね。 |
糸井 |
去年もお花が中心だったですけど、
今年もお花で。
もう1個、これ(meets)はね、
皆川さんの指定が、ある意味むずかしくてね、
けっこう、試作の段階で
じたばたしたものなんですけど。 |
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皆川 |
そうでしたね。 |
糸井 |
僕が手に触れてる無地の場所が──。 |
皆川 |
リネンですね。 |
糸井 |
多分これ、使っていくと、
自分の癖がついていって、
軽い弛みだとか汚れだとか、
ついてきますよね。 |
皆川 |
そうですね。このざっくりしたリネンの
「ほぼ日」さんのカバーっていうのを、
作ってみたいなっていうのがもともとあって。
じゃあ、それに合う加工は
どんなのかなぁと思った時に、
相良刺繍って、
タオルのパイルのように刺してある
刺繍をえらびました。
それで花と蝶々が
出会ってる瞬間っていうところで
「meets」という名前にしたんです。 |
糸井 |
これ、蝶々なんですけど、
あるとないじゃまた大違いなんですよね。
この微妙なところで、
皆川さんがどこかでひとり
ジャッジしてる感じっていうのが、
多分僕らにも通じて、
苦労じゃなくて楽しみがこう、
共感できるっていうか。 |
皆川 |
はい。 |
糸井 |
皆川さんのやってる仕事って、僕は、
「あ、できた!」って言ってる皆川さんが
見えるようになった、最近。 |
皆川 |
そう、僕はできあがると、
会社の中でみんなに、
「新しいのができた!」
って言って見せたくなるんです。 |
糸井 |
あ、やっぱり! |
皆川 |
はい(笑)。 |
糸井 |
理屈で言う答えっていうのは
いくらでも言えるんですけど、
そうは言っても本当に
「できた!」って言える時って、
なかなかやってこないわけで。 |
皆川 |
そうですね。 |
糸井 |
できた時はうれしいですよね。 |
皆川 |
うれしいですね。
(つづきます) |