第106回 カナ式ラテン生活へのメール。
こんにちは!
数日前に更新した「カナ式ラテン生活」の内容は、
「スペインに住んでいるカナさんが、アジア人というだけで
SARS扱いされることについて、たまらなく感じたこと…」
でした。
特に、海外在住の日本人から、
共感の声がとても多かったので、
今日は、こちら「ニュースのご近所」のコーナーで、
すこし、たっぷりめに、おとどけすることにしました。
かなりシビアな内容もありますが、読んでみてください。
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・Hola カナさん
時々拝見しておりました。
カナダバンクーバー在住のemiと言います。
今回の話…同じ海外在住者として身にしみました。
(トロント方面からメールきそうですねぇこの話題は)
そうなんですよ、咳できないんです。
最近まで私は菌の感染症で
(イヤ、SARSじゃないですよ)
夜も寝られないくらい咳がひどく、
外でも我慢できず、咳をすると、
やっぱり視線が痛かったです。アジア人だし。
でもここはアジア人が多いので、
咳している私をすれ違いざまに睨んでいくのが
アジア系…っていうことも多かったです。
私は心の中で
「違うんだぁ〜〜〜医者にももう2回も行ってて治療中〜!」
と思いながら咳と戦っていました。
何もこんなときにこんな咳…って感じでした。
でも読んだ感じだと
スペインはもっと大変そうですねー。
少なくともここでは「病気で休んだ」と
仕事関係の人(白人)に言ったら
「SARSじゃないよね〜あっはっは!」
ってジョークにしても大丈夫なくらいは余裕があります。
日本代表にならなくちゃいけないことについて。
そうそう、重荷なこともありますね。
前にテロの直後、「前に日本に原爆落としたように、
アメリカは核爆弾を落としてリベンジすればいいんだ」
と言っていたアジアからの学生がいて
(この人私にケンカ売ってる?と思った)、
そのときは日本を代表して
「あなたね。簡単に言うけど
原爆のあとその下にいた人が
どういう状態になったか知ってる?」
って言いましたけど。
そういうのに時々疲れたりしますね。
でも仕方ないか。外国に住んでいたら。
ともかく
国は違いますがお互いたくましく生きていきたいですね!
がんばれ海外で暮らす日本人!
(emi)
・世の中ホントにSARSが猛威をふるっていますね。
私はまだ実際身近には感じていないように思いますが、
やはり万が一のことを考えると、
仕事もできず家族や一緒に働く人まで
隔離される事態に陥るのかと思うと、旅行なども
うかつにはできないのかなあ、という雰囲気です。
わが診療所でも先日のミーティングで夏休みの旅行などは
くれぐれも注意(どうやって注意すればいいのか)とか
発生地域に旅行はしないように、
なんてことを話し合ったところです。
私がよく行くハウステンボスは
台湾や香港のお客さんが多かったのですが、
先月行ったときは、まるで見かけませんでした。
これには本当におどろきました。
カナさんの文を読んでいると、
そういう対応をしてしまうスペインの人たちの
事情もわかる気はしますが、つらいですよね。
それを考えると、実際に隔離されている人たちや、
感染源とされてしまった人や家族は、
想像を絶するつらさでしょうね。
早く有効な治療法が見つかって、いわれの無い
差別や偏見がなくなるといいですよね…。
日本、帰りたいですか?
