飛んで、投げて、跳ねて、持ちあげる!
超人的なパワーとスピードで、
人間の想像を軽くこえてくるもの。
そう、それがプロレス!
そんなプロレスを愛してやまないのが、
お笑い芸人の馬場園梓さんと
気象予報士の元井美貴さんです。
ほぼ日手帳2021weeks
「新日本プロレス別注版」の発売を記念して、
プロレスの話をたっぷりうかがいました。
担当は「ほぼ日」稲崎です。
イラスト:広く。
馬場園梓(ばばぞの・あづさ)
お笑い芸人。大阪府出身。
1997年、NSC大阪校20期生。
2002年、相方の隅田美保とともに
お笑いコンビ「アジアン」を結成。
2005年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞、
2006年「NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、
2007年「MBS新世代漫才アワード」優勝など多数。
趣味はプロレス観戦の他、
Vシネマ鑑賞、ゲーム、創作料理など。
3歳から唐揚げ好き。
定期的に唐揚げをつくり、研究している。
新日本プロレス公式スマホサイトでは、
「アジアン馬場園の“萌えろ”新日本プロレス」
を好評連載中。
Twitter:@babazonoazusa
Instagram:@babazonoazusa
note:馬場園 梓
元井美貴(もとい・みき)
気象予報士・キャスター。
東京都出身。
2000年に気象予報士の資格を取得し、
BS-i「キャンパスウェザー」で
大学生お天気キャスターとしてデビュー。
TBSテレビなどで気象解説を担当する他に、
ラジオパーソナリティやプロレス番組キャスター、
新日本プロレスワールドで解説員も務める。
ルチャリブレ研究家でもあり、
プロレスマスクをこよなく愛する。
Twitter:@motoimiki
YouTube:モッキーチャンネル
広く。(ひろく。)
イラストレーター・漫画家。
鳥取県東部出身。
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
ブログ『プ女子百景《プロレス女子図鑑》』を運営。
新日本プロレス公式スマホサイトで連載中の
『新日本学園・女子イラスト部』をはじめ、
雑誌、TV、WEBなど複数のメディアで
イラストレーターとして活躍の場を広げている。
内藤哲也選手(新日本プロレス所属)の大ファン。
著書に『プ女子百景』『プ女子百景 風林火山』
『新日学園 内藤哲也物語』など。
今回のトップのイラストは、
広く。さんに描いていただきました。
Twitter:@cohirohiroko
Instagram:@cohirohiroko
- ──
- まわりに「プロレスが好き」って言うと、
必ずといっていいほど聞かれるのが、
「プロレスって真剣勝負じゃないんでしょ?」って。
- 馬場園
- ああ、言う人いますよね。
- ──
- おふたりはそういうとき、
どんなふうに答えるんでしょうか。
- 馬場園
- ちょっと考えてみてほしいんですけど、
もしプロレスがただの
パフォーマンスでやるものだとしたら、
あんな大ケガしてまで誰がやろうと思いますか。
- ──
- あー、たしかに。
- 馬場園
- プロレスラーってほんとうに
命がけで試合に挑んでいるんです。
試合中に大ケガをして、復帰どころか、
歩くことさえできなくなったり‥‥。
- 元井
- ヒロム選手も2018年に首の骨を折って、
復帰に1年半かかりましたから。
- ──
- 首が折れた?!
- 元井
- 試合中に相手の技を受けて
頚椎を骨折しました。
命の危険もあるような状況でしたが、
奇跡的に首の神経は無事だったそうで。
- ──
- はぁぁ‥‥。
- 馬場園
- ほんとうにプロレスって
ケガと隣り合わせなんです。
あと数ミリずれてたら‥‥というような世界で、
みなさん真剣に戦っています。
- 元井
- そうですね。
- 馬場園
- それでもまだ
「プロレスは真剣勝負じゃない」
というような人がいたとしたら、
私は逆に聞きたいです。
「自分の命をかけること以上に、
真剣なことがこの世にあるんですか!」
‥‥と。すみません、
ちょっと熱くなっちゃいました。
- ──
- いやいや、そのとおりだと思います。
- 元井
- もしプロレスに対して先入観がある方は、
まずはやっぱり生で試合を
観戦してほしいなって思いますね。
- 馬場園
- そうですね。
- 元井
- 人と人がぶつかるときって、
会場だとものすごい音がするんです。
「こんなにすごい音がするの?!」
っていうくらい。
- 馬場園
- 「バッチーーン!」ってね。
- 元井
- 会場だとお互いの殺気だったり、
気迫だったり、生身の人間同士の戦いが
リアルに伝わってきます。
本当のプロレスを味わうなら、
やっぱり一度は生で観てほしいですね。
- 馬場園
- お客さんの熱気もすごいですからね。
- 元井
