移動中に楽しむ娯楽
おもに電車のなかでプレイしている僕は、
家にいるときはあまりゲームを立ち上げることがない。
そういう日々を続けてついに3ヵ月目に入っているが、
過ごすうちに、僕にとってのゲームは
移動中に楽しむ娯楽になってしまっている。
もちろん、それはたまたま『MOTHER1+2』が
携帯機用のゲームソフトだから
そうなってしまっているのだけれど、
どうも僕は「移動中にプレイする」という
ゲームとの距離感を気に入っているようである。
据置型のゲームをプレイするのが
いやだというわけではない。
大好きなゲームがリリースされたら、
すぐに僕はテレビの前に腰を据えるのだろう。
けれど、いまは移動中に携帯機で
ゲームをプレイすることを、とても気に入っている。
30分くらいずつの時間を積み重ねて
長い冒険を進めていくことが、
自分にとってしっくりくるスタイルなのだ。
それで、おかしなことに、
週末はあまりゲームをプレイしない。
20代のころであれば、休日はむしろ
じっくりゲームをプレイできる日だったと思う。
けど、いまは平日、移動中に、
のんびりじっくり『MOTHER1+2』をプレイする。
そしてそれはなかなか心地よい。
今日は代官山で同僚の結婚パーティーがあって、
夕方から出かけていった。車で行ったから、
『MOTHER2』はプレイできなかった。
新郎も新婦もとてもいい笑顔だった。
会場で、ポストペットの開発者である
八谷和彦さんに久しぶりに会った。
少しゲームの話をした。
「これからは、もっと大きなくくりで、
いろんなものがゲームになってくると思う」
と八谷さんはおっしゃっていて、
いつもながら僕は深くうなずくばかりだった。
ゲームにしろ、ポストペットにしろ、
いまの八谷さんの最新プロジェクトであるメーヴェにしろ、
八谷さんは、ものをつくるときに、
それが含まれる人々の生活を無視しない。
だからこそ、八谷さんのつくる作品は
特定のファンだけでなく広くへ訴える。
携帯機で長いゲームを移動中に少しずつプレイするのは、
いまの僕の生活に合っているのだと思う。
『MOTHER1+2』は、古いゲームの移植作としては
とてもたくさん売れているのだけれど、
それは、さまざまな娯楽に囲まれて過ごす
「いまの人の生活」と無関係ではないように思う。