かつて、「ほぼ日」には「ミーちゃんの縁側。」という
80歳をすぎてからパソコンを初めて使いこなすようになった
糸井重里の母A(ミーちゃん)の日記が連載されていました。
この日記には、お家のおとなりのケーキやさん
『Schwestern Haus(シュヴェステルンハウス)』
のことがたくさんでてきました。
彼女が日記のなかで「仕事」と言っているのは、
この店のお手伝いですし、日記のなかでの食事というのは、
料理教室もやっているこの店の店主である
初美さんがリーダーシップをとってつくっているものです。
2002年から毎年年明けに
このお店の冬期限定のチョコレートケーキ
『ザッハトルテ』の販売しています。
今年ももちろん「ほぼ日」でお手伝いします。
「ほぼ日」ではここ20年ばかり、
年明けには、前橋の「シュヴェステルンハウス」の
ザッハトルテの注文をご案内しています。
きっかけやくわしいこと、
どんなザッハトルテかということは
こちらにまとめをしました。
ご存知ない方は、ぜひおよみくださいね。
さて、2022年のザッハトルテは、
700個ご用意いたします。
1月13日(木)の午前11時から、
メールでの受付を開始します (先着順です)!
(受付は終了しました。1/13追記)
ちょっと、ややこしいのですが、
この販売は、「ほぼ日」ストアでの販売ではなくて、
直接ケーキやさんにメールで注文していただく、
という方法で行います。
くわしくは↓こちらのページを、
受け付け開始の前によーく読んでおいてくださいね。
ほぼ日での販売20回記念!
変わったこと、変わらなかったこと。
・
2022年のザッハトルテ・シーズンが
やってまいりました。
昨年は緊急事態宣言下ということもあり、
「シュヴェステルンハウス」のある
前橋行きは中止しましたので、
お店にうかがうのは2年ぶりです。
- 金井さん
- ようこそ、いらっしゃいました。
- ーー
- ご無沙汰してます!
ほぼ日でザッハトルテの販売をはじめたのが
2003年なんですけど、改めて数えてみたら
今回の販売でなんと20回目なんですよ。
- 金井さん
- 20回! うわぁ。
ずいぶんやりましたねえ。
- ーー
- ただ、ほぼ日で販売する前からも
ザッハトルテは作ってらっしゃって。
以前のインタビューで、
1988年にお店がオープンして、
その翌年にはザッハトルテを
作っていたとおっしゃっていましたよね。
- 紀子さん
- もう、30年以上は作ってますよね。
- ーー
- 30年‥‥!
ものすごい長さですよね。
- 金井さん
- そうね、この前もお客さんに
「子どもが大学生になりました」って言われて、
感慨深かったです。
- ーー
- ずっと作り続けてこられたわけですけど、
30年前と比べて、どういうところが
変わりましたか。
- 金井さん
- やっぱりいちばん変わったのは作る時期かな。
30年前はもっと早い時期、
10月から作ってましたよ。
- ーー
- 当時は10月が既に涼しかった、
ということですか。
- 金井さん
- そう、気候が全然違う。
10月に作りはじめてたのは30年前で、
20年前だと11月上旬くらいかな。
いまだと12月まで待たなきゃいけない。
でも12月は他の商品もあって、
ザッハトルテに集中すると大変だから
11月の勤労感謝明けくらいには
やらなきゃねって言ってるんだけど‥‥。
- 金井さん
- 作り終わる時期も違って、
昔は3月にもまだ作れていたけれど、
今はあったかくなっちゃってるから、
2月の最終週はまずできない。
届くときにあったかい日が続くのも良くないし‥‥。
- ーー
- 冷蔵できないケーキだから、ですよね。
改めて伺いますが、
どうして冷蔵庫に入れると良くないのでしょう。
- 金井さん
- チョコレートが白くなっちゃうし、
生地も冷やすとしまりすぎて、
おいしくなくなっちゃうんです。
- ーー
- 「涼しいところに置いてくださいね」
ということですよね。
- 金井さん
- でも、どうしても冷蔵庫に入れたい人や
間違って入れちゃった人は、
時間をかけてゆっくりゆっくり常温に
戻してもらえれば、
それなりにおいしく食べられるけど、
そこまでする人はあまりいないと思うんです。
冷蔵庫から出したらすぐ食べるじゃない。
- ーー
- そうですね(笑)。
待っている時間も贅沢と思って
楽しめればいいですけど、
やっぱり「冷蔵庫に入れない」と決めたほうが早そうです。
チョコレートも、酸味のあるチョコレートと
あまいミルクチョコレートの配合を
気温によって使い分けていると伺いましたが、
材料については、昔と比べて変わりましたか?
