さらば青春の光の森田哲矢さんに、
インタビューしました。
古着について、コントについて。
スニーカーについて、
「ごっつええ感じ」について‥‥。
いろんな話題を行ったり来たり。
楽しい時間でした!
はじめての主演映画も、
そろそろ公開になるようですよ。
担当は「ほぼ日」奥野です。
森田哲矢(もりた てつや)
M-1グランプリ、キングオブコントともに決勝進出を果たす実力派コンビ・さらば青春の光のメンバー。株式会社ザ・森東の社長を務める。個人事務所ながらテレビ、ラジオと多数のレギュラー番組を抱え、YouTubeも精力的に更新中。
- ──
- 有名な話ですが、森田さんって、
古着が大好きなんだそうですね。
- 森田
- そうなんすよ。
- ──
- 自分も世代的に古着が好きでした。
毎日、古着屋に通いたくて、
わざわざ、高円寺に住んだりして。
- 森田
- いやあ、憧れてましたね、ぼくも。
高円寺とか、原宿とか。 - まだ大阪にいたころ、
雑誌の『Boon』とかで見てたんで。
- ──
- 古着といえば『Boon』でしたよね。
- 森田
- ぼくらのバイブルでしたね。
- ──
- 森田さんやぼくがまだ10代だった
1990年代って、
ヴィンテージブームからの流れで、
古着に注目が集まって、
ぼくが住んでた田舎のほうにも、
古着屋がどんどんできてきていて。 - 東京では、いまの人気ブランドの
N.HOOLYWOODの尾花大輔さんが
go-getterって古着屋を
キャットストリートに立ち上げたのを、
それこそ『Boon』の別冊とかで見て
「行きたい〜」と思ってたりしました。
- 森田
- たしか当時は、
Jリーガーに古着好きの人が多くて。 - 前園(真聖)さんとか
めっちゃいいジーパン履いてました。
大阪のナイロンって
ゴリッゴリの高い店で買ってた気が。
- ──
- いつごろからお好きだったんですか。
歴史をひもとけば。
- 森田
- 14歳くらい、じゃないですかねえ。
- はじめてアメ村に、
みんなでおそるおそる行ってみたのが、
それくらいだと思います。
- ──
- それはつまり、古着を探しに。
- 森田
- そうです。きっかけは何やったかなあ、
もう忘れましたけど、
たぶん浜田さんとかやった気がします。
- ──
- ああー、ダウンタウンの浜田雅功さん。
かっこよかったですもんね。 - ストリートファッション誌の表紙とか、
ふつうにやってて違和感なかった。
- 森田
- あのころは、PUFFYなんかも、
めっちゃいいジーパンじゃないのそれ、
じつは‥‥みたいな時代でしたよね。 - 14くらいで『Boon』を買いはじめて、
みんなで
「こんど、アメ村、行ってみる?」
って言って、それなりの金‥‥
たぶんひとり1万、2万くらいの金を
持ってったんですけど。
- ──
- ええ。
- 森田
- はじめてやから、
どこへ行ったらいいかもわからんから、
ぼくは結局ステップで、
レザーコルテッツ買ったの憶えてます。
- ──
- おおー、ナイキのレザーコルテッツが、
森田さんのおしゃれデビュー。 - で、ステップというと靴屋さんですね。
- 森田
- そう、ディープな古着屋に行くはずが、
大きな量販店さんで(笑)。 - でも、自分の地元には、
ステップなんてもんはなかったんです。
だから、
ここがすげえとこなんだなって思って、
5000円くらいのレザーコルテッツを。
- ──
- お買い求めに。なるほど。
- 森田
- いまから思い返すと、
当時は、ようボラれてたと思いますね。
古着屋で。 - わかってるフリして
ちょっと背伸びしたい中学生を相手に、
高い値段で
売りつけるようなやつらがいたんです。
- ──
- じゃあ、そうやって、
最前線で「経験値」を高めて(笑)。 - そういう「90年代」だった。
- 森田
- はい。90年代の後半のあたりですね。
ぼくら「AIR MAX狩り世代」なんで。
- ──
- 「狩り」をつけないでください(笑)。
- 森田
- ぼくは狩ってはいないですけど(笑)、
でも、自分のまわりでも、
靴脱がなあかんカラオケ屋さんとかで、
盗られたりしてましたから。
- ──
- 大ブームになったAIR MAX95、が。
- ちなみに、大阪の古着屋さん事情って
ぜんぜん知らないんですけど、
東京でいうと、
圧倒的な物量で見せる古着屋じゃなく、
店内を「編集」してるような、
セレクトっぽい古着屋が出てきたのも、
それくらいの時期かと思うんです。
- 森田
- はい、はいはいはい。
- ──
- 当時の大阪って‥‥。
- 森田
- ぼくらが通っていたような古着屋は、
もう、雑然も雑然。 - ブワーっと赤耳が置いてあったりね。
そういう店ばっかりでしたね。
- ──
- 赤耳っていうのは
古いリーバイスのジーパンですけど、
当時、どれくらい‥‥。
- 森田
- ぼくらからしたら、高かったですよ。
- 27000円の赤耳を買うのが、
自分の精いっぱいでしたもん、当時。
- ──
- でも中学生で‥‥って、
けっこうな買いものじゃないですか。
- 森田
- 中3とかやったかなぁ‥‥。
お年玉をそのままぶっこんで買った、
みたいな感じでした。 - で、高1のときに、
今年もお年玉でなんか買うおうかな、
なんて思って、
35000円持ってウロウロしてたら
そっくりそのまま、
悪い奴らにカツアゲされたんですよ。
- ──
- ひゃー。
- 森田
- 泣きました。アメ村で。
- ──
- 全額ですか。
- 森田
- そうです。お年玉狩りに遭いました。
- 当時、そういうのを狙ってるやつが、
いっぱいいたんです。
- ──
- ちなみに、なけなしのお金で買った
90年代当時の古着って、
自分はまだ持ってたりするんですが、
森田さんは‥‥。
- 森田
- 実家にあるかもしれないけど、
基本は、どっかいっちゃってますね。 - ただ東京に1着だけ持ってきてます。
- ──
- おお、それは。
- 森田
- 高1くらいのときに
先輩からたしか4万くらいで買った、
カバーオールというか、
デニムのジャケットがあるんですよ。 - これは価値あるもんやって言われて
買ったんですけど、
その後、
古着屋さんの知り合いとかもできて、
「いいじゃん」って
言われたりしたこともあったから、
これだけは持っていこうかと思って。
- ──
- デニムのカバーオール‥‥というと、
BIG MACとかですか? LEEとか?
