鈴木 |
糸井さんとこは絡みあってるからなー。
下町と山の手がさー。 |
糸井 |
慶一くんとこだってそうだよ。
大森の下町と、大森の山の手が絡み合ってる(笑)。 |
渡辺 |
シャネルズは大森ですもんね。 |
糸井 |
俺、羽田近辺の女の子と付き合ったことあんだけど、
よかったよー、スリリングで。
もう、わかんないの、動きが。
急ブレーキ、急カーブ、急発進!
昨日と違うじゃーん、みたいな毎日。 |
鈴木 |
それ中学入って感じましたよ。
・・・氷屋さんの娘じゃないだろうな・・・ |
糸井 |
やっぱり? |
鈴木 |
工業地帯から来てるわけだよね、わたしなんかは。
片や羽田は漁師町から来るわけだ。
何するかわかんないのよ。
手裏剣投げられたりさー、
今日と明日で考え方違うというかさー、
昨日言ってたことと違うじゃん!
とか、こないだまで、いたヤツがいなく なる。
鑑別所送り。 |
糸井 |
そんなの(羽田あたりじゃ)常識よ。 |
鈴木 |
常識常識(笑)。
でも、あれカルチャーショックだったなあ。 |
糸井 |
そうかー。
地元にいながらにしてカルチャーショックだったんだ。 |
鈴木 |
そう。羽田の奥の方は、
工業地帯的考え方じゃないんだなー。
なんていうのかなー、朝8時に行って、5時に帰る、
ナイン・トゥ・ファイヴ じゃないんだよ。
8時ってのが労働者ってもんでしょ。
昼休み1時間は労働時 間にはいらない、
というようなものがあんまりないんだよ。
ほんとバクチ打ちばっかなんだもんねー。 |
糸井 |
思えば、第一次産業と第二次産業の
マージナルな場所じゃない。
境界線。 |
鈴木 |
そう。実に。 |
糸井 |
第二次産業と第三次産業のマージナルな場所が
いまのワサワサを作ってるんだね、きっと。 |
鈴木 |
それどこなんだろう? |
糸井 |
たとえば町田とか。 |
鈴木 |
所沢とか。
そういう16号線沿い的なところかな。 |
糸井 |
たっぷり工場はあるんだけど、
それがこのまま(工場地帯)じゃいけなくて、
新興住宅地ができて、多摩とかさー。 |
鈴木 |
町田って面白いよ。 |
糸井 |
やっぱり? |
鈴木 |
駅も変だし・・・
変っていうか、強引に作った感じがするんだよ(笑)。
町田にリス園っていうのがあるんだよ。 |
渡辺 |
ありますよー。
僕地元なんですよ。相模原ですけど。 |
鈴木 |
相模原に僕の地元の工場がほとんど移転したんですよ。
だから、中学の同級生はみんな相模原へ行っちゃった。 |
渡辺 |
リス園はありますよ。
うちの子供は遠足で行ってましたもん。 |
鈴木 |
そこ(リス園)はねえ、
リスの量たるや尋常じゃない。 |
糸井 |
(笑)大量のリス!? |
鈴木 |
リス用の手袋をしなくちゃいけないんだけど・・・ |
糸井 |
噛まれないように。 |
鈴木 |
そう、噛まれないように。
そんで、えさをやる。 |
糸井 |
たとえば、喧嘩がそうじゃない。
町田と言えば、暴走族がパラパラパパッー
って言ってるところじゃない、昔から。 |
渡辺 |
あそこは“町田・相模原連合”ですからね。 |
糸井 |
なぜ喧嘩が起こるのかというと、
同じ価値観を持っていない人が
その地域にいるからなんですよ。
つまり、工業社会の価値観と
農業社会の価値観がぶつかって
そこにさらに情報社会の価値観がぶつかって、
3つの価値観が並列に並ぶから
許せないんだよ、きっと。 |
渡辺 |
並列に同級生にいるからね。 |
鈴木 |
そう。
だから、ほんとに喧嘩が絶えない。
毎日、血が流れる。
だって、漁業でしょ、工業でしょ、
さらに工業の情報ものでしょ、
さらにあるスチュワーデスの学校でしょ、
なーんていうものすごい絡みあいをしているわけよ。
スチュワーデスの学校は子供が来るわけじゃないけど、
そういうのを横目で見つつ・・・・
しかも、スチュワーデスが交通事故で
亡くなった交差点ってのが、
長きに渡って語り継がれる。
なんで、夜中に一人で歩いてたんだろう、なんてね。
あと、運河に死体が浮いてて、
ちょっと離れた場所で、
ワニが発見されたりしたんだよ、
関連性は疑問だけども。 |
糸井 |
スチュワーデスが学校に来たりして(笑)。
“ランドセルをしょったスチュワーデス”(笑) |
渡辺 |
