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#29 危険すぎる! きなこもち

この漫画のもとになった投稿

祖母のつくる「きな粉餅」が大好きだった。

あまりにも当たり前に食べていたので、
食べられなくなる日が来るなんて、
思ってもいなかった。

もう一度あのきな粉餅が食べたいと
自分で何度もつくってみたけれど、
どうしても、祖母の味にならない。

切り餅は水をたっぷり纏わせて
柔らかくなるまでレンチン。
タッパーにたっぷり入れたきなこに投入、
全体にまぶす。

きなこは
スーパーで買えるごく普通のもので、
そこに白砂糖をたっぷり、
気持ち多めの塩。

シンプルなものだからなおさらなのか、
何度配合を変えても
思い出の味にはほど遠い。

ひさしぶりに実家に帰ったときに、
母につくれないのか聞いてみたところ
「つくれるけど、つくりたくない」
という答え。

祖母を思い出して辛いのかと
聞いてみたところ、そうではないと言う。
だったらどうして、と食い下がる
わたしの言葉には答えず、
母は渋々という感じで
「じゃあ、明日つくってあげるけど、
あんたとなりで見てなさいよ」と言った。

翌日、母のその言葉の意味がわかった。

タッパーに入れたきなこに
母が投入した白砂糖は、
「たっぷり」などという
かわいらしいものではなかった。

その量、まさに「致死量」。

あのきな粉餅に、
あれほどのステルス白砂糖が
入っていたとは。

以来、わたしにとって祖母のきな粉餅は、
思い出の中だけに優しく眠るものになった。

(匿名さん/いつかの「おもちの思い出」より

2024-07-04-THU

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