テレビでひっぱりだこの滝沢カレンさんが、
ちょっと変わったレシピ本を出しました。
おいしそうな料理が並んでいるけれど、
文章を読んでみると、あれ？ あれれ？
「何も知らない鶏肉」「目つぶし覚悟の玉ねぎ」
すべて、カレンさん流の言葉で解説された
独特な世界観の“レシピ文学”になっています。
そんなカレンさんから糸井重里に、
この本『カレンの台所』の帯に添える
コメントのご依頼をいただきました。
「この人は、日本語をこわしているのではない。
あたらしい日本語をデザインしているのだ。」
と書いた糸井が、滝沢カレンさんの日本語は
どうできあがったのか対談しながら探ります。
滝沢カレン（たきざわかれん）
1992年東京生まれ。
2008年、モデルデビュー。
現在は、モデル以外にもMC、女優と幅広く活躍。
主なレギュラー出演番組に
『全力！脱力タイムズ』（フジテレビ）、
『沸騰ワード10』（日本テレビ）、
『伯山カレンの反省だ!!』（テレビ朝日）、
『ソクラテスのため息
～滝沢カレンのわかるまで教えてください～』
（テレビ東京）など。
Instagram ＠takizawakarenofficial
- 糸井
- たまにはカレンさんも、
番組の台本からちょっと外すことが
あってもいいんじゃないかな。
明石家さんまさんっていう人は、
台本から上手に外せるから、さんまさんなんです。
さんまさんの場所に立っていれば、
そういうことができちゃうんだよ。
たとえばさ、「さんま御殿」で15分だけ
さんまさんをゲストの席に座らせて、
カレンさんがあの棒を持って司会しちゃったら？
- 滝沢
- ふふ、ちょっとやめてください。
あの場所に座っているだけでも
汗がほんとにすごいので、
司会なんて立っていられないと思います。
「さんま御殿」はほんとに緊張するので。
- 糸井
- みんなそう言うんだよね。
役に立とうと思うからだよ。
- 滝沢
- さんまさんって、テレビで見ていた人の中でも
「自分の前に来ないと思った人ナンバーワン」
の存在じゃないですか。
その人が目の前にいて、会話ができて、
話を聞いていただいて、
しかもツッコんでいただいて、
ほんとにありがたいなって思います。
- 糸井
- その気持ちはずっと忘れないでいて、
なおかつリーダーの座がとれるといいよね。
さんまさんはお笑いのプロとしてすごいんだけど、
そうじゃない面でも
人として素晴らしいところがいっぱいあるのよ。
- 滝沢
- そうなんですか。
やっぱりそういう人なんですね。
- 糸井
- それがあるから、さんまさんなんだよ。
そういう意味で、大好きだね。
- 滝沢
- 私も好きです。
- 糸井
- でもね、カレンさんも
そういう人になろうと思った方がいいよ。
- 滝沢
- さんまさんに？
- 糸井
- モデルをやってる、さんまさんだよ。
- 滝沢
- モデルやってるさんまさん（笑）。
そうなれたら最高ですし、
「さんまさんになりたい」なんて
人前で言わないですけど、
「さんまさんぐらいの頂点を取ってみたい！」
という夢はずっとありました。
まったく同じ道を行きたいというわけじゃなくて、
まだ誰も歩いていない道を行けたら
最高だなと思っていますけど。
- 糸井
- ああ、それは最高だね。
モデルをやっていて、
新人の子に教えられることってある？
- 滝沢
- アドバイスなら好きです。
私に悩みを言ってくれるのって、
ひとりの人間として
頷いてもらった瞬間だって思うんです。
人の話とか、悩みとか、恋愛相談、仕事相談。
友達の人生相談を聞くのも大好きです。
- 糸井
- 一所懸命になって答えるんだ。
- 滝沢
- 他人の人生について
考える時間をもらえるなんて、
私はすごく嬉しいです。
- 糸井
- 自分のためじゃなく、
誰かの相談を受けるのも
すごく栄養になってるのかもよ。
- 滝沢
- 悩みを聞いているうちに、
「あっ、そこは気にしてなかった」
と思って考えることもあるので、
すごくいい影響を受けています。
他人の人生の隣にいけるということは、
すごく嬉しいことです。
