KIGIの渡邉良重さんとほぼ日がつくる
アパレルブランド「CACUMA」は、
今年の春夏のコレクションで丸10年をむかえます。
そんな思いのつまったアニバーサリーイヤーに発表する
春夏コレクションは、新しいものはもちろん、
過去に発表した中から、
良重さんのお気に入りの柄が
素材を変えて生まれ変わったりと、
これまでの10年をふり返る、
総集編のようなラインナップになりました。
良重さんと今までの「CACUMA」のこと、
今季、そしてこれからのことをお話ししました。
- ――
- 「CACUMA」10周年、おめでとうございます。
というか、ありがとうございますというか。
- 渡邉
- ありがとうございます。もう、10年ですか。
そんなに経ったとは思えないですね。
- ――
- 昨年、KIGIも10周年を迎えられたんですよね。
- 渡邉
- そうそう。ということは、
「CACUMA」はKIGIが始まって
次の年にはじめたってこと?
- ――
- そうですね。
- 渡邉
- 早かったなぁ。
KIGIの立ち上げからもあっという間に感じるので、
「CACUMA」も本当にあっという間です。
- ――
- 今回の春夏コレクションは、
これまでに発表したお気に入りの形や柄を
ブラッシュアップしたアイテムが
目立つラインナップになりましたね。
- 渡邉
- 基本的に、柄はそのシーズンだけでしか使っていないので、
一回で終わっちゃうのがちょっとさみしい気がしていて。
好きな柄を、ちょっと色を変えたり、素材を変えて、
また違う雰囲気にできるのかなと思い、
再構築してみました。
洋服の形も今までと同じように見えても、
少し長さを調整して、
お気に入りの形がそろった
コレクションになったと思います。
- ――
- 今回は、とくにお気に入りの柄たちなんですね。
- 渡邉
- そうですね。あの時はああいう生地にプリントしたけれど、
違う生地になったらどうなるんだろう? とか考えて。
より良い形にして、もう1回作りたいな
って思ったものを選びました。
- ――
- 2022年の11月に行われていた、
KIGI 10周年展覧会「all is graphics」に伺った時に、
この柄に似た絵を拝見しました。
- 渡邉
- あ、そうそう。
あのね、どっちが先がと言ったら、洋服が先なんですよ。
- ――
- へぇ、そうなんですね!
- 渡邉
- この柄が好きだったので、
それを生かした絵にしようって思って、
展覧会に作品を出して。
さらに色を変えてまた「CACUMA」で
再登場させました。
- ――
- 同じ柄でも、素材や型がちがうと印象が変わりますし、
何度でも生まれ変わっていくのがすてきだなって思います。
- 渡邉
- そうなんです。
服づくりをやっていくうちにだんだんと、
柄のプリントと生地の相性もわかってきたし、
はじめた頃よりも、
好みも変わって、表現の幅も広がったと感じてます。
- ――
- 具体的にどのように変化されたんですか?
- 渡邉
- 今までは、割とシンプルなテクスチャの生地に
プリントをのせていましたが、
ここ1年くらいは、凹凸や透け感があったり、
生地自体に表情があるものを選んで、
プリントすることがおもしろいなと思うようになりました。
- ――
- 平面の布でも、奥行きが出ますよね。
やっぱり、良重さんの柄は、他にはない、
唯一無二な存在だと思います。
- 渡邉
- 凝ったカタチのデザインは
私の得意とすることではないけれど、
柄は、勝負ができるというか。
私の仕事であるグラフィックデザインが
一番生かせると思っています。
- ――
- 実際に生地ができてきたときは、
最初のイメージと違うことってあるんですか?
- 渡邉
- そう、それはあるよね。
紙に出力してデザインを見ているので、
生地に乗った時に、
最初の出力した紙のイメージがあるので
「あ、違う」と反射的に思ってしまうんです。
- ――
- 紙と布とでは色の見え方も違うでしょうし。
- 渡邉
- でも、10年経つと、
はじめのころよりは、
そのギャップに驚かなくなったかな(笑)。
- ――
- なるほど。
柔軟になってきたということでしょうか。
- 渡邉
- そうかもしれないですね。
あ! でも、もしかして‥‥
インクジェットの機械の質が上がってきているのかな?
- ――
- たしかに、10年経っているので
機械も進化していると思います。
実際に、今季の「CACUMA」は、
最新の精密なマシンでプリントしているそうですよ。
- 渡邉
- やっぱり!
