糸井 |
『Wii Fit』は、あきらかに
これまでのゲームとは違うものですけど、
『マリオギャラクシー』も
そうとう新しいことをやってますよね。
ぼくは、何日かやっただけなんですけど、
そうとう「ワー、キャー」言いましたから。
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宮本 |
(笑) |
糸井 |
前だの後ろだの、上だの下だのということで
あんなにおもしろがれるとは思わなかったです。
あの重力をテーマにした遊びは、
完全に未体験ゾーンでしたよ。
自分のこれまでの世界というのが
いかに狭いものだったかというのを
ゲームをつくっている人に
教えられた気がしました。 |
宮本 |
ああ、ありがとうございます。 |
糸井 |
「重力」というのは、宮本さんが
自分から出したテーマだったんですか。 |
宮本 |
そうです。 |
糸井 |
ゲームの最初に、丸いもののなかへ
ヒューッと落っこちるじゃないですか。
それで向こう側に行って、
大丈夫だってわかったときに、
ものすごくインパクトがあった。 |
宮本 |
あ、うれしいな、それは(笑)。
ぼくはそこを、『マリオギャラクシー』の
「つかみ」として入れたつもりなんですよ。
あそこで最初に驚いてもらって、
新しい世界に来たぞ、というふうに
感じてもらいたかったんです。
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糸井 |
いや、ばっちりつかまれましたよ、ぼくは。 |
宮本 |
いいお客さんです(笑)。 |
糸井 |
だって、あんなことって、
ふつうはあり得ないことだからね。 |
宮本 |
ねえ。もうシュールレアリズムの域ですよ。 |
糸井 |
あれを最初に1回やっちゃったおかげで、
その後のいろんな理不尽に対しても、
「あれをやったんだから」って、
許せるようになるわけだし。 |
宮本 |
ああ、さらにいいお客さんだ!
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糸井 |
だからね、ぼくはあれをやりながら、
「これを思いついた人は、
いったいどうやってそれを
ほかの人に説明したんだろう」
って考え込んじゃったんです。 |
宮本 |
ああ、なるほど(笑)。 |
糸井 |
仕様を書いてあの驚きが伝わるかというと
そうじゃないと思うんですよね。
「落ちても、こっちが足になる状態で‥‥」
って、口で説明したとしても
「え? もう一回言ってください」
ってなるような話でしょう? |
宮本 |
そうなんですよね。 |
糸井 |
しかも、ひとつの球体で、
ひとつのステージであるともいえるし、
上下で分かれてたら
ふたつのステージだともいえるし。 |
宮本 |
6面体だったら6ステージできますし。 |
糸井 |
そういうことですね。
そんな3次元的な発想をね、みんなが理解して、
チームで動いてるんだと思ったら、
それだけでもう、かなり感動的で。
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宮本 |
どういうふうに伝えたかというと、
最初に基本モデルをつくってもらうんです。
で、みんなはそれを見ながら理解していく。 |
糸井 |
基本モデルというのは
具体的にはどういうものなんですか。 |
宮本 |
ようするに、球面の上を、
マリオがぞろぞろ走ってるみたいなものです。
昔、ゲームキューブのプレゼン用につくった
『マリオ128』っていうデモソフトに近いもので。
それを触った人は、ある程度納得できる。 |
糸井 |
ああ、そうか、そうか。
じゃあ、実際に触ってもらって、
納得してもらうところからはじめるというか。 |
宮本 |
うん。そういう感じですね。
球体の上をぞろぞろマリオが歩いてて、
その球体に穴があいていると、
マリオがぞろぞろと球体のなかに入っていく。
それを動かしながら、「あ、こういうことか」と。
それを見てさらに誰かが広げてくれる。 |
糸井 |
つまりチームの感性を最初に鍛えるんだ。 |
宮本 |
そうでしょうね。 |
糸井 |
ずっと昔から、宮本さんはそれをやってますよね。 |
宮本 |
自分がそうやって積み上げてきたものですからね。
2次元のマップ上でやってたときのアイデアや、
自分の感じるおもしろさというのを
どうやってここに入れていったらいいかなという。
そのあたりは、つくって、触りながら、
ちょっとずつ積み上げていくという感じで。
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糸井 |
なるほどねー。
(続きます)
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