「ほぼ日の贈りものマルシェ」
アンケートを実施した際、
みなさんの心に残る贈りもののエピソードも
おしえていただきました。

すると、とてもすてきなエピソードが
たくさん集まったんです。
家族との忘れられない思い出や
びっくりしたプレゼント、
まただれかへの贈りものを考えるときに
ヒントになるようなお話も。

そこで毎日ひとつずつ、
できるだけたくさんご紹介することにしました。
たぶん、1年くらい?
どうぞ、おたのしみください。

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episode

054

元々言葉数の少ない私ですが、
留学中にほとほと感じたのは、
言語の上達には
おしゃべりせずにはいられない気性は
重要だということでした。

黙ってその場でいることに
苦痛を感じない私のような者は、
大学寮の方たちから
「あなたは理解はしているのよね、
喋らないだけで。」と言われて
ちょっと甘えていたかもしれません。

ある時、
ルームメイト(生粋のアメリカ人)が
幼馴染でもあるボーイフレンドとの
別れの危機を迎えて泣いていた時、
何をどう言っていいのか分からず、
ただ隣りに座って背中を撫でていました。

後年、あれがとてもありがたかったと
手紙で教えてくれた時、
無力感からしたことが
相手にはとても嬉しいプレゼントに
なっていたことを知って、
目が覚める思いになりました。

その時の自分が真心から
精一杯にできることを渡したり
受け取ったりしていくのが、
心を通わす本当の贈り物だと
思っています。
(m)

2023-04-16-SUN

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