ニセアカシアです。
本日は、たいへん、
常識的なお話をさせていただきます。
カンタンな道理です。わかりやすい理屈です。
「ニセ」はないでしょう、「ニセ」は。
非常識でしょう。失礼でしょう。あと、不便でしょう。
ま、百歩ゆずって、「アカシア」さんが、
べつの植物として存在したとしますよ?
だったら、私に違う名前をつけるべきでしょう。
間違ってます? 私の言ってること、間違ってます?
思い立ってじぶんちの家系図を調べるような気持ちで
どうやってこんなおかしな名前がついたか
資料をひもといてみましたよ。
すると、私、どうやら外国産でね、
日本に入ってきたときに「アカシア」と呼ばれたと。
ところが本来の
(「本来の」ってのも腹立たしいですが)、
「ネムノキ科アカシア属」の
植物っていうのが別にあって、
それが、あとから日本に入ってきたと。
で、どうなったかというと、
私の名前が「ニセアカシア」に変更。
ひどいじゃありませんか。
極めて乱暴じゃありませんか。
そりゃね、人は間違いますよ、誰しも。
ほぼ日刊イトイ新聞的にいえば「まつがい」ますよ。
だから、最初の輸入のときに間違えた
明治期の人を責めるわけじゃありません。
「あ、しまった!」と。
「アカシアじゃなかった!」と。
そこまでは、いい! そこまでは!
だがしかし!
なぜそこで「ごめんなさい」が言えない!
間違ってました、すいません、と。
そういってあらためて新しい呼び名を
つけるがいいじゃありませんか。
それを、なんですか、
開き直ったように「ニセアカシア」って。
「じゃあ、ニセアカシア」って!
「そんなら、ニセアカシア」って!
「ニセアカシアってことで」って!
おかしいでしょう、それ。
乱暴っていうか、怠慢でしょ。
だって、考えてもごらんなさい、あなた。
たとえば、昔、ヤクルトスワローズに
ベッツっていう外国人選手がいたでしょう?
いたんですよ、ヤクルトにベッツっていう選手が。
このベッツ選手ね、初来日のとき、
空港に球団関係者が迎えに行ったんですけど、
なぜか、なかなか見つからなかったんですよ。
で、焦った関係者が、それっぽい白人を見つけて
「あなたはベッツですか?」って訊いたんですよ。
そしたら、その白人、どういうわけか、
「ああ、オレはベッツだ」って答えたんですよ。
しかも、たいへん不可思議なことに、
記者の取材にもきちんと答えたんですよ。
ヤクルトに入団するベッツ選手として、
シーズンの抱負なんかをきちんと語ったんですよ。
でも、ほんとはそのベッツ、
ベッツじゃなくて、ただの観光客だったんですよ。
と、いうときに、ですよ?
その観光客の名前が「ニセベッツ」になりますか?
英語でいうなら、うーんと、ええっと、
「フェイクベッツ」とか「ダミーベッツ」とか
「イミテーションベッツ」とかになりますか?
え? いや、ベッツの話は、冗談じゃなくて、
2003年にほんとにあった話ですよ。
ちなみに、当のベッツ本人は、
成績不振で1年で解雇されちゃったんですけどね。
あれ? なんか話がそれてるなぁ。
もっともっといろんなことが
言いたかったんだけどなあ。
有名な歌にうたわれてる「アカシア」も
実際には私のことだったりするとか、そういうことが、
まあ、いいや、なんでも。うん。
ちょっとすっきりしたし。
(つぎなる嘆きへつづく)
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