まずね、「サメ」じゃないの。
ほんとはスズキの仲間なんだって。
でもね、それはいいんだ。
だってサメのほうがかっこいいから。
「噛むぞ!」「凶暴だぞ!」「新宿!」みたいな?
3つめの「新宿!」はちょっとわかりにくかったね。
まあいいや、それはそれとしてさ。
コバン! 小判だよ? すごくない?!
江戸時代に流通した、きらっきらのお金!
それがさ、ぼくの頭の、この、ひらたいところと
ソックリだっていうんでしょ?(笑)
これは「コバン」じゃなくて「キュウバン」だよぉ!
あははははははは!
ま、ま、ま、でも悪い気はしない。
なんか、超高級魚になった気分。
しかも凶暴な「サメ」だからね、
さしずめマフィアの大金持ち、みたいな?!
あはははは‥‥はは‥‥は‥‥。
と、思っていました。
たいへん立派な名前をつけていただいたものだと。
ですから、なんでここに呼ばわれたのか、
最初はまったく意味がわかりませんでした。
なぜ、ぼくが嘆かなければならないのか‥‥。
よくよく、よくよく事情をうかがいました。
‥‥‥おどろきました。
「えらい人物にすりより、おこぼれをちょうだいする」
そういう人を軽蔑するときに
「あいつはコバンザメのようなやつだ!」
と言うのだそうですね‥‥。
‥‥なぜですか? どうしてですか?
せっかくつけたこの立派な名前を使って、
なんでそんな、ざんねんな比喩をしますか?!
え? なに?
「大きな魚やクジラなどに吸いついて
えさのたべかすや排泄物を食べるから」?
‥‥そ、そのとおりですよ!
吸いつくのは、生き残るための知恵ですから!
ここ(ヒレで頭を指す)を使って考えたんです!
自分で泳がなくてもいいしねっ!!
‥‥な、なんですか、逆ギレって。
ともかくですね、そういう感じの比喩ならば、
「金魚のふん」っていうのがあるでしょう。
「あいつは金魚のふんみたいなやつだ!」
のほうが良くないですか?
意味合いがちょっとかわってきますけどね。
でも何がいいって、これなら金魚も傷つかない。
悪く言われてるのは「ふん」だから。
むしろこの場合、金魚は「えらい人物」です。
だからせめて、ぼくの生態を軽蔑するのならば、
「金魚のふんのようなコバンザメだ!」
と言っていただけると、すこしは救われる思いです。
ややこしいですか?
「コバンザメ」という名前のきらめきだけは、
たいせつに残しておきたいのですが、だめですか‥‥?
(つぎなる嘆きにつづく)
|