

ほぼにちわ、武井です。
この土日、京都の上賀茂神社で行なわれる
「二葉葵展(ふたばあおいてん)」に行ってきます。
「二葉葵展」といわれても、
「聞いたこと、ないよー」
というかたがほとんどだと思います。
そう、京都の「葵祭(あおいまつり)は知っていても、
そのすぐあとに行われるこの展覧会は、
まだまだ有名とはいえません。
「二葉葵展」は、京都に暮らす、
伝統産業にたずさわる若い職人さんたちが、
じぶんたちの物づくりを、年に一度、発表する場です。
核となっているメンバーは、
左官、表具師、畳職人、植木屋、家具屋、
建築業、大工、電気工事士、建築デザイナーと、
「京都」らしい物づくりをしている人がほとんど。
彼らは「景アート」というグループをつくり、
京都の物づくりの歴史を継承しながら、
「100年後に続く、新しい伝統産業を!」
と、活動をつづけています。
▲「景アート」のメンバー、忙しい日々の仕事の合間を縫って、
ことしの打ち合わせをすすめています。
伝統産業の盛んな京都で、たくさんの仕事をしながら、
それでもなお、いまあらためて
「物づくりの発表の場」を、と
彼らが考えているのには、理由があります。
京都だからこそ、たくさんある、仕事。
けれども、それはもしかしたら
「京都ブランドに頼り切っているだけなのかもしれない」
と、彼らは、危機感をいだいているのです。
「過去の人らが作ってくれはった『京都ブランド』に
ぼくら、おんぶにだっこなんですよ」
と、植木屋の小笠原哲さんは言います。
「京都って、じゃあ、なんなん? って言われた時に、
答えをもてずにいる人もおる。
仕事は、あるんですよ。
でも、本当に叱ってくれはるおせっさん
(御施主様)らも減ってきました。
それは、ぼくらの技術やったり、知識やったり、
経験もかなぁ、ていうのが
下がってきてるからです」
▲表具師の中島匠さん(左)と、植木屋の小笠原哲さん。
▲大工の籏さん(左)と、左官の田中昭義さん。
▲デザイナーの村松英和さん。
そんな思いを抱いている仲間が集まっているのが、
二葉葵展を主催している「景アート」のメンバーです。
さて、では、二葉葵展で、
彼らのどんな「物づくり」が見られるのでしょうか。
「そうですね、たとえば『川床」をつくりますよ。
そこでお茶席をもうけます」
(中島さん)
えっ。川床って、夏の京都で、鴨川べりに出る、
あのすずしげな「ゆか」(納涼床)のことですか。
「そうそう。ぼくら、大工もいますし、
畳職人もいますし!」(田中さん)
▲川床には、畳も敷かれるそう。
たった、一日だけのために‥‥?
「はい。ぼくらの仕事や技術って、
ことばで説明をしても伝わらないんです。
実物を見ていただき、
それを使って楽しんでいただくのが
いちばんいいんですよ」(籏さん)
なるほど。しかも、それを作った職人さんたち
本人に、その場で会えて、話ができるかもしれない。
そういうことって、たとえば東京のような場所で
集合住宅暮らしをしている自分にとっては、
めったにない機会です。
あるいは、古い日本家屋に住んでいるけれど、
それを維持していく術がわからない、
むしろ住みづらいなあと感じているような人にも、
こういった機会は
とても貴重なもののように思えます。
「もちろん、ただ、遊びにいらしてくださるのも
大歓迎なんですよ。
たとえば金魚すくいのイベントがあるんですが、
水槽が、職人が杉でつくった舟の形だったりします。
遊びながら、伝統の技術に触れてもらうことができます」
(村松さん)
▲昨年のようす。ほんとに舟!
「そうそう、ネマキの頒布もしますよ」(小笠原さん)
ネマキ?
「あ、ネマキいうのはね、
植木屋が、庭づくりのとき、
木の根を土で覆い、
縄でしばって丸くしたもののことです。
この展覧会では『二葉葵』を、ネマキにして、
配っているんですよ」
このネマキは、そのままうつわに入れて
観葉植物として育てることができます。
じつは「景アート」のメンバーは、
「葵祭」で使われる「二葉葵の葉」を育てることも、
活動のひとつとして行なっています。
葵祭では、下鴨神社から上賀茂神社への行列のさい、
御簾、御所車、勅使、供奉者の衣冠、
牛馬にいたるまで、すべて葵の葉で飾られるのだそう。
意外なほどたくさんの葉っぱが必要になるのですが、
その葉は年々少なくなってきているのです。
ですからネマキの二葉葵が成長したら、
寄贈して、翌年の「葵祭」に
使ってもらうこともできるわけです。
▲これが二葉葵です。
さらに、鏡職人、蝋燭職人、建具職人、仏絵師、
陶芸家、漆職人、指物師、木工職人、
染織家、彫金職人など、
いろんなタイプの職人さんたちが
二葉葵をテーマにした作品を出展。
ほかにも、京都ならではの小物を販売するコーナーや、
「陶芸体験」「唐紙体験」などのイベントも。
日本画家の前田有加里さんのアートパフォーマンス、
音楽家の真依子さんによる
箏の弾き語りも予定されています。
うれしいのは、食べ物まわりの充実!
祇園や先斗町にお店をかまえる
「侘家古暦堂」の鶏カツ弁当や、
「鍵善良房」の和菓子などの販売もあるそう。
いちにち、のんびり楽しめそうです。
この二葉葵展、おじゃまして、
前日の設営の様子から、見せていただこうと思っています。
その様子は、テキスト中継をする予定ですので
どうぞ、ごらんくださいませ!
【二葉葵展】 |