猫によって生活が一変した、という人がいます。
歌手・藤あや子さんも、その一人。
子猫の「マル」と「オレオ」がやってきて、
いっしょに暮らすうちにメロメロに。
「マルオレに会いたくて、
直帰するスピードが業界一速くなりました」
「充電切れが常だったのに、
いまじゃスマホを手放せません」
などなど、暮らしが180度変わったと言います。
さらに保護猫を支援する活動もはじめたそうです。
今日は猫の日、藤あや子さんの猫への思いを
たっぷりとうかがいます。
全4回。担当はほぼ日の猫好き乗組員フジタです。
写真:小川拓洋
猫の写真:藤あや子さん提供
藤あや子(ふじあやこ)
歌手。作詞家、作曲家。
1961年05月10日生まれ、秋田県角館生まれ。
1985年にNHK『勝ち抜き歌謡天国』で優勝し、
1989年にシングル「おんな」でデビュー。
代表作は「こころ酒」「むらさき雨情」「花のワルツ」など。
Instagram:https://www.instagram.com/ayako_fuji_official/
Twitter:https://twitter.com/fuji_ayako
公式ブログ:https://ameblo.jp/ayako-fuji/
- ーー
- いま、世の中がコロナ禍で、
あまり外に出られない状況ですけど、
暮らしは変わりましたか。
- 藤
- マルオレのおかげで、
コロナの自粛期間も癒されてます。
特に昨年の春は、
ずっと家で一緒に過ごしていて、
その後、仕事がポツン、ポツンと入りはじめると、
なんだかすごく憂鬱になりまして、
「行きたくないなぁ。明日、お仕事だ、嫌だ~」って
マルオレに言ってたんです。
- ーー
- 行きたくないなぁ、と。
- 藤
- そう。学校に行くのが
嫌になる子みたいになっちゃって。
これもやっぱり不思議ですね。
マルオレがいなかったら、
「おっ、やった、仕事だ!」
となっているところが、
「ああ、なんかわたし、この生活でいいんだけどな」と(笑)。
日々、あの子たちを見てると、
「これからどうなるんだろう」
「仕事もどんどんキャンセルになって大変」
と憂うことよりも、
食べて、寝て、遊んで‥‥という日々を
大事にしたくなって、
「そっか。生きものってこれがベースなんだな」って。
生きるうえで、
人生の師匠を見ているような気持ちになりました。
- ーー
- 師匠。
- 藤
- 「師匠、それでいいんですよね」って(笑)。
わたしの中の不安感や、
これからどうしようというマイナスの気持ちが、
どんどん排除されていったのは、
マルオレと過ごす時間が長かったからです。
それはすごく感謝しています。
- ーー
- 子どものようにかわいくて、
師匠のようにいろんなことを教えてくれて。
でも、たしかに猫を見ていると学べますよね。
スヤスヤ寝ているのを見ると、
「ああ、とりあえず平和だ」という気持ちになったり。
- 藤
- そう。平和な気分になって、
こっちまで幸せをもらえる。
お腹出して寝ていたりするし。
- ーー
- ぐいーんと伸びて寝るんですよね。
リラックスしていると。
- 藤
- すっごく伸びます。
それをわたしはそのまま首にかけたりします(笑)。
- ーー
- (笑)
- 藤
- ときどき想像するんです。
あのとき、保護猫活動をしている
義母が保護しなかったら、
こんなにかわいい子たちが
生まれなかったのかもしれない、と。
それがずっと頭にあって、
わたしにはなにができるんだろうと考えたときに、
外で大変な思いをしている猫たちのことを、
1匹でも救ってあげたいと思うようになったんです。
それでまずは募金活動をはじめました。
同郷出身の漫画家のホンマジュンコさんに
お願いして、マルオレとわたしの絵が入った
募金箱をデザインをしてもらって、
一昨年からコンサート会場に置かせてもらってます。
- ーー
- へええ。いいですね。
- 藤
- チャリテイーカレンダーも作らせていただいて。
本当は去年のうちに、
秋田の「ワンニャピアあきた」という
動物愛護センターに届けるつもりが、
なかなかこのコロナ禍でできなくて、
ようやくリモートでお渡しできました。
やっとみなさんの気持ちを届けられた、と思ってます。
- ーー
- すごくお忙しいなかで、
そういうこともなさってて、すごいです。
- 藤
- まだまだ力不足ではありますけども、
続けていくつもりです。
それと、やっぱりわたしは音楽を長年やっていますし、
マルオレと音楽を絡めて何かしたいなと。
壮大な夢ですけど、
野外で「マルオレフェス」みたいな。
マルオレは人見知りなので参加できないにしても、
猫を通じて繋がった人たちとお会いする機会を、
なんとか作りたいと思ってます。
- ーー
- いいですね! マルオレフェス。
弊社の乗組員も、毎年9月の動物愛護週間には
「いぬねこなかまフェス」という
イベントをお手伝いしているんです。
矢野顕子さんや町田康さんなど
犬猫が大好きないろんな方をお呼びして、
ライブをしたり、犬猫と暮らす際の知識を発信したり。
昨年はオンライン開催だったんですけども。
- 藤
- へええ、素敵!
