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#12 うでずもう大会

この漫画のもとになった投稿

「腕相撲大会するで~」

8月、一学期のお楽しみ会で、
わたしは言った。
「えっ、先生いいんですか」
と、子どもたちはとても驚いてくれた。

予想通りの反応だ。
(みんな、かわいいいなぁ)

どうやってやるのか、本当にできるのか、
まだ何も分からないのに、
子どもたちはやるき満々。

上体がグッと前のめりになり、
ほんのわずか椅子から腰が浮いている。

コロナ禍の前までは、
腕相撲大会をすると言っても
ここまで喜んでくれることはなかった。
コロナ禍のせいで、
友達と手をつないだり、
握手をしたりできなくなってしまった。

給食は
全員が前を向いて食べないといけない。
食事中のおしゃべりも禁止になった。

「そんなにしゃべってたら、
ごちそうさまに間に合わんで~」
と毎日、言っていたのが懐かしい。

でも、いざ黙々と食べ続けるだけの
子どもたちの姿を見ると、
胸がギュッと絞めつけられる。

「先生、いつになったら給食のとき、
友だちとしゃべれるんですか」
「先生、体育で馬跳びがしたいです」
と、子どもたちに聞かれる。

そのたびに、私は、
「ごめんな、まだあかんねん」
と答えた。

でも、絶対に、
コロナの壁を乗り越える方法があるはずだ。
毎日、毎時間、
なんとかコロナの壁を取り払えないか考え続けた。
そして、一学期の終業式前日の朝、
家で壁を乗り越える工夫を思いついた。

「ビニル袋を手に着けたら、腕相撲できる!」

わたしがビニル袋を掲げると、
子どもたちから歓声が上がった。

6年生だが、男女関係なく
いろんな友だち同士で腕相撲をしはじめた。
みんな、勝っても負けても大喜びだった。

教室で友達と触れ合える喜び、
肌のぬくもりを感じているようだった。

これからも、
コロナの壁を
子どもたちと一緒に乗り越え続けたい。

(匿名さん/いつかの「今日のコドモ」より)

2023-01-04-WED

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    今日マチ子

    漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題となる。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に4度選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。コロナ禍の日常を絵日記のように描いた近著『Distance わたしの#stayhome日記』が、2022年1月『報道ステーション』にて特集された。

  • 漫画:今日マチ子

    編集:奥野武範(ほぼ日)

    デザイン:杉本奈穂(ほぼ日)

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