この日本も、カナさんの故郷の長崎も、
いつでも変わらず暖かく
カナさんたちを迎え入れてくれるはず。
だけど、つらい時期を乗り越えれば、
きっと素敵なことや生きてて良かったこと、
うれしいこと、あります。
私自身は個人的に今試練のときかなあ、
という時期なんですが、
消えてなくなってしまいたい、と思っても
歯くいしばっております(笑)
つらい状況をただただ
受け入れるしか方法のないときもあります、
じっとただ身をまるめて守るしかないときも
ありますよね、
少しでもいいことあるように、それを信じて
生きていきましょうね。
いつものように、
わけのわからないメールでごめんなさい。
(masako)
・本当にお上手な文面に、思わず笑ってしまいました。
もしも気に障ったら申し訳ないけれど、
でも笑ってしまいました。
フレーフレーフレー
人の心はいずこも同じ。
そりの合わない人が全体の8割だとしても、
心の通う人が10人いれば、
生きて行かれると思っているから、
すてたモンじゃないなぁと感じた時、
嬉しさ喜びは、ひたすら
百万ドルの笑顔になってしまいますもんね。
読んでいると不思議なモノで、
スペインへ行きたくなってしまうのですよ。
(匿名希望)
・カナさんへ
はじめまして、千尋です。
私はイギリス南部に、
イギリス人の旦那さんと暮らしていて、
留学時代を含めると4年くらい住んでいます。
今日のカナさんのお話を読んで、
差別の経験は誰もがするんだなぁと思いました。
というのは、最近、
今までで一番の差別を受けたからです。
先日、大聖堂の前を夕方、
主人や友達と歩いていると、
十代の酔っ払いの女の子たちがいて、
私達の前を歩く人達に絡んでいました。
私達が通り過ぎる時、
「すいません、あなたのバッグ、50p(100円)で
譲ってもらえませんか」と、言われました。
私は「やっぱり、来たな」って思って、
「ふんっ」って顔を斜め上にそらしました。
すると「Oh!」と言って、
その後は差別の言葉のオンパレードでした。
それは中国人に対するものでしたが。
いっしょにいた友達や主人は半分無視して、
最後は言い返してましたが、私は
何を言っても仕方がないのだよって思ってました。
でも後で
「こんな遅れた国の人たちに差別されたくない」とか
「なんとかぎゃふんと言わせる方法はないか」とか
「言い返した時に馬鹿にされない英語力をつけなきゃ」
とかいろいろ思いました。
アジア人っていうだけで差別されますね。
日本にいたときには、自分が人種差別されるなんて
思ってもみませんでした。
でも、今ここで差別されるとき、アジア人、
主に中国人と思われての差別なんでしょうが、
ちょっとだけ
「私は中国人じゃない、中国人といっしょにしないで」
って思っている。
同じアジア人でありながら、差別しているのです。
これを考えると差別する側の気持ちが
少しだけ見えてくるような気がします。
海外に住んで嫌なことがあって
かなり落ち込むこともありますが、いろんなことや
自分のことで知らなかったことに気づきますね。
カナさんの連載、今まで読んでなかったのですが、
今回が読むきっかけになりました。
これからは必ず読むコンテンツになりそうです。
(千尋)
・私は現在スイス、チューリヒ在住の女性です。
今、スイスのあちこちでは牧草が刈られる季節で、
アレルギーのある私は、例年になく気を遣ってます。
今回のSARS騒動においてはスイスも
スペインと同じで、日本人だろうがなんだろうが、
アジア人はアジア人。
電車に座っていても咳をするたびに、
人々の不安な視線感じますよー。
ほんとに何処とも同じだなあーって思いました。
6月にお休みをとって2週間帰国するんですが、
とにかく行きと帰りのフライト日だけは
夏風邪などひいて熱など出さぬよう
今から用心しようと思っています。(笑)
スペインには2度訪れたことがありますが、
人々がとてもフレンドリー、
食事がおいしい(魚がある!)、明るい太陽、
などなど同じヨーロッパに住む者として、
とてもうらやましく思うことも多々ありましたが、
スイスにない苦労も沢山あることを
カナさんの連載を通じて知りました。
(例えば空き巣に入られたことなど)
カナさんの連載本当にいつも楽しみにしています。
身体にお気をつけて
マドリードでの生活楽しんでください。
(ちほ)
・はじめまして。
『咳をしても、アジア人』を読みました。
私もつい最近、旅行で似たような雰囲気を感じました。
というわけで、ロンドン→パリに旅行した時の、
人々の反応について、メールさせていただきます。
5/13成田発20日成田着、
というやや短い期間だったのですが。
日本にSARSに感染してる
台湾人医師が来る直前のことです。
(旅行中に来日してたらしいです)
私は、もともとあらゆる花粉症なので、
