ニュースのご近所。
あの出来事、近くで見るとこんな感じ。

第26回 ヨーロッパで続く、水との戦い。


こんにちは!

集中豪雨から2週間経ったドイツから、
その後のリアルな洪水ニュースが届いたので、
さっそく、ご紹介いたします。
今でも、水との戦いが続いているようです。







・洪水で街全体が流されそうになった
 ドイツのドレスデンからお便りします。
 いやぁ・・・バケツをひっくり返した様な雨でした。
 あまりに凄いのでまたエルベ川が増水して
 「きっと川沿いは通行止めだな」
 なんて思っていたら……とんでもない!
 川沿い「だけ」じゃなかったんです。

 ドレスデンはチェコのお隣ですけど、
 隣国で洪水、そしてその水が
 エルベに流れ込んだというじゃありませんか。
 あれよ、あれよ、という間にドレスデンの
 エルベ川の水位は上がり、川沿いの道路どころか
 川にかかる全ての橋が通行止め……。
 街はまさに南北に分断されてしまいました。


 その後は日本でもニュースで流れたと思いますが、
 オペラ劇場や宮殿美術館といった
 文化的な建物も水に浸かり、
 現在復旧作業に追われています。
 中央駅やそこから続くメインストリートも浸水して、
 お店の地下はまるで水槽の様になってます。
 ドロドロの水の中を商品の靴なんかが
 プカプカと漂っていました。

 でもエルベ川よりももっと脅威的だったのは
 エルベに流れ込む小さな川でした。
 普段は本当に小さな、チョロチョロとした川が
 猛然とキバをむいたのでした。

 ウチの裏にもそんな川があるのですが、
 そこから水があふれ出して道路はめちゃめちゃ、
 上流の方では家や自動車が流されたそうです。
 ドレスデンでは起こり得るハズの無い事が起きたので
 (それ程普段はどの川も本当に穏やかで水位も低い)
 みんな未だにあんぐりと開いた口が
 塞がらないといった感じです。

 ……でもドレスデンよりも、
 マイセン陶磁器で有名なマイセンや
 チェコとの国境近くのピルナという都市の方が
 被害がひどかった事を記しておきますね。

 川の水位がかなり下がった今でも
 水との戦いは続いています。
 ちなみに私の息子は8月3日から
 小学校に通い出した一年生なのですが
 学校に6日間行っただけでスグに
 2週間も休校となってしまいました。
 さあ、来週から気を取り直してまた早起きです。
 (みみ)






「洪水で町が分断される」って、
想像してみると、かなりスゴイことですよね。
昨日お届けしたの香川県の山火事情報もそうでしたが、
自然のデカさを感じます……。

山火事には、もう一通のメールも届いてますよ。







・すこし前ですが、
 山火事は、私のいる町でも起こりました。
 滋賀県のきぬがさ山という山から発生したもので、
 最初、火事のことを知ったのは友人からのメールでした。
 半信半疑で帰ってみたら、ほんとでビックリ。
 その山は自宅からは幸い距離がありましたが、
 窓から姿が見えていて、夜など、
 燃えているところが赤々としていました。
 まさか、実際にこんなことが目の前で起こるなんて。

 日中はヘリコプターでの消火活動が
 行われていたのですが、
 (香川の山火事で
  キャンプファイヤーに唾と表現されていたように)
 ほんとにヘリが小さくて、
 キャンプファイヤーに小さな小さなコップで
 水をパシャッとかけているような

 そんな感じに見えたのでした。

 「人間って小さいなぁ」と思ってしまいました。
 そんなことを感じられるのも、
 山から離れた場所にいられたからで、
 ふもとにいたりしていたら、
 とんでもないことだったんでしょうね。

 山火事は3日ほど続きました。
 今は焼けたところに
 植林活動で、種をまいておられるそうです。
 1年数カ月前のことで
 まだ山はハゲたようになっています。
 (のんち)






こちらも、ドイツのニュースとおなじで、
ニュースそのものが終わったあとでも
いまも「植林活動がつづく」と書いてありましたね。

ある出来事とのつきあいは、
そのときだけではなくて、
割と長いあいだ継続するんだなぁと思いました。

最後にもう一通、ご紹介しましょう。
歴史とか、民族とか、そういうことについてのメール。







・イギリスからのご近所ばなしを拝見して
 思い出した言葉があります。

 「日本人にとって恐ろしいこととは
  『地震、雷、火事、おやじ』という
  突発的に起こり、待てば去るモノ
であって、
  『差別』でも『迫害』でも
  『何千年と続く民族紛争』でもないのだ。
  私は神様、これはあまりに不公平ですと
  言わざるを得ない」

 これはユダヤ系日本人の方の言葉です。
 日本人にはわからないことって、
 世界の中にはけっこうあるんだなあ、と思いました。

 それは無神経とか無知とかいうことではなくて、
 上の言葉のように、全ての災難は
 いつか去ると信じていられる境遇だったから。
 比較的日本においては過去の記憶が持続するというのは
 あまりないのじゃないでしょうか。

 日本のカーンさん人気も
 かつてドイツとは同盟を結んだ仲だから、
 というのでは決してないでしょうし、
 ほぼ日の連載の「モノゴト」で
 アメリカにBADイメージが圧倒的だったのも
 戦争で負けたから、というのでもないでしょう。

 中にはそういう考え方を持つ方も
 いらっしゃるでしょうが、
 そういう方はあくまで『一般的』ではなく
 『特殊』な人々、とみなされますよね。
 「ドイツは応援したくない」がヨーロッパの方々の
 一般的な感じなのかは私にはわかりませんが、
 なんだか日本がトルコ戦で負けたときに
 歓声をあげた韓国人の方々もいた、
 ということを思い出して
 「傷つけられた」側の悲しみの深さ、そして
 「傷つけた」負い目を背負っていくことの
 悲しみを見た気がしました。

 父も戦後生まれ、
 戦争自体の記憶が全く無い二十歳の私なりに、
 夏は特に色々感じることがあるんです…

 何が言いたいのかよくわからんこんな話を
 ほぼ日に送っていいのかな…?
 (みき)






ハタチの方が送ってくださった感想でした。
どうもありがとうございました。

では、次回のこのコーナーで、またお会いしましょう。

さまざまな、日本国内や海外からの
ニュースのご近所のおたよりは、
件名を「ご近所ばなし」として、
postman@1101.comまで、どうぞーー!!

2002-08-26-MON

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