ゴリライモさんは、
吉沢やすみさんが1970年に描かれた
『ど根性ガエル』のなかに登場する
キャラクターの名前です。
この「バフンウニの嘆き」というコーナーは、
当人が自己の名前の不当さを嘆く場所ですが、
吉沢先生の生みだしたキャラクターを
勝手にしゃべらせるわけにはいきません。
よって、ここでは、
ゴリライモさんの代理人として、
ゴリライモさんの心中を慮って、
ひらがなで書くなら、おもんぱかって、
嘆いていきたいと思います。
あのね、みなさん、
考えてもみてください。
自分の名前が「ゴリライモ」だとしたら
いったいどんな気分ですか?
「ゴリラ」だけでもキツいでしょう?
「イモ」と呼ばれるのもイヤでしょう?
それが、なんと、
「ゴリラ」+「イモ」ですよ?
「ゴリラ」であり、かつ「イモ」。
「イモ」でありながら、「ゴリラ」。
そんなひどい名前で呼ばれたら、
あなた、いったいどんな気分ですか。
「ゴリラ」と「イモ」で
「ゴリライモ」という
その名前の構造はね、
私の記憶がたしかなら、
人名というよりは、怪人名です。
「ハサミ」と「ジャガー」で
「ハサミジャガー」です。
「カメ」と「バズーカ」で
「カメバズーカ」です。
「ポテト」と「トマト」で
「ポマト」というのは
またちょっと違った構造の名前です。
「太陽神戸三井銀行」なんていう、
やけくそみたいな名前もありましたっけね。
話をゴリライモさんに戻しますけどね、
彼の悲哀はコスチュームにも至ります。
そうです、彼の着るTシャツには、
いつだってデカデカと、
「ゴ」の文字が!
「ゴ」、すなわち、
「ゴリライモ」の「ゴ」!
ありえない! どこで買うねん! 誰が買うねん!
ていうか、誰がつくるねん!
おっとそこのあなた、
あなたはひょっとしてこう言いたいのですね。
「ゴリライモさんよりも、
ブタゴリラさんのほうが
名前としてひどくないですか」と。
ああ、あの『キテレツ大百科』のね。
しかしながら、あなたはもう少し
歴史的見地から物事をとらえるべきだ。
なぜというに
『ど根性ガエル』の連載開始は1970年だが、
『キテレツ大百科』のそれは1974年。
つまり、ブタゴリラさんが存在したとき、
すでに、ゴリライモさんは存在したが、
ゴリライモさんがデビューしたとき
ブタゴリラさんはまだ
この世にいなかったということになる。
というとき、どちらの存在がより孤独か?
むろん、ゴリライモさんであろう。
さらに踏み込めば、
インターネットで調べてみるに、
ブタゴリラさんの本名は「熊田薫」である。
一方、ゴリライモさんの本名は、
なんと、「五利良イモ太郎」!
うそでしょ、それ、無理でしょそれ、
役所が受理しないでしょ、そんな名前!
いや、マンガといえどもさ!
ああ、すいません、興奮した。
ちょっと、水を一杯。
ぐびぐびぐび、ぷはーー。
そんなわけで、
本日はゴリライモさんに成り代わって
嘆かせていただきました。
回を進めるごとに、毎回、
破綻への階段を一段一段のぼりつつある、
この「バフンウニの嘆き」、
さて、次回はどうなることやら‥‥。
(つぎなる嘆きへつづく)
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