ハマケン | モテる男っていうか、いい男について、 ぼくもひとつ言ってもいいですか。 |
糸井 | もちろん。 |
ハマケン | ぼくもその、彼女とかに、 「おまえの好きにしろよ」 って言えるのがいい男だと思ってたんですよ。 |
一同 | あー(笑)。 |
ハマケン | でも最近は、 なんかそういうもんじゃないなと思って。 自由って難しいですよね。 ぼくはすごく自由な校風の高校だったんだけど、 「好きにしていい」 「いちばん大事なことをやりなさい」 って言われるほど、なんか難しくて。 |
糸井 | 自由の話はさ、 愛の話もおんなじなんだけど‥‥ ハマケンにいい話をお教えしますよ。 |
ハマケン | あ、お願いします。 |
糸井 | いちばん大事だと思うものを1番目におくと、 ぜったいに計算が立たなくなるんです。 |
ハマケン | ‥‥ああー。 |
糸井 | 2番におくとできるんですよ。 これがね、なんかすごいおもしろい法則で。 2番にしとくと、どんどん解決するんです。 |
久保 | おおー。 |
森山 | なるほど。 |
ハマケン | 2番目にする。 |
糸井 | あらゆる問題がそうなんです。 じゃあ、その構造はなに? 理由は? ってたずねられると、ちょっとね、 もうすこし言えるようになりたいんですけどね。 でも、 愛がいちばん大切だったら、 愛を2番目にするんですよ。 するとほんとにうまくいくんだよ。 |
ハマケン | はぁー。 |
久保 | なるほど。 |
糸井 | お金もそう。 |
森山 | 「モテたい!」って心から思ってる人が、 それをいちばん先においてしまうと、 変な立ち回りをして うまくいかないっていうのは、 すごくありそうですよね。 |
糸井 | うん。 モテたいなら、その気持ちを2番目に。 |
ハマケン | うーん、いいこと聞いた。 |
糸井 | な? 61にしか言えないだろ? |
一同 | (笑) |
ほぼ日 | (小声で)すみません糸井さん、 ぼちぼちお時間のほうが‥‥。 |
糸井 | えーと、どうしましょう、 そろそろ終わりにしろと言われてしまいました。 何か言い残したことがあるかた、 という聞き方をすれば全員そうなんでしょうが、 いかがでしょう。 |
久保 | わたしが言っておきたいことは、 「この中でいちばん子どもなのはわたしだった」 ということです。 |
ハマケン | あはははは。 |
久保 | だって森山くんなんか、 「このマンガにあることはもう経てきた」 って言ったし。 |
一同 | (笑) |
久保 | わたしはまだぜんぜん、 この戦時下にいるんですけど。 |
糸井 | それが芸術家ってものの 宿命じゃないですかね。 |
久保 | うーん。 |
糸井 | 変な言い方だけどさ、 芸術家ってそういうことでしょ。 |
久保 | ‥‥そういうことですよね。 わたしは、いつまでも、 その世界を知らない側にいて、 知ってる人たちの側をのぞき見ては、 「ああ、こうなってんすか!」 みたいな感じで、バタンって扉を閉めて‥‥。 ええ、そうですよ、わかりますよ。 なんだかんだいっても、 わたしはその狭間にいたいんだって、 自分で思いますもん‥‥。 |
糸井 | その文句を言ってる感じが、 横尾忠則さんにそっくりだもん。 |
一同 | (笑) |
糸井 | 久保さん、70いくつになっても言ってますよ、 きっと。 |
久保 | 70いくつになっても、 「久保さん相変わらず、お城の塀が高いっすね」 みたいなこと言われてますかね? |
糸井 | うん(笑)。 |
久保 | 「高くてすみませんね。バタン(扉を閉める)」 みたいな。 |
一同 | (笑) |
糸井 | いや、アートってそういうものだから。 |
久保 | ‥‥みんな、 わたしを残して先に行けばいいんですよ! |
一同 | (爆笑) |
久保 | さぁさぁ、みんな、 わたしの城から出る時間ですよ。 |
一同 | (笑) |
糸井 | うん、しょうがないもんね。 バイバーイって言うしかないもんね。 |
ハマケン | ははははは。 |
森山 | おじゃましました(笑)。 |
糸井 | おもしろかったぁ。 |
森山 | 相当広がりましたよね。 |
糸井 | まだ話足りない気がする。 ほんと、たいへんなんだよマンガは。 読む方はびゅんびゅん ページをめくれるけどさ。 |
久保 | 描いてるほうは大変なんすよ。 って話し始めるとまた終わらないでしょ! |
一同 | (笑) |
糸井 | 申し訳ない。 |
久保 | 早くお帰り! |
糸井 | じゃあ、今日のところは。 |
ハマケン | おいとまさせていただきます。 |
糸井 | どうもおじゃましました。 ‥‥ディズニーランドにさ、 シンデレラ城ミステリーツアーって あったじゃない。 |
ハマケン | あははは、そういう感じだ。 |
森山 | はははは。 |
久保 | ひとりで住んでるシンデレラって(笑)。 もう、それでいいです。 じゃあまた、シンデレラ城へ来てください! |
糸井 | はい! |
一同 | (笑) |
糸井 | いや、みなさん、 ありがとうございました。 |
一同 | ありがとうございました! (座談会は終了です。 最後までお読みいただき、 ありがとうございました!) |
(C)「モテキ」久保ミツロウ/講談社 |