- 糸井
- そういう気持ちがあって、なおかつ、
さんまさんになりたいんだ。
- 滝沢
- さんまさんになりたいって言うと、
ちょっと違う感じですけど（笑）。
- 糸井
- 粘れるよ、粘れる。
「もういいや！」って、
投げ出さない子に思えた。
粘る子だなと思えたんだよ。
- 滝沢
- 私がですか？ 嬉しいです。
- 糸井
- 粘るっていうのは、
悪く言えばしつこいってことなんだけど、
そのしつこさは、才能だよね。
やめないでなんとかしようという気持ちが
いつも、今までもあったんだろうね。
- 滝沢
- そうかもしれないですね。
- 糸井
- 最後に、おまけみたいな話をしてもいい？
カレンさんはモデルをやっているけど、
モデルをやっていない子の中にも、
綺麗な子っていっぱいいるじゃないですか。
- 滝沢
- いっぱいいます。
- 糸井
- モデルをやっているからって、
いわゆる「綺麗な子」とは違いますよね。
でも、そのふたりが並んだとしたら、
モデルの方がカッコいいですよね。
- 滝沢
- そうですね。
服を着た時の立ち姿とか。
- 糸井
- モデルさんって、何が違うの。
- 滝沢
- モデルさんとしてカッコいい人は、
モデルとしての姿勢や洋服の見せ方を、
みなさん毎日研究していると思うんです。
でも、かわいい子でもモデルじゃなければ、
毎日研究する時間が取れないじゃないですか。
そう思うと、モデルじゃないかわいい子は、
人柄とか、親の育て方とか、
中から溢れている子が多いのかなと思うんです。
モデルさんの綺麗さとか、カッコよさって、
努力で手に入れたものだなって思います。
- 糸井
- 英会話を学ぶみたいに、
手に入れた綺麗さなんだ。
- 滝沢
- モデルさんは綺麗でいることが仕事だから、
絶対に週２でジム、週１でエステ、
痩せるマッサージをして、
痩せるお風呂の入り方をして、
早く寝て、お肌に絶対ニキビ作らない。
それが仕事で磨く美しさだと思うんですね。
私もきっとモデルをやめたら、
絶対に太っちゃうと思います。
私の周りに、モデルじゃなくても
かわいい子はいっぱいいますけど、
頼れるとか、中身が詰まっているとか、
中から溢れ出てくるものが強いんです。
- 糸井
- その人らしいかわいさというのは、
モデルじゃない子の方があるってことかな。
- 滝沢
- モデルさんはかわいくて当たり前って
思われちゃっているからこそ、
どんどん上へ上へいかなきゃいけません。
けれど、中から溢れ出てくるものも、
女の子にとって大切だなって思うんです。
そこは、違う仕事をしているかわいい子から
学べたらいいなって思います。
- 糸井
- モデルとしての綺麗さと、
女の子としてのかわいさと、
両方を持ちたいんだね。
- 滝沢
- もちろん持ちたいです！
女として生まれたので、モテたいと思いますし、
かわいくなりたい、カッコいいって言われたい、
あなたの服を着たいって言われたい。
でもやっぱり今は、
モデルをしている時が一番好きなんです。
- 糸井
- モデルをやっているんだけど、
なおかつ中から出てくるもので
かわいいっていうのが嬉しいんだね。
- 滝沢
- いつか結婚とか出産をして
第二の人生を歩むことになったら、
中から溢れ出てくる女の魅力を
使わなきゃいけないなと思っています。
- 糸井
- はあー。
この対談がその話で終わるのって、
みんなの役に立つと思うよ。
- 滝沢
- そうですか（笑）。
ありがとうございます。
- 糸井
- とてもいいことを教わった気がする、
男のおじさんだけど。
- 滝沢
- いやいや。
- 糸井
- あっ、おじいさんだけど。
- 滝沢
- いやいや、そんなことないです。
たのしい時間をありがとうございました。
- 糸井
- また何か機会があったらね。
ありがとうございました。
（おわります）
2020-04-22-WED
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滝沢カレンさん初の料理本、
『カレンの台所』ができました！