みなさん、お家で
どんな風にお過ごしですか?
いつでも、どこでも、何度でも観られる
ほぼ日の学校オンライン・クラスには、
日本のみならず、海外のみなさんからも、
日々、感想をお寄せいただいています。
外に出られない今、これが観られてうれしい!
そんなお便りをうれしく拝読しつつ、
もっと何かおもしろいことが
できないかと考えました。
家だからこそ、人目を気にせず
思いっきりできる、
そういうことが、あるのでは?
声を出して、からだをうごかして、
朗読して、歌って、演奏して、
心とからだをほぐすような、
そんなワークショップができないか。
そこで、相談をもちかけたのは、
シェイクスピア講座2018・第10回
「シェイクスピアの音楽会」にご登場いただいた
シアターカンパニー・カクシンハンのみなさんと、
声楽家の佐藤裕希恵さん、
リコーダー演奏家の太田光子さん、
さらに特別ゲストとして、
オペラ歌手の大山大輔さん、
リュート奏者の瀧井レオナルドさん。
みなさん、「たのしそう!」と
快く(リモートで)集まってくださいました。
シェイクスピアの時代の音楽に
耳からタイムスリップした
「シェイクスピアの音楽会」の特別編、
声を出そう! 歌おう! 合奏しよう!
ほぼ日の学校・演劇&音楽ワークショップが
はじまります! さあ、どうぞご一緒に。
シアターカンパニー・カクシンハン
演出家・木村龍之介が主宰する演劇集団。シェイクスピア作品を現代のエンターテイメントとして20公演以上にわたり連続上演している。現在のメンバーは木村に加えて、俳優・河内大和、真以美、岩崎MARK雄大、渡部哲成ら。
2019年夏には7時間半にも及ぶ「薔薇戦争」ロングラン公演を大成功させ、 また、60分でシェイクスピアの<POCKETシリーズ>も好評で、今、国内外から注目を集めている。カクシンハン・スタジオ(俳優養成所)では俳優育成も日々行っている。現在、オンラインリハーサルを開催中(詳細や応募は→http://kakushinhan.org/)。
大山大輔(おおやまだいすけ)
東京藝術大学を首席で卒業。同大学院修了。
野田秀樹版《フィガロの結婚》フィガ郎役、手塚治虫原作・宮川彬良作曲 歌劇《ブラック・ジャック》B・J役、劇団四季ミュージカル《オペラ座の怪人》ファントム役等、数多くの舞台で活躍しているオペラ歌手。
カクシンハンPOCKET公演「ロミオとジュリエット 」(演出:木村龍之介)では語り部・ロレンス神父として活躍。また延期された2020年5月のカクシンハン公演「ナツノヨノ夢」ではオーベロン役を演じる予定だった。
カクシンハン・スタジオ(演劇研修所)講師。
洗足学園音楽大学ミュージカルコース・声楽コース講師。
佐藤裕希恵(さとうゆきえ)
ソプラノ。東京藝術大学声楽学部卒業、同大学院古楽科修士課程修了。卒業時にアカンサス賞受賞。バーゼル・スコラ・カントルムでバロック科修士課程、中世ルネサンス科修士課程を修了。国際古楽コンクール Canticum Gaudium(ポズナン、2013)第1位、 国際古楽コンクール《山梨》第1位(山梨、2015)、国際ヘンデルアリアコンクール第3位(マディソン、2014)他多数受賞。アンドレア・マルコン、ドミニク・ヴェラール、寺神戸亮など著名な音楽家とソリストとして数多く共演。中世から古典派の音楽を中心に幅広いレパートリーを展開。フェルメール展公式タイアップCD『フェルメール〜絵の中の音楽』(キングレコード)出演他、現在も欧州と日本を中心に国際的に活動中。瀧井レオナルド(リュート)とのデュオ ヴォクス・ポエティカでは独自の世界観を追求し、聴く人を魅了。歌唱指導者としても信頼を得ている。桜美林大学声楽非常勤講師。
太田光子(おおたみつこ)
リコーダー奏者。上野学園大学、ミラノ市立音楽院を卒業。第16回国際古楽コンクール<山梨>第1位。故ボッセ指揮のもとソリストとして神戸市室内合奏団等に客演。音楽の友誌「音楽評論家・音楽記者が選んだコンサートベストテン」に、ソロ・リサイタル「リコーダーの飛翔」がノミネート。CD「ヴィヴァルディ/リコーダー協奏曲集」(La Bottega Discantica/イタリア、レコード芸術誌特選盤)、「イタリアへの夢」(コジマ録音、レコード芸術誌特選盤)、「イタリアへの夢 II」(コジマ録音、レコード芸術誌特選盤、第49回レコード・アカデミー賞ノミネート)、「グリーンスリーブス〜笛の楽園」(キングレコード)他多数リリース。日本各地のマスタークラスやセミナー講師として招聘、全日本リコーダーコンテスト審査員を務める等、演奏活動の傍ら後進の指導にも力を入れている。サルビアホール(横浜市)サルビア・アーティストバンク2020登録アーティスト、現在上野学園大学非常勤講師。2020年5月7日、CD「イタリアへの夢III〜イタリアバロック室内楽の光彩」(コジマ録音、ALCD-1190)のリリースが決定している。
ワークショップ初日に登場してくださるのは、
シアターカンパニー・カクシンハンのみなさんと
オペラ歌手の大山大輔さん。
カクシンハンの舞台に何度も立っている
大山さんは、カクシンハン・スタジオの講師でもあります。
すばらしい声の持ち主です。
今日、4月23日はシェイクスピアの誕生日。
記念すべきこの日をきっかけに、
シェイクスピアのセリフに浸ってみましょう。
俳優さんたちといっしょに声を出すことで、
日常ではあまり使わない心と体の部分を
動かすことができますよ。
カクシンハンを主宰する演出家の木村龍之介さんは、
ワークショップの最後に「ヘンリー六世」を
選んだ理由をこう説明してくださいました。
「外出自粛のなか、会いたい人に
会えない方も多いと思います。
そんな心に寄り添ってくれるのは、
このシーンだと思いました。
離れていても相手を思いやる気持ちを大切に。
そばにいる家族を大切に。
そんな気持ちに応えてくれる
シーンだと思います。
ぜひ声に出してみてください」
家の中だからこそできる
シェイクスピアのワークショップのはじまりです。
まずは、この方からごあいさつです。
準備体操と早口言葉、うまくできましたか?
