「ほぼ日の贈りものマルシェ」で
アンケートを実施した際、
みなさんの心に残る贈りもののエピソードも
おしえていただきました。
すると、とてもすてきなエピソードが
たくさん集まったんです。
家族との忘れられない思い出や
びっくりしたプレゼント、
まただれかへの贈りものを考えるときに
ヒントになるようなお話も。
そこで毎日ひとつずつ、
できるだけたくさんご紹介することにしました。
たぶん、1年くらい?
どうぞ、おたのしみください。
episode
050
赤いプラスチックのゆれるイヤリング。
一人息子がまだ1歳の時、
親友である彼女は難病を宣告され、
まったく先の人生が
わからなくなりました。
ともに30代前半、私は2人目を妊娠中。
若い私にはいろいろな思いもつまり、
見舞いの品は何が欲しいのか、
必要なのか、考えられません。
精一杯の生活の中、
高価なものも私には買えません。
その時、彼女が無類のアクセサリー好き、
子育て真っ最中でも
おしゃれが大好きなことを
思い出しました。
心が明るくなること、希望が持つこと、
その一心をこめて
病室でイヤリングを渡しました。
互いに病気のことを話すこともなく、
イヤリングを揺らしながら、
普通の女子の会話をしたと思います。
心の中では、
病院ではこれをつけることも
ないだろうと思いながら。
あれから30年以上たちました。
今年もまた彼女は大病をしましたが
乗り越え復活しました。
そして今もアクセサリーを作っています。
実は私は
同じイヤリングを買っていました。
かわいい真っ赤なイヤリング。
それを見るたびに、
今や孫もいる彼女の見事な人生に
拍手を送っています。
お見舞いの品を
贈りものといえるかどうかわかりません。
無事退院してほしい、
絶対最後の贈りものにしたくないという
全身全霊のエールをこめた
贈りものでした。
(m)
2023-04-12-WED