- 森田
- いや、U.S. Navyだと思います。
軍モノです。めっちゃ汚いんですよ。 - だからもう着てはいないんですけど。
「タタキ」も入りまくってるし。
- ──
- タタキって「リペアの跡」、ですね。
- でも、古着のキャリアにしたら、
めちゃくちゃ長いですね。30年近く。
その間ずっと、古着ばかりで?
- 森田
- いっとき買えない時期はありました。
芸人になりたてのころ。金がなくて。 - 生活費もろくにないのに
アメ村なんか行ってる場合じゃない、
みたいなころです。
でも、ちょっとずつ
仕事でお金をもらえるようになって、
また買いはじめた‥‥という。
- ──
- 毎日、何かしら着ている感じですか。
- 森田
- たぶんそうっすね。
- ──
- 今日は全身、古着っぽいですもんね。
- 森田
- 今日はぜんぶやと思います。
アウターのスカジャン以外はぜんぶ。
- ──
- それぞれ、どういう古着なんですか。
- 森田
- はい、上は、たぶん
そんな高くなかったと思うんですが、
チャンピオンとかでも何でもない、
ふつうのヴィンテージのスウェット。
- ──
- コロラド大学、と。
- 森田
- 少し前にパシフィコ横浜でやってた
古着フェスで
たしか2万円くらい‥‥やったかな。 - 下も古着のベイカーパンツですけど、
スニーカーは、
これまでのぼくの古着人生の中でも、
いちばん高いスニーカーです。
- ──
- コンバースのオールスターの‥‥
CT70、チャック・テイラーですか? - なんか、特別バージョン?
- 森田
- 15万くらいしました。
- ──
- えええっ、そんなにするんですか!?
- 森田
- はい。これ、ぼくが高校生のころは、
18000円とかで売ってたんです。
それがいま、
こんだけ値上がりしてるっていうね。
- ──
- 古靴ですか? デッドストック?
- 森田
- デッドストックではないんですけど、
程度がめっちゃよくて。
オリジナルのからし色ってのがレア。
たぶん、それで高いんです。 - しかも、サイズも「9」ってことで、
27センチとかなんで、
日本人のゴールデンサイズなんです。
- ──
- はー‥‥しみじみ見てしまいます。
- 森田
- だからその‥‥ふだんは
10日に1回も履かないくらいですよ。 - 今日、こんな取材やって聞いたから、
無理やり履いてきたんです。
あのー、
あんま履きたくないやつですね。
- ──
- それはそれは、
ありがとうございます(笑)。
- 森田
- はい、大丈夫です(笑)。
(つづきます)
写真:池ノ谷侑花(ゆかい)
2023-04-17-MON
-
森田哲矢さん主演の映画
『大阪古着日和』、公開です!光石研さんが主演して話題となった
YouTube番組『東京古着日和』の「大阪版」が
映画になりました!
その名も『大阪古着日和』です。
主演は、古着大好き大阪代表・森田哲矢さん。
ヒロイン役の花梨さんと
古着屋で出会い、
なんだか、いい感じになっていく本人役です。
チャンピオンのスウェットなんかの古着も、
まるで登場人物のひとりのように、
重要な役割を果たします。
オリジナル東京版の光石研さんも出演!
本人役なので、東ブクロさんも出てきますよ。
公開は4月21日(金)から。ぜひ!
詳しいことは映画の公式サイトでご確認を。「もともと『東京古着日和』が好きで
そのことをYouTubeで言ったら、
制作スタッフの方から出ませんかと言われて。
え、いいんですか? って。
最初は、光石研さんが行った先の古着屋で、
ちょこっと出てくる人いるじゃないですか。
『東京古着日和』には。
あれかな~と思ってたんですよ。
そしたら、森田さん主役です、みたいな。
え、いいんですか、えー、
そんなyoutubeもあったらいいですよね、
とかって言ったら、
いや、youtubeじゃないです、映画ですと。
えええー! ってなりました。
マジ、なんでも言っとくもんやなあと。
こっ恥ずかしかったですけど、
自分なりに、精一杯やらせてもらいました。
演技は難しかったです。
コントやってるほうが楽でした(笑)。
花梨ちゃんがかわいいんで、必見ですよ。
光石研さんも、すごくいい感じなので、
『東京古着日和』のファンにも、
ぜひ、観てもらえたらなあと思っています」
(森田さん)映画「大阪古着日和」
2023年4月21日(金)
渋谷ホワイトシネクイント他 全国順次公開森田哲矢(さらば青春の光)
光石研 花梨 東ブクロ 森島久監督・脚本・編集:谷山武士
脚本:谷山武士、廣川祐樹詳しいことは映画の公式サイトでご確認を。
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