バフンウニの嘆き。  Nageki Of Bahun-uni


和名 双葉鈴木竜
学名 Futabasaurus suzukii
上科 プレシオサウルス上科
エラスモサウルス科
フタバスズキリュウ属
フタバスズキリュウ
嘆きその34 フタバスズキリュウ

ぬぬぬぬぬぬ‥‥ブハァァァァ!
8500万年前の世界からコンニチハ。
私の名前は、フタバスズキリュウ。
日本ではじめて発見された首長竜ですよ。
全長、約7メートル。
ハッハッハッハッ、でっかいでしょう?
ほぅら、ご覧なさい、首も長いでしょう?
なにせ、私が発見されるまえは、
日本に恐竜はいなかった、
なんてこともいわれてたらしいですからね、
大きいんですよ、私の存在って。
つまり、物理的にも意味的にも大きいわけです。
ハッハッハッハッ。
でも、顔と態度はでっかくないですよ?
ハッハッハッハッ。
いや、態度はちょっと大きいかな?
ハッハッハッハッ。
さて、そんな私ですけどね、
自身の境遇にはほとんど不満はないんですが、
唯一、どうにかしてほしいなと
思っているのが、名前なんですよ。
そう、私の名前、フタバスズキリュウ。
なんで、あいだに、
人の名字がはさまってるんスか?
え? わからない? よく見てくださいよ。
フタバ「スズキ」リュウ。ね?
この、かっこよい、白亜紀に君臨する、
全長7メートルのオレ様のなかに、
なんだって、スズキさんが
入っちゃってるんですか?
人の名前のなかで、なにやってるんですか?
しかも、私の名前、和名で表記すると、
「双葉鈴木竜」ですよ?
「鈴木」って。「鈴木竜」って。
もろでしょ、それ。ごまかしようがないでしょ。
人の名前のなかで、違和感ありすぎでしょ。
いや、わかってますよ? 鈴木さんでしょ?
1968年に私の化石をはじめて発見した
当時高校生だった「鈴木直」さん。
たしかに、彼がいなきゃ、
私は世の中に出てこられなかったわけです。
そういう意味では、感謝してます、鈴木さんに。
ほんと、ありがとうございます。
でもね、だからといってね、
フタバスズキリュウなんていう、
そんなところで主張してこなくてもいいでしょ。
そりゃね、わかりますよ、
発見者の名前が、ものにつけられる
っていうのはよくあることだってね。
でもね、なんていうの、組み合わせとして、
相性がわるすぎるでしょ?
「鈴木」と「恐竜」は。
「鈴木」が「恐竜」のわけがないし、
「恐竜」が「鈴木」のわけがないですよ。
もっといえばね(上着脱ぐ)、
ぶっちゃけね、名字が入り込むにしても、
もっとカッチョイイ名字ならいいんですよ。
いや、いま、全国の鈴木さんに
失礼なことを言ってるって自覚してますけどね、
まぁ、いち首長竜の戯れ言と思って
聞いていただきたいんですけどね(お茶飲む)、
フタバスズキリュウよりは、
「フタバトドロキリュウ」とか、
「フタバキョウゴクリュウ」とか、
「フタバヒムロリュウ」とか、
「フタバアリスガワリュウ」とか、
そーゆーのが、よかったんですけど?
そーゆー人に、発見されたかったんですけど?
みなさんの名字はどうですか?
恐竜に似合う名字? 似合わない名字?


(つぎなる嘆きへつづく)

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2010-08-24-TUE