2023年春、ほぼ日は自転車を販売します。
自転車メーカー、
「トーキョーバイク」さんとのコラボモデルです。
「トーキョーバイク」で人気の車体に、
ほぼ日オリジナルのカラーリングをほどこしました。
フレームには、ほぼ日がたいせつにしている
「ONLY IS NOT LONELY」ということばも。
山を走るのが「マウンテンバイク」なら、
東京を走るのが「トーキョーバイク」。
もちろん、東京だけでなく、あなたの街でも。
「速さ」や「移動」のための機能よりも、
なんでもない日常にたのしい変化を加えるような
「かろやかさ」や「ここちよさ」をたいせつにする‥‥。
そんな「トーキョーバイク」の自転車のありかたに、
わたしたちほぼ日は、ときめいたのでした。
清澄白河にある店舗にお邪魔して、
「株式会社トーキョーバイク」代表、
金井一郎さんにお話を聞きました。
第2回
ママチャリしか乗ったことのない人へ。
- ───
- 今回、ほぼ日のオリジナルカラーで
作っていただくのは
どんな自転車なのですか?
- 金井
- CALINというモデルです。
トーキョーバイクの自転車は、
変速ギアがあるものとないもので
それぞれいくつかシリーズ展開しているのですが、
CALINは変速ギアありのなかでは
こまわりがきくコンパクトなモデルです。
- ───
- カラーは2色、1サイズ展開ですが、
どれくらいの身長の人が乗れるのでしょう?
- 金井
- 1サイズでも、適応身長の幅が広いんですよ。
身長140cm~170cmの方に乗っていただけます。
小学校3年生くらいから
乗っているお子さんもいますね。
ですからお子さんとお母さんと共同で使う、
なんてことも。
- ───
- なるほど、家族で自転車をシェア。
それはいいですね。
- 金井
- 何度かマイナーチェンジをしているのですが
CALINの原型は10年以上前に作りました。
当時、SPORTという
その名の通りスポーツバイクに近いモデルが、
トーキョーバイクでいちばん人気だったんですが、
もうちょっと気軽に乗っていただけるように、
SPORTのデフォルメ版を作ろうということで
CALINがスタートしました。
- ───
- スポーツバイクよりも
気軽に乗れるモデルということですね。
形にはどんな特徴があるのですか?
- 金井
- たとえば、フレームです。
他のモデルでは、ホリゾンタルフレームという、
地面に対して水平のものを使っています。
CALINは女性がスカートでも乗りやすいように、
フレームが斜めになっているんです。
- ───
- あ、この斜めはスカートのことを考えて。
- 金井
- あとは全体的にすこしちいさくして、
大人も子どもも使えるサイズにしています。
老若男女を問わず
多くの人に乗ってほしい、
という思いから生まれたCALINですので。
- ───
- だから1サイズ展開。
このコンパクトさは収納にも便利そうです。
- 金井
- そうですね、
屋外の駐輪場に停めず、
家の中で保管される人も多いようです。
エレベーターに入れやすいとか、
玄関に置くときに邪魔にならないとか、
そういった便利さはありますね。
- ───
- タイヤも一般的な自転車に比べて、
コンパクトな感じで。
- 金井
- そうなんです。
タイヤが大きいほうが
長い距離を走るのはラクなのですが、
これくらいのほうが自分の住む街を
スピードを出し過ぎずに走り回るには
ちょうどいいんですよ。
近所といっても、
3つか4つくらい先の駅までは
走れると思います。
- ───
- スポーツバイクほどスピードは必要なくて、
近所を快適に走りたい人向けの
モデルということですね。
- 金井
- そうですね。
あとは、「クロモリ」という
フレームを使っているのも、
トーキョーバイクの特徴です。
- ───
- クロモリ?
- 金井
- 鉄に「クロム」と「モリブデン」を加えた
いわゆる合金です。
- ───
- その合金はどういう特徴が?
- 金井
- 頑丈だったり錆びにくくなります。
- ───
- クロモリは自転車のフレーム素材として
一般的なのでしょうか。
- 金井
- 昔はクロモリが多かったんですが、
アルミの方が軽いということで
いまは多くの自転車がアルミです。
ただ、アルミにすると、
強度がないから太くしないとダメなんですよ。
だから、どうしても見た目がゴツくなります。
- ───
- ほんとだ、
これは車体がほっそりしていますね。
- 金井
- ぼくが子どものころに乗っていた
クロモリの自転車は、
細いフレームがすごく美しかったんです。
その思いもあって、
シンプルに美しい形でありながら
しっかり機能を果たす
クロモリのフレームを採用しています。
- ───
- フレーム以外にも、自転車には
いろいろなパーツがありますが、
ぜんぶご自分たちで設計を?
- 金井
- いえ、フレームは自分たちでやっていますが、
ギアなどのパーツの設計は
基本的にはしていないんです。
世の中にあるたくさんのパーツから、
トーキョーバイクらしさを出すために
どれを組み合わせたらいいかを考えて
選んでいます。
- ───
- 「トーキョーバイクらしさ」というのを
ことばにするならば
どういったふうになるでしょうか。
- 金井
- そうですね‥‥あの、
ママチャリってありますよね。
- ───
- はい。お手頃なものが多くて、便利な。
- 金井
- それはそれで良さがあるのですが、
今までママチャリにしか乗ったことがなくて
「自転車はこれで十分」と思ってる人が、
「あれ? ぜんぜんちがう」「これたのしい」
と思ってくれるような‥‥
トーキョーバイクらしさは、
そういうところにあるかなと思っています。
- ───
- なるほど‥‥。
じつはわたしたちも今回、
「good bye ママチャリ」というテーマを掲げて
この自転車を販売することにしたんです。
「ママチャリを卒業したいけど、
スポーツバイクはハードルが高いから」
と思っている方にトーキョーバイクが
ぴったりだと思ったので。
- 金井
- ありがとうございます。
スポーツバイクを自転車メーカーさんが作ると、
ギアをいっぱいつけるんです。
前輪だけでギアが2~3段あるのが
スタンダードじゃないでしょうか。
街を走るのにそれはいらないし、
必要ないものを付けて重くするくらいなら
省けるものは省いて、
操作もシンプルにしていこうと思っています。
- ───
- 見た目も操作も、シンプルでスマート‥‥。
「good bye ママチャリ」というテーマに、
ほんとうにぴったりです。
(つづきます)
2023-05-26-FRI