日本でも(今は糸井氏と同じくカモガヤですよ)
マスクをしてることが多いのです。
ロンドンでも、まんまと花粉症になって
バッキンガム宮殿の衛兵の交替式を見学するのに
マスクをしていたら、すれ違う(多分)
イギリスの小〜中学生みんなに、
指をさされ注目されました。
イギリスには、マスク自体ないらしいし、
ものすごく珍しいというのもあるのでしょうが、
もちろんSARSもニュースになっていたので、
その影響があったと思います。
その後、道ですれ違う大人が、
微妙に避けるのに気付き(全員ではないですが)
無駄に不安をあおるのもどうかと思い、
マスクをはずしてすごしました。
移動したパリでは、雨が多く、
花粉症の症状があまり出なかったので、
マスクは必要なかったのでよかったのですが、
タクシーでちょっとガラの悪い運転手にあたってしまい、
あまりに腹が立ったので、
マスクをして威嚇(になったかな…)してしまいました。
あとは、明らかに私たちのことを話題にした
「日本人かな、中国人かな」みたいな
会話が聞こえてくることも多かったですね。
久しぶりの海外旅行で、
ほんの1週間日本を出ただけで、
カナさんが日々感じているであろう
「アジアに対する差別」を
ちょっとかじった気がして、困惑して帰ってきました。
以前にも感じたことがあったのに、
すっかり忘れていた感覚でもあるので
今回の最後の方の「でもおかげで〜」のくだりを読んで、
私の中のもやもやしっぱなしだったところを、
指摘された気持ちになりました。
そこで生活していないというのも大きいと思うのですが、
こわい思いをすることも多いので、
私はつい「逆差別」的な反応をしています。
それが、いつでも差別する側の立場になり得る、
自分の弱さから生じていることも
よくわかっているつもりでした。
このタイミングで、カナさんの文章を
読んだことと旅行したことをきっかけに、
あまりうかうか忘れていないで、
ちゃんと考えようと思いました。
(亜里)
・カナさんのフラストレーション、よく分かります。
私はカナダ、バンクーバーに住んでいます。
バンクーバーでも確かにSARSの患者が出たのですが、
たったの二人です。130万人都市で二人。
しかも、香港とシンガポールから帰ってきた人です。
トロントでは状況はもっと深刻らしいのですが、
日本では、"カナダ"としてしか
報道されてないらしく、日本からの観光客などは激減。
私は実際カナダに住んでいて
SARSの危険を感じたことなんか
これっぽっちもないのですが、日本の報道では
すごい危険なように言われてるみたいです。
なので、報道って恐ろしいってすごく感じてます。
もしかして今まで私も全然事実を知らないで
報道を信じてたんじゃないかって。
差別だってなんだって、
実際に自分が経験したことから
生まれたんじゃなくて、ほとんどの場合は
他の誰かとか何かに植え付けられたものでしょう。
情報があふれてる中でそれが真実がどうか
それを見極める力が欠けてたなってちょっと反省です。
(Yuki)
・カナ式ラテン生活を読んで。
うーん、ロンドンも大同小異ですよ。
地下鉄でちょっと咳をしたら、
隣の席の人が大きく身体を斜めにして
私から離れようとしますし、
チャイナタウンはがら空きですし。
でも9.11事件の後、
イスラムの人がバッグをもっているのを見たら、
私は、いつもその車両を降りて、
隣の車両に移動してしまいました。
我ながらいやだなあ、と思ったけど、
こういう保身的な行動って
生物的な反応なのかな、とも思いました。
幸い、お互いに石や汚い言葉を投げあうような
目にはあったことがありません。
「未知のモノを避ける恐怖心」というものを
誰もが自分の中に知っていて、
それを恥ずかしく思うと同時に、
相手にも許しているのが、
ロンドンのやり方なのかなあと、
先週のレポートを読んでいて思いました。
そういう生物的な反応を超えて、
結べる人間関係もあると信じています。
そのために、自分の無知と他人の無知を責めずに、
いつも自覚しておきたいと思います。
(bobo/ロンドン)
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今も海外に暮らしている人からは、
どれも、肉迫した切実さが湧き出ていて、
ほんとに、思いがけなく、
ニュースに巻き込まれてしまっている様子が、
よく、伝わってきました……。
それでは、次回のこのコーナーで、またお会いしましょう!
メールの選択は、わたくし「ほぼ日」の木村俊介でした。
さまざまな、日本国内や海外からの
ニュースのご近所のおたよりは、
件名を「ご近所ばなし」として、
postman@1101.comまで、ぜひどうぞー!!!
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