糸井 | 中畑さんは、チーム以外のこと、 DeNAという球団がやってる いろんな企画なんかも いっしょに相談したりしてるんですか。 |
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中畑 | すごくやってます。 |
糸井 | ああー、そうですか。 いろんなことやってますよね、DeNAになってから。 「試合の内容に満足しなかったら 入場料を返せるチケット」とか。 |
中畑 | ええ、いろんな企画があがってきますよ。 なかには、首をかしげるような 企画もありますけど‥‥。 |
糸井 | (笑) |
中畑 | まぁ、そういうのもあって企画だから。 どうかなぁ、って思うのもあるけど、 効果があるのかどうかは、 やってみなきゃわかんないわけで。 実際、そういう企画の方が成功してたりするし。 |
糸井 | たとえば、どんなのがありました? |
中畑 | いろいろあったけど‥‥ 「100万円チケット」とかね。 (※家族で贅沢な1日を満喫できるチケット。 リムジンが迎えに行き、練習を見学でき、 選手たちとの触れあいがあり、 試合直前の横浜の空をヘリでクルーズし、 特等席で試合を観戦し、 中華街の老舗で監督とディナーをたのしみ、 ホテルのスイートに宿泊する) ちゃんと売れて、 すごく喜んでもらえましたから。 だから、やっぱり、やってみなきゃね。 |
糸井 | いろいろやったほうが、おもしろいんですよね。 ぼくの知り合いには、 古くからの横浜ファンがけっこういるんだけど、 「今年は球場に行くのがたのしかった」 って言ってるもの。 |
中畑 | ああ、それはうれしいですね。 新しいことをすると、話題になるでしょ? 意外性のあるネタのほうがニュースになる。 そうすると、広く知れ渡ることで 成功する部分も出てくる。 まともな企画なんて、どこも取り上げないんだから。 その点、うちは、誰もやったことがないことを 攻めていく、勇気ある球団なんですよ。 |
糸井 | たしかに、ジャイアンツにできるかというと‥‥。 |
中畑 | やれない、やれない。 いままでの野球界に慣れてる球団には できないですよ、やっぱり。 ま、ぽしゃった企画も、山ほどありますけどね。 |
糸井 | はははは。 |
中畑 | 一回話題になったけど、続かなかったりね。 でも、それもやってみないとわかんない。 |
糸井 | そうですね。 |
中畑 | うちは、そういうことが できるチームだってことです。 だからおもしろいの。 |
糸井 | 打席に立たなきゃ三振もできないですしね。 |
中畑 | そうそう、そのとおり。 だから、新しいことに挑戦する 勇気だけはたっぷりありますよ、うちは。 |
糸井 | あと、古い伝統に縛られなくて済むっていう 軽さみたいなものもあるかもしれませんね。 たとえば、練習してて、 「こうしたらどうだ」って口を出すOBが たくさん来すぎるのも困るでしょう。 |
中畑 | あ、でもね、じつはこのチームは、 これまでOBを来にくくしている傾向があって、 そこはぼくは、よくないと思っていて、 むしろ改善するようにしてるんです。 |
糸井 | ああ、そうなんですか。 |
中畑 | うん。キャンプなんかでも、 OBはグランド入っちゃいけないとかね、 そういう妙な制約があったので、 それはちょっとおかしいなと思って、 いまはどんどん開放してます。 もうOB室とかそういう施設もつくって、 むしろ来やすい環境をつくるように 球団にもお願いしてある。 |
糸井 | はぁー、そうですか。 いや、ぼくの好きなチームなんて、 キャンプなんかを見ていると OBがどんどんやって来るんで、 現場を預かる人はちょっと困るんじゃないかなぁ、 なんて、勝手に思ってたんですけど。 |
中畑 | いや、それもあっていいんじゃないですか。 やっぱり、興味を持ってもらうことこそが、 チームに存在感のある証拠ですから。 お客さんも、OBも同じだと思いますけど、 チームがおもしろくなかったら、 観に来る人もいなくなっちゃうわけだから。 |
糸井 | ふーん。 |
中畑 | ベイスターズは親会社は変わったけど、 チームとしての歴史はあるわけだし、 いろんな人材が来てくれるのは いいことじゃないですかね。 |
糸井 | いや、中畑さん、やっぱり違うわ。 本職の監督だわ、言うことが。 |
中畑 | ははははは。 |
糸井 | なるほどね。 そのとおりかもしれないですね。 誰かがいろいろ言ってきたとしても、 いちいち振り回されるんじゃなくて、 選手がちゃんと心構え持っていれば いいってことですよね。 |
中畑 | そういうことですよ。 きちんとチェックしてくれるんですよ、 実績残してる先輩たちって。 |
糸井 | うん、うん。 |
中畑 | ああ、この選手、おかしな方向に行ってるな、 っていうときに、素直にそう言ってくれる 先輩がいるのはいいことですよ。 そういう人に、そういう角度から 言われるからこそ気づく、 っていうことだってあるし。 で、気づかないと直らないわけだから。 |
糸井 | ああー。 |
中畑 | 悪いことは直してあげたいじゃない。 その選手のためにも。 うちはどっちかというと、 あんまり言わずに好きにさせてきた感じだから、 それでいま時間がかかってる っていう部分もありますよ。 悪い習慣が定着してたりね。 |
糸井 | なるほどね。 思えば、悪いところを独自に見つけて どんどん指摘してくれるっていう、 ある種のボランティアなわけですね、 OBの人たちはね。 |
中畑 | そうですよ。 いや、ぼくもボランティアみたいなもんですよ。 |
糸井 | 中畑さんは給料もらってるでしょ(笑)。 |
中畑 | いや、そんなに高い給料もらってない! |
糸井 | ははははは。 |
中畑 | (たまたま観客席にいたので グランドに向かって野次る) 「コラー、給料あげろー! 監督の給料あげろ!」 |
糸井 | しょうがないなぁ(笑)。 |
中畑 | ほら、糸井さんもいっしょに。 「給料あげろー!」 |
糸井 | はいはい、わかったわかった。 「中畑の給料あげろー!」 |
中畑 | 「あげろ、あげろー!」 |
一同 | (笑) |
(つづきます) |
2013-12-19-THU |