こんにちは、ほぼ日の奥野です。

昨年(2021年)の秋に集中的に連載していた
特集「編集とは何か。」が、
星海社さんから新書として出版されました。

▲ほぼ日「編集と何か。」トップページ

古賀史健さんの
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』や
瀧本哲史さんの
『武器としての決断思考』など、
これまで多くの素晴らしい本を出してきた
星海社新書の仲間に入れてもらえたことは、
じつに光栄で、うれしいです。

特集に出ていただいた
14名の編集者のみなさんのお話すべてが、
もれなく収録されています。

この特集を企画して記事にした編集者でなく、
ひとりの読者として
14名の「編集論」を続けて読んでみると、
まったく別々のエピソードを話しているのに、
じつは同じことを言っていたり‥‥
あらためて、新しい学びや発見がありました。

本編の合間合間には、コラム的に、
宝島社の『VOW』総本部長(=編集長)の
古矢徹さん&
担当編集者・薮下秀樹さんのインタビューを
はさみました。

これは、2017年に
「ほぼ日」に掲載した記事を再掲載したもの。
まだ小学生だった自分に
「編集者」という愉快な仕事があるよと
教えてくださった
古矢さん&薮下さんとの楽しい対話は、
この特集が本になるなら、
絶対に収録したいと心に決めていたものです。

▲ほぼ日「VOWのこと。」トップページ

さらに、本の「あとがき」にあたる部分では、
最盛期数十万部を誇った雑誌
『週刊プロレス』の伝説的な編集長である
ターザン山本!さんに、
その「異端の編集論」を、
これでもかと、語りおろしていただきました。

取材した場所は、立石の昭和な喫茶店。

テレビ番組の「開運!なんでも鑑定団」で
鑑定士も務める大学の先輩・
泉高志闘道館館長にご同席いただき、
和やかな雰囲気ながらも、
ときどきターザンさんの咆哮がとどろく、
スリリングで刺激的なあとがきとなりました。

▲ターザン山本!さん。薄暗い喫茶店で思い切りピントを外してしまいました。

で、そんなことをしていたら、
「新書ですよ」と言っているにもかわらわず、
「736ページ」という
常識はずれの厚みが出てしまいました。

星海社の担当編集者・築地教介さんからは
「ぶっちゃけ、どうしましょう?」
という率直なご相談をいただきました。
「ぶあつすぎませんか」と。
星海社新書では前例のないページ数だし、
というか、
「736ページ‥‥ぶあつすぎませんか」と。

ただ、橋本治さんの『人工島戦記』や、
岸政彦さんの編んだ『東京の生活史』などなど、
世の中的には
「鈍器本」のブームが来ていたのです。

そのことに少なからず勇気を得、
また、「語り口調」のインタビュー集なので
思った以上にスイスイ読めるし‥‥
ということもあり、
新書としては、おそらく最厚クラスの本が、
こうしてできあがったという次第です。

わかりやすいかどうかわかりませんが、
物体感としては、
京極夏彦さん『塗仏の宴 宴の支度』と
ほぼ同じでした。
ちょっと調べたところ、
同じ「新書」で、これほどの厚みの本は
講談社現代新書『新書アフリカ史』くらい。

アフリカの歴史とはすなわち、人類の歴史。
そんな書物の厚みにはかないませんが、
でも、14人の編集者のみなさんによる
「編集とは何か」のお話は、
壮大な歴史の本にも
勝るとも劣らないスケール感と普遍性とを
持っていたように思います。

特集のトップページにも書いたことですけど、
この本は、ただ「編集者」だけでなく、
企画する人、書く人、売る人、広める人、
場をつくる人、舵を取る人、
くっつきそうにないもの同士をくっつける人、
人と会って新たな価値を生み出す人‥‥
いろんな人に、ヒントをくれると思います。

お手にとっていただけたら、うれしいです。

最後に、この本は、
「こんなふうにしたいです」と言ったことを、
最大限実現してくださった
もう1人の編集者・築地教介さんなくしては
うまれなかった本でした。

築地さん、本当に、ありがとうございました。

そして、本書に登場してくださり、
これまでそれぞれの場で培った経験や知見を
惜しみなく差し出してくれた
17人の編集者のみなさんに感謝いたします。

本当に、ありがとうございました。

2022-03-23-WED

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