1作目の『MOTHER』をつくったとき、
糸井さんにとってゲームづくりというのは
本業じゃなかったわけですよね。
- 糸井
- まったく違いますね。
それが、いま、本業として扱われてますよね。
糸井さんのゲームづくりのスタンスが
変わったわけじゃないのに。
- 糸井
- そうですね。
2本つくっちゃったからなんでしょうね。
そういうことでしょうね。
- 糸井
- まぁ、自分にとって
ゲームづくりが本業かどうかというのは
それほど重要ではないんです。
というのは、ある時期から、自分には
「本業」という考えがなくなりましたから。
自分が直接手を出さない
プロデュースの仕事にしても、
あるいは、たんなるアシストにしても、
目の前にある仕事ぜんぶが、
かっこよくいえば、みんな本業なんです。
だから、その、
いいタイミングでうんこすることさえ
本業みたいなところがありますからね。
(笑)
- 糸井
- そういう気持ちはあるよ。
あの、ハワイに旅行に行くときにね、
飛行機に乗る瞬間から
ハワイ旅行がはじまるわけじゃないでしょう。
自分の家から一歩出た瞬間、
それはハワイに向けての旅だし、
もっというと、ハワイに行くんだなって思って
荷物を詰めたり、本を買ったりするのだって
ぜんぶハワイ旅行じゃないですか。
だから、なにが本業で、
なにが本業じゃないっていうのは
最初っから考えにないですよね。
なるほど。
- 糸井
- だから、ゲームのつくりかたにしても、
気持ちや、姿勢みたいなものにしても、
最初の『MOTHER』をつくったときと
ぜんぜん違ってないと思いますね。
うん、うん、うん。
- 糸井
- つくりかたっていうか、方法は
そんなにたくさんはないと思うんですよ。
とくに、自分みたいな立場の人間が
本気でゲームをつくるときは、
これ以外の方法って
やっぱりちょっと思いつかないですね。
いまのゲーム業界からすると、
特殊なつくりかたかもしれませんけど、
3本つくりおえてみて、そう思いますね。
糸井さんは、もう、
ゲームは、つくんないんですかね?
- 糸井
- (笑)
(笑)
- 糸井
- 『MOTHER4』は、ないです。
ただ‥‥ニンテンドーDSが出て、
ゲームのつくりかたや遊ばれかたも
変わってきてますからね。
そうですね。
これからどんどん変わってくるだろうし。
- 糸井
- 作品の規模も制作の規模も
ちいさく軽くなってくるでしょう。
その速度がもっと出るようになったら、
ぼくがっていうよりも、
ぼくらが、なにかできないかなって思う。
「ほぼ日」がゲームソフトを
つくったっていいわけだしね。
ゲームじゃないにしても、
遊べる「なにか」をね。
はい。
- 糸井
- 仕事だか遊びだかわかんないような
わくわくするような
ぎりぎりの「なにか」ができたらね、
もちろんつくらせてもらいたいし、
「つくらせてよ」って言うんじゃなくて、
「つくるんだよ!」って言えるし。
そういうものができたら、
一生懸命プレゼンしましょうよ。
はい(笑)。
- 糸井
- ゲームっていうメディアしか
ないわけじゃないからね。
「つぎは、なにをどうしようか!」っていう、
広々としたところで
真っ裸で泳ぐみたいなことがしたいですよね。
そのなかにね、
「あ、これはゲームがいいや」
っていうのが出てきたら、
それはそれで最高じゃないですか。
はい(笑)。
おつかれさまでした。
ほんとうに。
- 糸井
- ありがとうございました。