あ、すみません、高いところから失礼します。
どうしても、上から目線になっちゃってすみません。
そもそも、「なんだそれ?」って思いますよね。
ええ、ええ、わかりますとも。
「星くず」というのは、
ちっちゃい星がたーくさん散らばっている
その「状態」ですからね。
「状態がしゃべるのか」と。
そんなふうに思われますよね。
いやいや、そうではないのです。
今回しゃべらせていただいているのは、
たくさんの中の、名も無きちっちゃな星なんです。
矢印がありますでしょ?
それです、それ。
それ、わたし。
ね、なんの特徴もない平凡な星なんです。
じゃあ、嘆きます。
「もしかして、ひどい名前じゃないか?」
と気がついたのは、つい最近のことでした。
んーとね、600年くらい前かな。
なんか、イメージはいいじゃないですか。
「夜空にちりばめられた星くずが‥‥」
みたいに言われると、悪い気はしないでしょう?
だから、なんとなく聞き逃していたというか、
ムードにごまかされていたというか、
まあ、そんな感じだったんですよ。
でもね、よくよく考えてみるとですよ、
「くず」っていうのは、
やっぱりどうかと思うのです。
なんでわざわざ「くず」とか言うんですか?
ロマンチックな気持ちになってるんでしょ?
なのに、屑(くず)。
「役に立たないもの」ですよ?
「残りカス」みたいな意味ですよ?
つまり、「ゴミ」ですよ?
まあ、あえてそういう呼び名に
したのかもしれないですけど‥‥。
それにしても、と思うのですよ。
「人間のくず」っていうのは、
かなり最低な人のことを言うんでしょ?
「星のくず」だって、
言われた方は、ちょっと、ねえ。
‥‥とはいえ、はい。
わかるんです、みなさんに悪気がないことは。
だから今回のわたしのひとりごとは、
かなり控えめな嘆きだと思ってください。
「ヘクソカズラ」とか「ハメゴロシ」のほうが
ぜんぜん気の毒なので、
そういう方々のあとに
改名をご検討いただければそれで十分です。
それはそれとして、夏ですねえ。
天の河はご覧になりました?
きれいな天の河は「くずだらけ」です。
あとね、みなさんが暮らす星も、
遠くから見れば「星くず」なんですよ。
そういうことを、ちょっとね、
知っておいてほしいなあ、と。
‥‥すみません、高いところから。
(つぎなる嘆きへつづく)
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