(笑)なんかいまのゾクッとしましたねえ。 |
鈴木 |
(笑)それ見てみたいねえ。 |
糸井 |
給食の時間はエプロンしてるの(笑)。
小さいスチュワーデスいいわー(笑)。
みんな子供が親と同じ格好してたら面白いね(笑)。
大工の子供は大工の格好してるの。 |
鈴木 |
“大工っ子”(笑) |
糸井 |
思えば、カウボーイなんてそうだよなー。
後に作ったもの(後の時代にできた職業)は
そういうのがないんだなー。 |
鈴木 |
落語家の息子は落語家の格好したりして。 |
糸井 |
和服で、「どうもどうも」とか言って(笑)。
小学生が。 |
渡辺 |
「これはまた、どうも」なんて(笑)。
「せんせい、授業お上手!」なんて言ったりして。 |
糸井 |
いまは、工業社会の行き詰まりのところに
新しく情報社会のストレスが出てきて、
このままでいいべか、っていう状態が
あっちこちで起っているから、
どこも面白いんですよ。
居づらいし。 |
鈴木 |
居づらいから面白いんですよね。
ちょっとタフじゃないといられない。 |
糸井 |
俺、あんまよく知らないけど、
フランスはいま、元々のフランス人と、
その後移民してきたフランス人と、
最近やってきたフランス人と3分の1ずつなんだって。 |
鈴木 |
いいバランスじゃない(笑)。 |
糸井 |
ものすごいんだって。
もうねえ、えらいことになってるらしいよ、
フランスはいま。
サッカーのフランス代表とかいって、
黒人いっぱいいるじゃん。 |
鈴木 |
そうだねー。 |
糸井 |
あれ、いまふつうらしいよ。 |
鈴木 |
(ヨーロッパ系の名前じゃないから)
名前読めない人いっぱいいるよね。
民族離散じゃなくて拡散。 |
渡辺 |
アフリカ系の人が多くなってるようですね。 |
糸井 |
(フランスに)オランダの人が入ってきてる時代が
あったじゃない。
エマニエル夫人のように。
あんな農業国に3種類の人がいて、
ごちゃごちゃなんだって。
たぶんこれからはどこもそうなるんだよね。
日本もね。 |
鈴木 |
人種的にはまだなってないけどね。
工業とか、産業とかって考えると
日本も層が分かれてきてるね。 |
糸井 |
そうね。 |
鈴木 |
あっそう言えば、10年くらい前に俺実家帰ったとき、
びっくりしちゃったんだよ。
あんまり黒い肌の人が多いんで。 |
糸井 |
ほおー。 |
鈴木 |
パキスタンとか、そっちの方の人が多いんで、
たまげたけど。
そしたら、またすっとその人たちが
いなくなっちゃったんだけど。
どんどんいなくなったり、入ってきたりするわけ。
黒磯とかはブラジル人が多いでしょ。
大田区の海側は、東京の大ローカル。 |
糸井 |
イラン人とゆっくり話したことって
誰もないでしょ。
俺ねえ、それやりたいのよ。
“イラン人とゆっくり話す”
だーれもちゃんと彼らの話を聞いたことないんだもん。 |
鈴木 |
“イラン人”ってイメージはあるけどね。 |
渡辺 |
イラン人のサンコンさんみたいな人いないですね。 |
糸井 |
いないんだよ。
だから、イスラムってまた特別なんだと思うんだよ。 |
鈴木 |
イスラムの人とじっくり話す? |
糸井 |
うん。で、いまイスラムって思想的に面白いなあ、
って思ってるから、
つまり、戒律中心じゃないですか。
戒律中心だからこそもっていた、
あの大量の人の数。
興味あるよねー。 |
渡辺 |
いま、都内にいっぱいモスクができてるんですよ。
彼らはモスクがないと
生きていけないわけですよ、基本的に。
だって、朝(モスクに)行って、
朝ごはんそこで食っちゃうんですから。
で、昼はまた仕事場からモスクに行って、
モスクでお昼ごはんを食べる、
っていう生活が本来の生活だから、
モスクがないとほんとはやっていけない。
そのことに気付いた在日の長い人が
少しずつモスクを作りはじめているんだけど、
モスクを作るって言ったって、
壮麗な建築はできないから、
マンションとかにモスクを作っちゃうわけですよ。
「この部屋はモスク」っていう部屋ができてるの。 |
鈴木 |
それ見たことある。
“モスク部室”ね。 |
渡辺 |
そういうのがいっぱいあるらしいですよ。 |
糸井 |
“渡辺モスク”(笑) |
渡辺 |
ダジャレです、それは!(笑)
(この回、了) |