- プロレスラーってお客さんに
360度囲まれた状態で試合をします。
どこにも隠れられない状況で、
パンツ一枚のような格好で
自分のすべてをさらけ出すわけです。
現WWEの中邑真輔選手いわく、
「おしっこを漏らすような感覚」で
試合をするそうです。
- 馬場園
- それだけ「解放する」ってことですよね。
- 元井
- 心を解放しまくって、感覚を開きまくって、
すべてを会場のみなさんに委ねるってことですかね。
プロレスラーって自分のすべてをさらけ出して、
それを命がけでする人たちなんです。
- ──
- ものすごいことですね、それって。
- 馬場園
- そこまで命を削ってまで
戦う姿を観せてくれるというのは、
もうそれだけで尊い存在ですよね。
- 元井
- そうですよね。
- ──
- 個人的な話で恐縮なのですが、
プロレスの試合を観てると、
そうやって命をかけて戦うレスラーに
自分自身を重ねてしまうんですよね。
- 馬場園
- いやいや、わかります。
私だって自分をめちゃくちゃ重ねますから。
私自身、もともと目立つことが
得意じゃなかったからか、
めちゃくちゃ強いのに、
アピールが控えめという選手に
惹かれるところがあります。
- ──
- 自分と似た選手に惹かれるんですね。
- 馬場園
- 勝手に通じるものを感じて、
めちゃくちゃ応援してしまいます。
だけどそれとは逆に、
自分にないものを持っている方にも惹かれます。
矢面に立ってみんなを
引っ張っていくような方にも憧れます。
もともとはザ・グレート・カブキさんの、
めちゃくちゃかっこいい入場に
胸をつかまれたというのもありますし。
だから、なんていうんでしょう。
やっぱり自分自身を重ねたり、
こんな人になりたいっていう、
理想や憧れを重ねたりしてるんですよね。
- ──
- そういう意味では、
ずっとやられっぱなしの選手が、
最後に反撃して勝ったりすると、
やっぱりうれしかったりしますよね。
- 馬場園
- そうなんですよね。
やっぱり普段イヤなことがあっても、
プロレスで勇気づけられることって、
ほんとうにいっぱいあるなって思うんです。
ストレスがたまりまくって、
全部放りなげたくなるときって
誰にでもあるじゃないですか。
- 元井
- うんうん、ありますよね。
- 馬場園
- そういうことって、
たぶんみなさんあると思うんです。
「どいつもこいつもコノヤロー!」
みたいな思いをしたときにプロレスを観ると、
「この人もこんなにがんばってるから、
私ももう少しがんばってみようかな」
って思えてくるんですよね。
- 元井
- プロレスを観終わったあとって、
不思議と生きる活力がわいてくるんですよね。
私、いつも試合を観たあとは、
「あー、お肉食べたい!」って思います(笑)。
- 馬場園
- それ、わかります(笑)。
- 元井
- あれ、なんなんでしょうね。
生きるきもちがわいてくるというか。
- 馬場園
- たぶんそれって、レスラーのみなさんが、
どれだけ地獄に叩きつけられても、
そこから這い上がろうとするからだと思うんです。
- 元井
- ああ、そうですね。
やっぱりそういう姿を観せられると。
- 馬場園
- どれだけ負けても、
どれだけどん底に追い込まれても、
そこで下を向くんじゃなくて、
そこから這い上がってやろうとするんですよね、
プロレスラーって。
- 元井
- うんうん。
- 馬場園
- やられてもやられても立ち上がる。
その試合でボロボロに負けても、
諦めない限りリベンジできるんです。
それこそがプロレスの素晴らしいところですよね。
人生と同じで、自分が諦めない限り、
何度でもチャレンジできるっていうか。
- 元井
- 日本人にとってのプロレスって、
戦後の力道山さんのころから、
「やられても立ち上がる」ことの
象徴だったような気がするんです。
どんなに苦しい状況になっても、
最後は立ち上がって相手をやっつける。
その姿を国民に見せることで、
勇気を与えていたような気がするんです。
だから、いまの世の中もそうですけど‥‥。
- 馬場園
- そうなんですよね。
いろんなことで苦しんでる方は、
きっとたくさんいらっしゃるはずで。
- 元井
- そういうときでも、
相手のことを受け入れつつ、
自分の置かれた状況を受け入れつつ、
諦めずに立ちあがろうとする。
その勇姿をプロレスは観せてくれます。
だから、こういうときこそ観てほしいんです。
その、プロレスを。
- 馬場園
- ほんと、そうですよね。
うまくいかないこともあるけど、
もう少しがんばってみようかなって。
そういう前を向くきもちを、
私もプロレスからもらってるような気がします。
(つづきます)
2020-09-25-FRI
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巻末には16ページにわたる
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