- 金井さん
- 昔とは使っている材料が全く違います。
特にチョコレートって輸入物だから、
輸入されなくなったり、廃盤になったりして、
突然手に入らなくなったりするんです。
そのたび必然的に変えなくちゃいけなくなって、
チョコレートは何回も変えてます。
- ーー
- じゃあ、そのたびに味の調整をされて。
- 金井さん
- そう。ジャムのメーカーが変わってしまったときも、
味が変わらないようにするために、
かなり調整してます。
煮詰めたりレモン汁を加えたり。
- ーー
- そのレモンも、生のレモン汁だと
酸味が弱いということで、
いろいろ試されて、業務用の
シチリアのレモン汁にされたんですよね。
- 紀子さん
- そうそう。
それでもね、いちばん最初、
30年前のものと、今のものと、
もし食べ比べることができたら、
ずいぶん違うと思う。
早い話がね、どんどんコスト高になっていった(笑)。
- ーー
- コスト高!
- 金井さん
- 結局ね、チョコレートも杏ミックスジャムも
味が落ちないようにちゃんとしようとすると、
いいものを使いたいからコストが上がってしまう。
かなり煮詰めて使うから、量が必要です。
それでもたくさん使いたいのは、
どこから食べても杏を感じてほしいからで、
そのためには粘度を一定にして、
均一にたっぷり塗りたい。
それは、私のなかで崩せないものでした。
- ーー
- 数の変化もありましたね。
最初は400個からスタートして、
1000個作ってくださった年もありました。
- 紀子さん
- 1000個のとき、ありました。
- 金井さん
- あれは大変だったね。
- ーー
- ここ数年も700個作っていただいてますが、
いちから作る様子を拝見して、
あれだけ手間のかかる工程を1つ1つ手で行うのって、
とんでもない作業だなと。
卵白の泡立て具合とか、ジャムの塗り方とか、
すべてが職人技で、レシピを公開しても、
この技術は真似できないということを実感しました。
- 金井さん
- そうね、うちのレシピなんて企業秘密でも
なんでもないんだけど、
微妙なさじ加減を伝えるのが難しいですね。
ほかの材料も、どこそこの
高級なものを買って‥‥とかもないんです。
だけど、新鮮かどうかはすごく大事ね。
たとえば卵だって、卵白を泡立てるときなんか
特に鮮度が重要だから、
すぐに新しいものを持ってきてくれる
卵屋さんのものを使っています。
- ーー
- それにしても、ザッハトルテって
出すところも増えて、
ずいぶんポピュラーになってきましたよね。
30年の重みを感じます。
- 金井さん
- 長いわよねえ‥‥。
当時はほとんど売っているところなかったのに。
- ーー
- 通販でいろいろ手に入る時代になって。
- 金井さん
- うちは、いまだに発送も紀子さんが
手書きで書いてくれてます。
あれがいいよね。
- 紀子さん
- 発送もそうだけど、注文の返信をするのが大変。
生地を冷ましている間なんかに、
慌てながらやってます。
- ーー
- 包装も手作業で大変そうですけど、
そのぶん届いたときの喜びは大きいと思うんです。
毎年うれしい声をいただいてて、
「宝石箱が届きました」という感想をくださった
お客さまもいましたね。
- 金井さん
- そうなんです。
ほぼ日さんのお客さんって、
すっごく良い方ばかりで、ほんっとびっくりしちゃう。
いつも感謝しているんです。
- 紀子さん
- 何かミスがあって問い合わせをいただいたときも、
こちらが悪いのに、お客さんのほうから、
ひょっとして私の書き方が悪かったせいかしら、
なんておっしゃってくださって‥‥。
もうね、本当にありがたいことです。
一度買ってくださった方が、
次は他の方へのプレゼントにしてくれることも多くて。
- ーー
- ああ‥‥それは私たちもうれしいです。
- 金井さん
- ありがとうございます、本当に。
- ーー
- そんなわけで、
これからも、まだまだ続けていただければと。
どうぞよろしくおねがいします。
ということで、みなさま!
ことしのザッハトルテ、
注文受付は2022年1月13日(木)午前11時からですよ〜。
700個限定ですので、お早めにどうぞ。
(まいどありがとうございます。)
2022-01-12-WED