大切なひと、
すべてをしあわせにしたい。

『あなた、そこにいてくれますか』2016年 韓国
価格：1,143（税抜）
発売・販売元：ギャガ
(c)2018 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
ホン・ジヨン監督作品
原作：ギヨーム・ミュッソ「時空を超えて」
出演：キム・ユンソク／ビョン・ヨハン／
チェ・ソジン／キム・サンホ

「愛しているのに離れている、愛しているから離れている」
なんとも歯がゆいけれど、今タイムリーな愛のカタチ。
非接触系の愛のカタチ、第３弾、最終回です。

過去２回の『イル・マーレ』、
『リメンバー・ミー』が
20年前に公開された映画でしたので、
最終回は最近公開の映画でいきます。
「非接触系」というけど、
「よーするに、タイムスリップものではないの？」
と思われるでしょうね。

すいません。また、そうなんです。

今回の映画は、原作があって、
『時空を超えて』という世界的ベストセラーになった
フランスの小説です。日本では
小学館から出版されて絶版となっていたのですが、
映画公開に合わせて、映画と同じタイトルで
潮出版から復刊されています。

注目の俳優は、キム・ユンソク。
『パラサイト　半地下の家族』の
ソン・ガンホもそうですけど、
韓国ではイケメンタイプではない俳優が
主演を張るんですね。
出演した『チェイサー』や『海にかかる霧』は
韓国ノワール・モノで、「もうやめて〜」と
言いたくなるような惨たらしいシーン続出の映画ですが、
それに負けないタフさをもった俳優ともいえます。
自作の映画化に慎重だった原作者が、
『チェイサー』のキム・ユンソクの演技をみて
承諾したようだというのだから大したもんです。

このキム・ユンソク扮する小児外科医ハン・スヒョンが、
カンボジアの農村へ医療ボランティアに行き、
盲目の老人の頼みをきいて子どもを救います。
ひとつだけ願いをかなえるなら何かと、
老人に聞かれたスヒョンは、こう答えます。
「もう一度だけ会いたい人がいる」
そして、10粒の丸薬が入った小瓶をもらいます。
老人は言います。
「人生は寝ているうちにつくられる」

スヒョンは末期の肺がんに侵されていて余命あと数ヶ月。
死ぬまでに会いたいのは、研修医時代の彼女です。
そのチェ・ヨナ（チェ・ソジン）は
韓国初のイルカの調教師で、結婚まで考えますが、
気持ちのすれ違いがきっかけとなり、
彼女は事故で亡くなってしまっていたのです。

試みに飲んでみた丸薬で眠りに落ちたスヒョンは、
2015年から1985年の釜山へとタイムスリップ。
そこで、30年前の自分（ビョン・ヨハン）に出会います。
そして、いまと過去、ふたりの自分が、
彼女の死を回避しようとするのです。
でもここで問題が……。
もしも彼女の死を回避できて、
スヒョンがヨナと結ばれたら、未来が変わってしまい、
今のスヒョンの娘スアも存在しなくなる。
ヨナもスアも生かすためには、
過去のスヒョンがヨナと別れなければいけない。
スヒョンは、過去の自分に激しく迫ります。
ヨナから離れろ、近づくなと。
苦悶の末、過去のスヒョンは、
理不尽とも言える別れを彼女に告げることを
いったんは決意する……。

実は、ここで終わりかなと思ってから、
ラストまでの展開が面白いのです。
スヒョンの親友カン・テホ（キム・サンホ＝
韓流ドラマでも有名な三枚目）の機転が、
物語を大きく動かしていきます。

恋人、家族、親友……粋なラストが待っています。
コロナで大切な人に会えない今、
思い出に会いにいってみるのも
悪くないかもしれません。