なまむぎ、なまごめ、now it’s time to go!
変わった早口言葉でしたね〜。
次は、シェイクスピアさんが紹介してくれた
木村龍之介さんの登場です。
●すべての基本は呼吸です
まずは大山大輔さんによる「呼吸」の指導です。
オペラ歌手はどうやって
息を吸ったり吐いたりしているのか。
ものすごく奥が深いです。
いっしょにやってみましょう。
ちなみに、大山さんが朗読していたのは
松岡和子さん訳の『ロミオとジュリエット』の冒頭。
こんな風に、朗読できるようになってみたいですね。
ここからは、いよいよ 演劇の世界に入っていきます。
●魔女になってみましょう
ひとつ目は『マクベス』の魔女です。
なにが良くてなにが悪いのか、わからなくなった世界。
そんな世界を縦横無尽に飛んでいく3人の魔女。
「きれいは汚い、汚いはきれい。
飛んで行こう、よどんだ空気と霧の中。」
何度口にしても、深い言葉です。
魔女を演じる河内大和さん、真以美さん、
岩崎MARK雄大さんが口にしているセリフは、
翻訳家・松岡和子さんによる翻訳です。
では、どうぞ!
流れはわかりましたか?
次は、ご覧になっているみなさんも「魔女」です。
4人目の魔女になってください。
フードのようなものを被ってみると、
その気になれますよ。
字幕にならってセリフを言ってみてください。
魔女ですよ。魔女の気持ちになってくださいね。
ウッヒッヒッヒ……
マクベスを翻弄する魔女の気分を
味わっていただけたでしょうか?
テンポもいいので、全部の台詞を
口に出してみたくなりますよね。
ウッヒッヒッヒ……
●ハムレットの山場 亡霊との対話
つづくシーンは『ハムレット』から。
木村龍之介さんによる解説です。
「亡くなったお父さんが亡霊となって、
ハムレットの前に現れる場面です。
死んだ人と会うなんて、現実ではありませんから、
グッときます。ハムレットの気持ちになって、
亡霊に向かって声に出してみてください。亡霊に会ってからハムレットは、
社会と自分との関係をひとつずつ確認していきます。
彼はいつも一人ぼっちです。
一人であるが故に、たくさん自問自答します。
今の僕らとちょっと似てますね。
『ハムレット』は、ぜひ本でも
読んでみて欲しい作品です」
ほぼ日の学校「シェイクスピア講座2018」第3回
の授業では、『ハムレット』の時代背景と
当時の人々にとって亡霊がどんな存在だったか、
河合祥一郎さんが解説してくださっています。
その河合さんの名訳で、
まずは、ハムレット(河内大和さん)と
父の亡霊(大山大輔さん)、
2人の名優の重厚な掛け合いをどうぞ!
緊迫のやりとり、ドキドキしましたね。
次はみなさんの番です。
ハムレットを演じてみましょう。
亡霊は何を言おうとしているのか、
自分に何を命じているのか……
ハムレットの気持ちになって言ってみましょう。
いかがでしたか? ところで、
『ハムレット』で最も有名なセリフといえば、
To be, or not to be.
これをどう演じるか、「シェイクスピア講座2018」第8回
で 河内大和さんが「本当ならこうでしょう」という
すばらしい(そして意表を突く)演技を
見せてくださっています。
こちらもぜひあわせてご覧ください。
●大切な人に想いを馳せながら
さいごは、『ヘンリー六世』から、
マーガレットとサフォークの別れの場面です。
ここから木村さんの解説です。
「シェイクスピアの男女の恋愛はいろいろあるけど、
この場面の別れは、ビターで甘くて切ない。
酸いも甘いも知り尽くした大人が、
本気で恋愛して別れを決意するって、
まるで、全世界を相手に
ボクシングするようなものかも(笑)!演劇は大人の遊びです。
このシーンでは、みなさんも思いきり
大恋愛をしてみてください。
そういえば、松岡和子さんのおりたたみ傘に、
このシーンの言葉がプリントされていたっけな。
『あなたがこの地球のどこにいようと、
虹の女神を送って必ず見つけ出します』」
このシーンのセリフは、
その松岡和子さんの翻訳によるものです。
松岡さんのやわらかな言葉の選び方も
味わってください。
次は、愛する人を置いて去らざるを得ない
サフォークの気持ちになって、
女優・真以美さんが演じるマーガレットを
まっすぐ見つめて語りかけてください!
不思議なものですね。
俳優さんに向かって言葉を発するだけで
遠い時代、遠い世界に
心を連れていかれませんか?
舞台で繰り広げられる演劇とは
またちがった演劇の楽しみを
味わっていただけたでしょうか?
次回のワークショップは
「シェイクスピアの音楽会」にもご登場いただいた
ソプラノ歌手の佐藤裕希恵さんによる
歌のワークショップです。
これもまた、佐藤さんと共演できる
すばらしいプログラムです。
どうぞお楽しみに。
(つづく)
2020-04-23-THU