糸井重里です。やぁこんにちわ。
見巧者ということばがあって、
(あ、「みごうしゃ」と読むんですけど、
この「ご」がまちがいやすいんでね)、
この概念そのものをぼくはとても好きなんです。
見るのが上手な人っていう意味です。
歌舞伎なんかの話をするときに、よく聞くことばです。
永田くんは、ゲームの世界の見巧者だと思うわけです。
こういう人が、「見る」ことで、
作り手は、もっといいものをつくるヒントを
いっぱいもらえるんですね。
気付いてほしかったところに気付いてもらえたとか、
作るときには無意識だったところに、
いい反応をしてもらえたとか、
そういうことをたくさんしてもらえるおかげで、
作ることが変わると思うのです。
というのは、この『MOTHER日記』についての
ふつうの感想なのですが、ほんとうは
そんなことどうでもいいわけです。
毎日、「今日は何をして、どう書くんだろう」と、
ぼくは読者として連載をたのしみにしていました。
このたのしみをどう喩えればいいのかなぁ。
『MOTHER』というゲームが、石井一久だとして、
それを永田くんという古田がリードしているというときに、
石井の父親であるぼくとしては、
「古田さんのおかげだよねぇ。しみじみ」と
古田のリードに感心しつつ観戦しているというような
・・・んんん?
ちょとヘンな喩えだったかな、時代、古いし。
でも、そういうようなことです。
教訓:蛇の抜け殻はなんの役にも立たないが、
財布に入れておくと金運のまじないになる。
2003年9月 糸井重里