詩画集『せんはうたう』は、
美術家の望月通陽さんが描いた線画に、
詩人の谷川俊太郎さんが詩を添えた、詩画集。
やわらかな佇まいの本ながら、
読みはじめると、あちこちで胸をつかまれる、
すみずみまで気持ちをこめられた一冊です。
こちらの『せんはうたう』、
絵と詩のすばらしさはもちろんなのですが、
その内容を活かすように、
造本にも非常にこだわって作られています。
手にとって眺めるとよくわかるのですが、
本の1ページ1ページがすべて袋とじになっていたり、
箱の端がギザギザとした変わった形だったり、
「フランス装」という、表紙が本を包むように
折り返されている仕様になっていたりと、
細部まで、たいへん多くの工夫を
見つけることができます。
そして、
この本の製本を担当しているのが「美篶堂」さん。
出版本である「ゆめある舎」の谷川恵さんの
『すばらしい絵とすばらしい詩の作品なので、
製本は美篶堂さん以外にお願いすることは
考えられませんでした』
という思いをきっかけに、
何千冊という本が、美篶堂のみなさんによる
手製本で作られています。
とはいえ、この本ならではの独自の工夫が多いため、
美篶堂の上島明子さんがきっぱりと
「ここまで複雑なのは、手製本でないと作れないです」
とおっしゃる本でもあります。
「美篶堂ショップ TOBICHI出張所 vol.2」では
そんな『せんはうたう』ができるまでの過程を、
製本段階のものを行程順に展示。
製本に使われた道具などもご紹介します。
(17、18日の製本ワークショップ開催中の時間帯は
ご覧いただくことができません。
あらかじめご了承ください。
また、一部、触っていただける展示も
ご用意する予定です)
製本以外にも、青のインクを3つ混ぜて
表紙の色を作り上げていたり、
「表紙の紙を折る作業」などを
障害者の就労継続支援事業所の人たちの力を借りたり、
できあがるまでに
たくさんの時間と人の手がかけられている本です。
「本」というものじたいに興味があるかたに、
とくにおもしろい展示になりそうです。
よければどうぞ、お立ち寄りください。 |