また開催されるときは、
ぜひ、わたしも参加させてください。
- ーー
- ほんとですか! うれしいです。
ぜひよろしくお願いします。
あとは「ドコノコ」という犬猫の写真を投稿できる
アプリもリリースしてまして、
もし犬猫が迷子になったら、
ご近所の登録者に通知がいって、迷子探しに
協力してもらえる仕組みも作っています。
- 藤
- 素晴らしい。
猫ちゃんって迷子になるとなかなか
大変らしいですね。
- ーー
- そうなんです。
初動が大事なので、
「ドコノコ」アプリには、迷子チラシが
すぐ作れる機能もついてます。
- 藤
- チラシ! そう、チラシが大事なんですよね。
ああ、素晴らしい。
あとペット探偵の方もすごいですよねぇ。
このあいだ、わたし、
ペット探偵の番組に出させていただいたんですけど、
猫の習性を熟知してらっしゃる。
逃げても、バッと追っかけちゃいけないんですよね。
自分だったら、
絶対「ああっー!」って行っちゃいそう。
- ーー
- 募金活動をされたり、
動物の番組にも出られたり、
マルオレちゃんがいらしてから、
やっぱり、猫たちへの思いは変わりましたか。
- 藤
- はい、もう、みんなかわいいです。
わたしたちにこんなに幸せを与えてくれて‥‥。
彼らはべつに見返りを
求めているわけでもないし、
ただ存在そのものが有難いじゃないですか。
- ーー
- 存在そのものが有難い。
- 藤
- だって、後ろ姿のシルエットだけで
癒されますからね。
今、一番、心配しているのは、
コロナ禍の中で犬猫を飼いはじめた人たちが、
やっぱり無理だと言って、
放棄するケースが増えているそうなんです。
「ワンニャピアあきた」の館長さんから、
コロナ禍になって、
放棄される犬猫がすごく増えたとうかがって、
もうショックで、心が痛くて。
「人間って、そんな冷酷なの?」って。
今、すごくなんとかならないかなと思っています。
- ーー
- コロナ渦で家の中で過ごす時間が増えて、
ペットを飼いたいなって、
ちょっと思ってしまう気持ちもわかります。
- 藤
- そうなんですよ。
やっぱり責任を持って、
しっかり考えた上で受け入れないとね。
たとえば、実際に飼うと、
こういう部分が大変で‥‥というのを、
相談し合えるネットワークがあればいいな、とか。
- ーー
- たしかに。
いろんな解決法があると気付けると、
違うかもしれません。
たとえば、これは小さなことかもしれませんが、
猫のトイレ問題で困っているかたは、
猫砂とか、すごくいろんな種類が出ていますし。
- 藤
- うん、猫砂! そうそうそう!
猫って肉球がデリケートですから、
気に入るやつと、
そうじゃないやつとありますよね。
うちの子は、木のタイプとかおからタイプとか
いろいろ試して、今は紙の猫砂にしています。
それでも、去年は3回くらい、
マルにお布団におしっこされたんです。
お布団のやわらかさが
肉球を気持ちよく刺激するのかもしれない‥‥。
- ーー
- うわぁ、お布団に。
- 藤
- 「もう無理!」とか思っていたんですけど。
- ーー
- これ、誰が洗濯するの、みたいな
気持ちになっちゃいますよね。
- 藤
- そう。ただ、冷静に考えてみると、
「あっ、お部屋のドアを開けていた
自分が悪いんだな」って。
猫は、ここにおしっこしていいとか悪いとか
分かってないわけだから。
もちろんマルには、
「ダメよ、ここは」と注意して、
「あ、ここにはしちゃいけないんだな」と教え込む。
でも猫ばかり責めるんじゃなくて、自分にも
責任があるという捉え方をしていかないと
成り立たないと思うんですよ。
他にも、いろんな問題があると思うんですが、
できることがいろいろあると思うので、
諦めずに、相談し合いましょう。
わたしも、できることをしていきたいと思ってます。
(つづきます)
2021-02-24-WED