愛と言うには  ちょっと足りない。  『モテキ』をめぐる、とても自由な座談会。

第1回 久保さん、城に立てこもる。

糸井 あ、ええと‥‥
もしかして、あなたが久保ミツロウさん?
ハマケン いやいやいや。
一同 (笑)
糸井 ええー?
久保 久保です。
よろしくお願いします。
糸井 いやあー、そうですか。
久保 はじめまして。
糸井 はじめまして、よろしくお願いします。
で、森山未來さん。
舞台でいつも拝見しています。
森山 ありがとうございます。
よろしくお願いします。
糸井 こちらこそ。
‥‥せんせぇー、オム先生ー。
ハマケン はははは、よろしくお願いします。
糸井 いい役もらっちゃってぇ。
ハマケン ははははは。
糸井 オム先生、いいよねー。
久保 ビジュアル最高ですよね。

オム先生の衣装合わせをするハマケンさん。
(C)TV TOKYO Corporation
ハマケン でも、ぼくまだなんにもやってないんですよね。
撮影もしてないんです。
(座談会収録時、ハマケンさんは
 まだ撮影に入っていませんでした)
糸井 そうなんだ。
ハマケン なんか、役づくりの期間が長くて、
もんもんとしてます。
一同 (笑)
糸井 その、もんもんとした感じがもう‥‥。
森山 オム先生っぽい。
糸井 そうそう(笑)。
‥‥いやぁ、おもしろいねぇ、
おもしろいことになりました。
久保 読んでくださって、
ほんとにありがとうございます。
糸井 おもしろかったぁ、
おもしろかったです。
久保 まさか、でした。
なぜ糸井さんが読んでるのか、
さっぱりわからなかったんですけど。
糸井 テレビ東京の人のおかげです。
メールで教えてくださったんですよ。
「今度ドラマ化するマンガがおもしろいです」と。
久保 あ、そうだったんですか。
なんか‥‥こう言うとあれですけど、
私のマンガと糸井さんに、
接点があるのかな? って思って(笑)。
糸井 そうですね、連載では読んでないですから、
教えてもらわなかったら
知らないままでしたよね、きっと。
久保 知ってくださってありがとうございます。
このたび運良くドラマ化になりました。
糸井 たのしみです、はやく観たい。
久保 監督が大根仁さんで、
わたしはまずそれがうれしくて。
糸井 ファンだったんですね。
久保 大ファンで、
ものすごく影響を受けた人です。
糸井 なるほど、ますますたのしみです。
──じゃあ、さっそくなんですけど、
久保さん。
久保 あ、はい‥‥。
糸井 久保さんご本人が4巻で終わりにすると
はっきりとおっしゃっているのに、
読者は「もっと読みたい」と
言ってるらしいんですよ、あちこちで。
久保 ああー。
糸井 ぼくも「これで終わりかぁ、さみしい」って
どこかに書きました。
そしたら出版社の人から、
「わたしたちもそう思うんですけど
 作者の意向を尊重して終了になりました」
というメールが来ました。
久保 はい。
糸井 「そうですよね」って、ぼくは返事をしました。
久保 うーーん‥‥。
糸井 「もっと読みたいけど、仕方ないですね」と。
久保 ‥‥‥‥いや、あの、でも‥‥。
糸井 はい。
久保 ‥‥わたしの気持ちなんか、
どうせみんなにはわかりませんよ。
一同 (しばし間があって、爆笑)
久保 わかってたまるもんですか。
一同 (笑)
糸井 そうですよね(笑)。
そりゃぁそうだ。いや、最高ですよ。
久保 ‥‥いきなり厚い壁をつくってしまった。
一同 (笑)
ハマケン 久保さんが城に立てこもった(笑)。
久保 ‥‥あの、なんで4巻で終わったかというと、
このマンガは、簡単に言えば、
「ひとりのモテない男が、
 かつて声をかけられなかった女性に
 自分から声をかけられるようになるまでの話」
なんです。
糸井 はい、はい。
久保 ストーリーとしては、そこまで。
その先を描く気持ちはなかったというか‥‥。
これは恋愛漫画ですけど、職業に置き換えれば、
ニートだった人がやっと会社に行って
「ぼくを雇ってください」
って言うまでの話なんです。
糸井 ええ、そうでした。
久保 だから、サラリーマン金太郎とか
島耕作になるまでの話を期待されると、
「すいません、ちょっとそういうのは
 別な漫画で読んでください」
っていう気持ちになってしまって。
糸井 なるほど。
久保 なんていうか、その‥‥
まぁ、みなさんの感想はひととおり把握していて、
どんな言われ方をしているのかは
わかってるんです‥‥‥‥はい。
糸井 あー。
久保 バーンって、閉める(扉を閉める仕草)。
一同 (笑)
森山 心の扉を(笑)。
ハマケン また城にたてこもった(笑)。
糸井 いまの閉め方は、
新聞の勧誘を断るようだったね。
「うちはもう新聞とってますから!」
森山 ははははは。
久保 今日はずっとこんな態度でいきます。
一同 (笑)
糸井 すごいですねぇ(笑)。
これは裏口からまわるしかないね。
──いや、あの、久保さん、
どうして4巻で終わったのか、
いまの説明はとてもわかりやすかったですよ。

(つづきます!)

2010-07-15-THU


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(C)「モテキ」久保ミツロウ/講談社