ニュースのご近所。
あの出来事、近くで見るとこんな感じ。

第80回 英国での政治記者会見について。


こんにちは!

北半球では冬時間が、
南半球では夏時間がやってきたようですね!!
それぞれの国の方からのメールを、
「時候のあいさつ」的に送りまーす。







・カナダは冬時間と夏時間があり、
 今日はその変わり目でした。
 何月何日と細かい指定ではなく、
 10月の一番最後の土曜日と、
 4月の最初の土曜日
 (こちらは記憶が曖昧ですが)となっています。

 テレビでは一応
 「明日から変わります」
 というようなことを言うらしいのですが、
 私は一度も聞いたことがなく、
 町中のありとあらゆる時計が
 次の日になんの予告もなく
 スッと変わっているのは結構驚きです。

 生まれてこの方カナダに住む義母と、
 今日待ち合わせをしていたのですが、
 彼女は時間調節をすっかり忘れ、当然の如く
 行き違いになり、会えずじまいで、
 「何年カナダに住んでるのよぉお」
 と文句を言いましたけど。

 2年前には友達2人と待ち合わせをして、
 2人ともカナダに
 何年も住んでいる日本人のくせに、
 すっかりこれまた時間調整を忘れ、
 1時間遅刻をし、待ちぼうけをくらった私が
 「遅いよ」と言っても「なんで?」と聞く始末。
 この日の待ち合わせは要注意だ!
 待ち合わせするなら、要注意!
 と改めて心に深く刻んだのでした。

 その時期カナダを旅行する際は、
 本当に気をつけてくださいね。
 飛行機に乗り遅れた、なんてことのないように。
 (あ)



・こんにちは。
 今日から夏時間になりました!
  オーストラリア留学中のものです。
 去年もそうでしたが、なんか損した気分!
 日曜日なのに8時に起きて、
 「ああ今日は早起きだなぁ」なんて思ってたのに、
 いつのまにか世間では9時になっていた、切なさです。
 でも今日はいいこともありました。
 シドニー市内の電車がお休みで、
 無料バスでシティーのほうまで行けたのです。
 (track work といって、
  土日に電車が走らないということが
  よくあるのです。
  「なんで深夜に作業しないんだ!」
  と、日本人の私は思うのですが、きっと、
  仕事に対する感覚がちがうのでしょう)
 タダバスは、電車の代わりなので、
 各駅をまわって終点まで走ります。
 バスが通るにはちょっとせまい道なんかも、
 どんどん通って各駅をまわるので、
 いつもの電車の窓からは見ることのない住宅街の家々が、
 初夏の晴天の下、とても明るく平和な雰囲気で、
 まぶしくみえました。
 街のいたるところに咲く、
 紫色のジャカランタも満開で、
 あぁ、いいなぁ、花見でもしたいなぁ。
 という気分になったりします。
 (エスカルゴ)



・こんにちは。
 今日(日曜日)から
 ドイツは冬時間に変わりました。
 いま、風がすごく強くて、窓に見える
 樹の枝が 怖いくらいにぶわーっと揺れています。
 冬時間にもなったことだし、
 紅葉した黄色い葉っぱも振るい落とさなきゃって
 樹や 風が頑張っていて、
 こうやって季節が変わって行くんですね。
 もうちょっと秋を楽しみたかったな‥‥。
 (ぷでぃん)






お次は、イギリスからのメールになります。
英国においては、イギリスらしい
秘密主義的な政治記者会見が、なくなりつつある、
というニュースがあるそうなんです。

以前、日本国内の英字新聞社に勤めていて、
今はイギリスでフリーで仕事をされている
「ぎんこ」さんという方からのおたよりが届きました。
さっそく、ご紹介いたしますね。







・政治家たちとの「あ・うん」のかけひき。
 ちょっとした言葉の裏に隠されているヒント。
 政治家たちがメディアを利用しようとして
 情報を流しているのか、
 本当に、「本音」をもらしてしまったのか。
 その違いを、
 じかに言葉を聞くことによって聞き分ける‥‥
 こんなことができるのは、自国のメディアの
 ごく限られた記者たちだけで、外国人は、かやの外。

 これは日本の話ではありません。
 伝統を重んじるというと聞こえはいいけれど、
 なかなか変わろうとしない国、英国の話です。
 しかし、その英国も、
 10月14日から変わりつつあります。

 ごく一部の英国メディアの記者たちだけが、
 ロビー活動の一環として官邸記者室に集まり、
 閣僚や政府広報官との朝のオフレコ懇談会に
 出席してきたのだけれど、これが一切廃止され、
 かわりに、すべて「オン・レコ」の
 記者会見に変わったからなのです。
 
