いつもたいへんお世話になっています。
わたくし、電子式卓上計算機です。
さっそくですがクレームを。
‥‥え? クレームではなく、嘆き?
ふむ‥‥いいでしょう、了解しました。
理数系のわたくしですが、
そのニュアンスのちがいは理解できます。
ではあらためて、嘆きます。
「電卓」‥‥‥‥。
あんまりですね。
まちがってますね。
「短縮」の仕方が適切ではありません。
まあ、とはいえ、
短縮語で呼ばれるということはたぶん、
親近感を抱いてくださっているわけで。
それについては、ありがたく受け止めましょう。
たとえば、バンツマ、アラカン、エノケン‥‥
(たとえが古くてわかりませんか?
わからない場合は各自検索してください。
ここで説明するよりもそれが合理的です。)
もとい。
バンツマ、アラカン、エノケン、
すべて多くのファンに愛された人々です。
カツシンも、そうですね。
最近ですと、なんでしょう‥‥
やはり、キムタク? マツジュン?
みなさん、愛されています。
愛ゆえの短縮です。
ただしこういった方々の「短縮型愛称」は、
一定の法則によって導き出されています。
すなわち、
苗字=a+b
名前=c+d
(a+b)+(c+d)=姓名
とした場合、
短縮型愛称=X
のXは、原則として以下の4パターンに限られます。
X=a+c
X=a+d
X=b+c
X=b+d
大丈夫ですか? ついてきてますか?
例を挙げましょう。
(エノ+モト)+(ケン+イチ)=榎本健一
X=エノケン
これは、X=a+cのパターンですね。
ちなみに原則を守るという意味では、
「エノイチ」「モトケン」「モトイチ」も正解。
さあ、ここからですよ!
重要なPOINTは、ここからです。
以上の原則を、わたくしの名前に当てはめると‥‥
(電子式+卓上)+(計算+機)=フルネーム
X=(電+卓)って!
X=(a+b)って!
これは原則に反するでしょうが!!(教壇を叩く)
わかります?
「電子式卓上」の部分だけ短縮してどうするの?!
っていう話ですよ。
「電子で卓上」‥‥の、なんだって言うの!?
「計算機」の部分を無視しちゃだめでしょう!
‥‥え? 最初からそう言え?
まわりくどいうえに、わかりにくかった?
ま、まあ‥‥そういう性分なんです!
いいの!
な、なんですか、わたしのボタンの
「C」と「AC」の区別もつかないくせに。
とにかく、わたくしは「計算」がメインなの。
そこを無いものにされるのは、すごく悲しいんです!
最近‥‥安いし。100円って!
ちなみに、ここにくる前に
「不当な短縮名称」というテーマで、
ケータイと話し合いを持ちました。
「ケータイ」も、ひどい言われようですよ。
いったいなにを携帯してるんだ、と。
なんでメインの「電話」を省略するんだ、と。
かわいそうなケータイですが、
代表は、わたくしがつとめることになりました。
それについてはケータイも納得してくれています。
納得してくれた理由、わかりますか?
‥‥1979年、JIS規格で、
「電卓」が正式名称に定められたんです。
正式名称! もはや逃げ道なし!!
あんまりです‥‥。
ああ、最後にもうひとつ、
「電卓という名前はあんまりだと思います」
という応援の電子メール(略しません)を
(のぃのぃ)さんという人からいただきました。
そのおかげで、わたくしはこうして嘆けています。
(のぃのぃ)さん、ありがとうございました。
でも、やっぱりせつないです‥‥。
(つぎなる嘆きへつづく)
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