前よりも、精度があがっている気がしていたんですよ。
10年ってそう思うと長いね(笑)。
- ――
- 今回は、良重さんのリクエストで、
すべて一度洗濯をして、
シワのテストをしました。
- 渡邉
- そうなんです。やはり洗濯の後には、
できるだけアイロンをかけずにそのまま着たいので、
シワになりにくいのはとても大事なんです。
- ――
- はい。上品な薄い生地を使うことが多いので、
シワが気になるという声をいただくこともあります。
- 渡邉
- わたしもそうです。
でも、シワが残っていても、
自然な風合いのあるシワだったら
そのまま着てもいいな、と思えたりもするので。
- ――
- はい。
チェックしたら、どれもいい感じのシワでした。
そのまま着ても、アイロンをかけても、
どちらでもいけるものになったと思います。
- ーー
- 良重さんは「CACUMA」のお洋服を
たくさん着てくださっていますよね。
- 渡邉
- はい、ほとんど毎日何かしら
「CACUMA」のアイテムを着ていますよ。
「私がいつでも着たい」って思える服にしたい。
っていうのが、一番の目標で。
全部の服を全部着たい(笑)。
- ――
- 作りてでもあり、一番のお客さんでもある。
- 渡邉
- そう(笑)。
- ――
- 「CACUMA」は、デイリーユースでも、
ちょっとかしこまったシーンみたいな
特別な日どちらもいけると思うのですが、
良重さんは使い分けされてるんですか?
- 渡邉
- うーん、基本、いつでも、着やすい。
- ――
- いつでも(笑)。
- 渡邉
- たまにボウタイのアイテムだとか、
少しあらたまったもの作りますが、
べつにそれも普通の時に着れないわけでもなくて。
だから基本は日常で、全てデイリー。
- ――
- まさに「CACUMA」のテーマである、
「大人のための日常着」ですね。
- 渡邉
- そうですね。デイリーだけれど、
ふつうな人が素敵に見えるような洋服がいいんです。
柄があるとちょっと特別になれるし。
楽しい気持ちにもなりますよね。
あと、やっぱり人を意識して服を着たりもするじゃない。
「ちょっといいね」って言われたいとか。
- ――
- わかります。読者の方からも、
「CACUMAを着ていると褒められます」
というメールをたくさんいただきます。
- 渡邉
- それはうれしいな。
着てくださっている方の年齢層も広いですよね。
若い人にはもちろん、
自分が着ても大丈夫と思える範囲の
かわいいものを作っていきたいですね。
- ――
- お洋服のことを考えるのは楽しいですか?
- 渡邉
- そうだね。もちろん。
やりたかったことなので。
でも、最近は世の中の流行を見なくなっちゃった(笑)。
私、ワンピースって普遍的なものだと思うんです。
多少の流行の形はもちろん取り入れつつ、
できるだけたくさんの人が似合う型を
探していきたいなとは常に思っています。
- ――
- この10年、「CACUMA」はお洋服だけでなく、
革小物や、寝具など表現の幅を広げて
いろいろと作ってきましたよね。
- 渡邉
- 自分でも色々とすごく愛用して使っているけど。
ほんとにぜんぶ便利で(笑)。
日常の「あったらいいのに」を
形にしていけたらと思っています。
- ――
- 今後作ってみたいものなどはありますか?
- 渡邉
- なんだろう。なんでも作ってみたいんです。
でも私に技術がある訳ではないから、
素晴らしい色々な技術と出会っていきたいです。
- ――
- 今日はお話をありがとうございました。
最後に、「CACUMA」を着てくださっている方に一言あれば。
- 渡邉
- これからも着やすくて、楽しめる服をつくっていくので、
11年目の「CACUMA」も、よろしくお願いします。
- ――
- すてきなものづくりをがんばっていきたいです。
良重さん、ありがとうございました。
(おわり)
2023-04-06-THU
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今年の春夏コレクションは、
時期を2回にわけて販売します。第1弾の販売は、
2023年4月13日午前11時から
春夏に大活躍間違いなしの、
楽ちんなのにきちんとして見える
「CACUMA」定番のカットソーが登場。第2弾の販売は、
2023年4月25日午前11時から
柄物のアイテムがずらりと並びますよ。おたのしみに。