今回の書籍化にあたっては、
取材のあと、何年も続くことになった
コロナ禍のあいだ、
それぞれに何をしていたかを追加取材。

久しぶりにお会いしてみると、
コロナを前に、何かをあきらめたり、
立ち止まっている人など、
誰ひとりいませんでした。

ある人は、北極圏での犬ぞりの旅に
どっぷりハマっていました。
ある人は、何冊もの本を書いて
（しかも売れて）いました。
ある人は何回ものテスト航海を終え、
あとは出航を待つばかり。
またある人は、
未踏峰で指を少し短くしていました。

それぞれ自らのフィールドで、可能な範囲で、
全員が「挑み続けていた」のです。

はからずも本書は、
彼ら現代日本の一級の冒険家・探検家たちが、
未曾有のコロナ禍にいかに対峙し、
どう挑み続けたかの記録・物語となりました。

その結果、もともとの連載内容と比較しても、
大幅にボリュームアップしています。

本の制作に取り掛かろうとしていたころ、
出演者のひとりである
前田泰治郎さんが、お亡くなりになった、
というとても残念な報せが届きました。
三浦雄一郎さんや関野吉晴さん、
星野道夫さんなど、
名だたる冒険家たちに同行して、
ムービーカメラを回していた前田さん。
残念ながら「その後」をうかがうことは
できなくなってしまったので、
かつて、前田さんとともに
南米ギアナ高地を旅した関野吉晴さんに
「冒険のさなかの前田さんって、
どんな人だったんですか」と聞きました。

未踏の洞窟探検と、恐竜の化石発掘。
フィールドや興味関心のベクトルは異なれど、
ともにその世界の第一人者どうし。
深いところで通ずるものが、きっとあるはず。

危険と安全についての哲学、
最後は自分を信じることの大切さ‥‥など、
ふたりの初対面・初対話は、
想像以上に刺激的で、おもしろかったです。

さらに、吉田さんが数十年来心に秘めてきた
「ギアナ高地で現代の恐竜を見つける！」
という夢に対する、小林先生の答えがすごい。
ちょっとしびれます。ご期待ください。

たぶん、本書所収のインタビューを読むと、
もっといろんな「冒険・探検の本」を
読みたくなるはず（ぼく自身そうでした）。

そこで、
みずから北極を旅する冒険家でありつつ、
冒険研究所書店を営む荻田さんに、
初心者からお好きな人までを満足させる
「冒険・探検の本」を８冊、
厳選して解説していただきました。
本書をきっかけに、
冒険や探検の世界への扉が開かれたなら、
こんなにうれしいことはありません。

ぜひとも、お手にとってみてください！