こんにちは、ほぼ日の永田です。
もう、20年以上前から、2年に一度、
オリンピックの全種目を可能なかぎり観て、
そこに寄せられる膨大なメールに目を通し、
それらを翌朝までに編集し、読むだけでも
1時間くらいかかる長文コンテンツに仕上げて
大会期間中毎日公開する、という、
常軌を逸することをやっておりました。

しかしそれも2020東京オリンピックで一区切り。
前回の北京オリンピックからは、
毎日、観ることは観るものの(観るんですね)、
メールの編集と長文テキストの公開はやめて、
1日1本、観戦コラムを書く、という、
のんびりした姿勢でやっています。

観戦しながらのリアルタイムな感想は、
永田の旧ツイッターのアカウント
(@1101_nagata)で発信しています。
ぎゃあ、とか、うぁっ、みたいな反応は
そちらでおたのしみください。
旧ツイッターのアカウントをお持ちの方は
ハッシュタグ「#mitazo」をつけて、一緒に、
くわっ、とか、ひぃぃ、とか言いましょう。

 

永田のX(旧Twitter)アカウントはこちらです。
>@1101_nagata

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#01

パリオリンピックのはじまりに

 
こんにちは、永田です。
まず、おさらいしておきましょう。
たくさんの方からの膨大なメールを当日に編集し、
尋常ではない長さの読み物に仕上げる
「観たぞ、オリンピック」シリーズは、
2021年の東京オリンピックで一区切りしました。
え、そうだっけ? というみなさん、
そうなんですよ、忘れてるかもしれませんけど。
実際、2年前の冬の北京オリンピックからは、
オリンピックを観ながら尋常なペースで、
尋常な長さのコラムを毎日書くという、
とてもまっとうな当たり前の
コンテンツに形式を移しています。
ええええ、あの長いのがよかったのに! 
という方がたくさんいらっしゃる一方で
(ほんとにありがとうございます)、
このかたちになったからこそ、
ふつうに読むようになった、という方も、
けっこういらっしゃるのですよ。
これまで何度か書いてますが、
「観たぞ」がもっとも「観たぞ」らしかったのは、
この世にSNSがなかったころでした。
そんな時代のスポーツファンたちは、
テレビのなかに発見した驚きやよろこびやおかしみを、
じぶんひとりで噛みしめるしかなかったのです。
家族に「ねぇねぇねぇ、いまね」と話しかけて、
「ああそう」と返されるしかなかったのです。
そんなときに「そうそうそう!」と言い合える
「観たぞ」シリーズはたいへんに貴重だったわけですが、
いまは「うわあ」とか「行けっ」とか「へぬぁっ」とか
言い合う場所やツールがたくさんあるのです。
いや、「へぬぁっ」と言い合える場は
あんまりないかもしれないけれど。
でも、おもしろさを共有する方法は、
そのときどきでいちばん自然なかたちに
変わっていったほうがいいとぼくは思うのです。
というわけで、ぼくも「へぬぁっ」的な叫びや短い感想は、
Twitter(現X)の個人アカウントから発信します。
もしよろしければ「@1101_nagata」を検索してみてください。
アカウントを持っている人はハッシュタグ「#mitazo」で
いっしょに「どぇぇ」とか言い合いましょう。
そしてこの「パリオリンピックを観ている」という場所では、
たぶん、毎日1本のペースで
なにかまとまった文章を書いていくと思います。
どうぞよろしくお願いします。
今日、ちょっとおかしかったことは、
会社でミーティングをするために集まったとき、
そこにいたみんながふつうに前日の深夜に行われた
サッカーのパラグアイ戦のことを話しはじめて、
まったく観てなかったひとりが、
「えっ、もうオリンピックやってるの?」
「ていうか、みんな観たの?」
「これからも観るの?」とおろおろしていたことでした。
そうそうそう、
オリンピックって、そうなんだよ。
みんなはじまるまえまでは、
どうかなあ、なんて思ってるんだよ。
テレビがそればっかで、いろいろ問題もあって、
なんだかなあ、なんて思ってるんだよ。
でも、じわじわと、なんか観ちゃうんだよ。
正確にいうと、観るというより、
「観る自分に気づく」んだよ。
「あ、俺、観るのか」と、軽く驚いたりするんだよ。
4年に一度、夏と冬をあわせると2年に一度、
ぼくらはオリンピックを観る自分に気づく。
「あ、俺、観るのか」と気づく。
「私、やっぱ、観るんだわ」と気づく。
時間はかかるし、寝不足になるし、気持ちは折れるし、
報酬もないし、仕事は滞るし、
なんで観るのかまったくわからないけど、
観て、盛り上がって、落ち込んで、ドキドキして、
叫んだり涙ぐんだりゲラゲラ笑ったりして、
「なにやってんだろ?」なんて思う。
そんな感情の起伏は日を追うごとに激しくなって、
振り回されることにようやく慣れてくるころに、
オリンピックは、すっと終わってしまう。
だってそれはいつも17日間しかないから。
週末3回+平日2週間の17日間しかないから。
スポーツを観ない人は、たくさんいます。
それはそれで当然のことだし、
なんなら観ないほうがらくだよね、とも思う。
けれども、誰かのパフォーマンスに
自分の鼓動をシンクロさせることに
たしかなよろこびを感じられる人は世の中にいて、
もしもあなたがそういうタイプの人であるなら、
せっかくだからぜひ一緒に
たのしみましょうとぼくは言いたい。
オリンピックどうしようかなとか思いつつ
やっぱり観る自分に気づくなら、
初日からどんどん行こうぜと肩を叩きたい。
畳に上がる選手の背中をバンバンバンと
決められたリズムで叩くコーチのように、
さあはじまるよ、と気合を入れてあげたい。
リンクの中央に向かう選手とおでこを合わせて
見つめ合いながらなにごとか
集中を高めることばをつぶやいてあげたい。
否、それは冬のルーティンである。
具体的にいえば、今夜、開会式です。
はじまるのは、深夜2時半という、
笑っちゃうほど非常識な時間です。
むしろそれはなつかしい時差だとぼくは笑いたい。
高く掲げるフレーズは変わらない。
人生に、スポーツ観戦を。
WATCHING SPORTS COLORS YOUR LIFE.

(つづきます)

2024-07-26-FRI

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    タイトル写真:とのまりこ