 イギリスには、アメリカのホワイトハウス会見のように、
 外国人でも誰でも「メディアならオーケー」という
 オープンな雰囲気は、なかったのです。
 かつて、朝の懇談は限られたメディアだけのものでした。
 朝の話は、そのほとんど英国メディア向けで、
 「ここだけの話」として、メディアも政府も
 お互いに利用してきた、双方にとっての
 貴重な場だった‥‥この「場」がもうなくなりました。
 
 全国紙や大きなテレビ局の記者だけでなく、
 地方紙の記者、外国メディアの記者など、基本的に
 記者であれば、誰でも出席できることになりました。
 イギリスに来て、10ヶ月、協会に記者として登録し、
 プレス・カードをもらっている「この私も」です。
 
 細々と記事を書き、東京に送っているにしろ、
 どこの新聞社にも属していないフリーの私ですが、
 「行けるんなら、行ってみようか」と、
 こないだ、その初日に、行ってきました。

 会見は毎朝11時から。
 場所は19世紀後半にイギリスの首相だった
 グラッドストーンのおうち。
 黒い、重いドアを開け、螺旋階段を上りだすと、
 グラッドストーンの肖像画が飾ってあります。
 手すりにつかまりながら、階段にしいてある絨毯を
 上ってゆくと、左手に会見室、右手にワークルーム
 (コンピューターが何台かおいてある)と事務所。

 席は80くらい用意されていたけど、ほぼ満杯でした。
 11時少し前になると、続々人が入ってくる。
 11時きっかりに、特派員協会の代表で
 フランスの新聞ラ・トリビューン紙の、
 フィリップ・ラ・コレが、挨拶に立ちました。
 「みなさん、ようこそ」
 特派員協会は長年、外国人ジャーナリストにも、
 会見へのアクセスを広げてほしいと頼んでおり、
 ようやく願いが成就したという、晴れがましい表情。
 カメラのフラッシュがたかれました。

 政府広報官の登場のあと、
 内務大臣のデビッド・ブランケット氏が、
 犬とともに登場。(彼は盲目の閣僚なので)
 犯罪率が減ったということを、話し出す。

 しかし、会見がはじまってまもなく、
 スカイ・テレビというテレビ局の
 記者アダム・ボルトン記者が、
 急に不平をいいだしました。
 「勝手にこんな形で会見が始めることになって、
  どういうことですか? 
  わざわざここまで歩いてくるなんて時間の無駄」
 その後、今度は、ITVというほかのテレビ局の
 キャスター、ジョン・サージェント氏が、
 「一対一で記者と政府高官が話す場所が
  なくなってしまうなんて、
  失うものが大きい。嘆かわしい」と発言。

 どことなく、英国記者たちにその場が
 占領された感じで、会見は30分で終了しました。

 続々と螺旋階段を下りて、
 外へでてゆこうとする記者たち。
 私は不満を言ったサージェント氏を追った。
 「日本からきた記者ですが、通常だったら
  どこでこういう会見に出ていたわけですか?」
 と聞く。
 「電話をかけてコメントをとるか、
  ウエストミンスター(国会)にいたよ」との答え。
 「失うものは大きいけど、もうここにくるのも、
  2〜3ヶ月だけだから」といい、
 笑いながら階段を下りていく。
 もうすぐ退職するからということ。

 万事終わって、家に帰り、次の朝、いつもとっている
 「ファイナンシャル・タイムズ」
 (オレンジ色の新聞。日本でも販売しています)
 を開くと、会見の様子が出ていました。
 しかし、かなり、ネガティブ・意地悪な書き方でした。
 「こんなことして、何になるのさ」という感じの記事。
 「特派員協会の代表フィリップ・ラコレは、
  フランス人だから、食べ物の話でスピーチをはじめた」
 という部分は、茶化してやろうというのが、みえみえ。
 他の新聞も、ほとんどすべてが否定的でした。
 ただ、BBCのオンライン版だけは、
 「歩けば散歩にもいいんだから」
 とけっこう、比較的好意的に書いていました。

 わたしは、
 「まあ、いろいろ言われていても、
  もうオープンになってしまったものは、
  オープンなんだからさ‥‥」
 と思って、新聞記事を読んでましたけれど。
 (ぎんこ)






どうやら、イギリス国内では
あまりオープンにする流れは
好かれていないんですね。

実際に記者会見に行ってきたという一次体験を、
「なるほど!」と読みました。ありがとうございます。

では、次回のこのコーナーで、またお会いしましょう!


さまざまな、日本国内や海外からの
ニュースのご近所のおたよりは、
件名を「ご近所ばなし」として、
postman@1101.comまで、ぜひどうぞー!!!

2002-10-29-TUE
BACK
戻る