バフンウニの嘆き。  Nageki Of Bahun-uni


和名 フンコロガシ、
タマオシコガネ
学名 Scarabaeus sacrer
コウチュウ目
科名 コガネムシ科
嘆きその11 フンコロガシ
えー、フンコロガシです。
フンコロガシですけれども、
本日は、ちょっと違う趣旨でもって
思うところ、述べさせていただきます。
えー、このたびですね、私、
この「バフンウニの嘆き」というコーナーに
出演を依頼されたわけなんですが、
えー、なんていうんでしょう、
私、フンコロガシは、
ここに登場されているお歴々とは
いささか趣がことなるのではないかと、
ま、かように思うしだいであります。
たしかに、たしかに、私の名前、
響きのよいものではございません。
品でいえば下でしょう。
場によっては大声で叫ぶことがはばかられましょう。
なんせ名前の冒頭に「フン」があります。
「フン」すなわち「糞」でございます。
ですが! みなさん! 
断じてここで宣言させていただきますけれども、
私、この名前を恥じたことは一度もございません!
なぜというに、私、真実、糞を転がしております!
例を挙げるには失礼ですが、
大先輩「バフンウニ」さんは、
あずかり知らぬ他者によって失礼にも容姿を
「馬糞に似たり」と決められた名前であります。
翻って、私の名前がどうかというと、
これは、自分の意思でもって糞を転がし、
比喩でなく、イメージでなく、姿そのままの名前が
この「フンコロガシ」という六文字でございます。
くり返しますが、私、フンをコロガシております!
生きていくにフンは欠かせません。
私はフンとともにあり、
私にとってフンはコロガすためにあります。
フン、ウォーク・ウィズ・ミー。
ボーイズ・ビー・フンコロガシ。
フンをコロガす私が、
フンコロガシでなくてなんでありましょう!
このような栄えある場にお招きいただいたこと、
たいへん光栄に思っております。
ですが、このきらびやかな嘆きの場は、
私のように、触覚に汗して
労働にいそしむ甲虫にとっては
身に余る高みであると存じます。
それでは、私、午後の転がしがございますので、
これにて、失礼いたします。ゴロゴロゴロ‥‥。

(つぎなる嘆きへつづく)
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2010-03-16-TUE