2016年6月9日のニュース ロックバランシングはたーのしいぞー!

こんにちは、「ほぼ日」の山下です。
5月の23日、ふつうの平日、月曜日のことでした。
の3人で、
「ロックバランシング」に行ってきました。

ご存知でしょうか?
「ロックバランシング」を。
ひとことでいうなら、「石を積み上げる遊び」です。
「balance」をとりつつ
「rock」を積みあげていくから、「ロックバランシング」。
やることはそれだけなのに、奥が深い。
達人がこれを行えば、
「うっわー」
「なんじゃこりゃ?」
「そこ、重力がおかしなことになってないか?」
と言いたくなるような、アートの域にまで達します。
グーグルで「ロックバランシング」
と いう言葉で画像検索すると、
とんでもない作品がずらずらと見られますよ。

‥‥見ました? すごいでしょ?
どうやら世界的に行われているアートのようです。
こういう本もありました。

そんな「ロックバランシング」の実物に
が出会ったのは、
2年前にエルバ島にでかけたときのことです。
「HENRY CUIR」のアンリさんを訪ねた
イタリアの島の海岸で、
「不思議に立っている石」を見かけたのでした。
この旅の様子は「しゃちょー漫遊記」という
テキスト中継型コンテンツに記録されています。

出会ったときの投稿はこちらです。

海岸でとつぜん、目に飛び込んできたんです。

「あれ? なんだ、この石」
「すごい」
「おもしろーーい」
「‥‥これ、だれでもできるのかな?」
「やってみます?」
「やってみよう」

それから30分‥‥いや、もっとだったかもしれません。
はエルバ島の海岸で、
ひたすら集中して石を立てました。

‥‥集中‥‥。


▲エルバ島の海岸にて、集中中。

この初体験の感覚を糸井重里は、
先日5月24日の「今日のダーリン」に記しています。
どうぞ合わせてお読みください。


▲まさかエルバ島でこんなことをするとは思いませんでした。

この初体験からぴったり2年後、
「エルバ島でやった石積み、またやりたくない?」
という話になんとなくなりまして、
の「漫遊」メンバーは、
厚木の川原を目指しました。

ちなみに「ロックバランシング」については、
なんにも勉強しないまま出かけました。
日本でもこんな本が出ていることは知っていたんです。

石花ちとくさんという方が、
独自に活動されていることも知っていました。
こうした第一人者にお話をうかがって、
それなりに勉強してから
川原へ行ったほうがよかったのかもしれません。
でも‥‥とにかく早く行きたかった。

「すごいアート作品ができなくてもいい。
 エルバ島で体験したあの感触をもう一度」

その一心で出かけたのでした。

さあ、
ロックバランシングの超初心者、
無手勝流の3人が、川原に到着しました!

ひゃーーーー、きもちいいー!
でも、足が冷たい! かなり冷たい。
安全第一です。
すべって転ばないよう各自、気をつけましょう。

やってきた川原は、
日向渓谷の「クアハウス山小屋」という施設が
管理をする場所です。
受付で
「石を積みにきました」
と言うと妙に思われそうなので、
「バーベキュー場を使います」
と料金を支払い、この川原に入場しました。

車の中ではずっとおしゃべりをしてましたが、
川についてからは「個人」の作業です。
それぞれに、よさそうな場所を探して
おしりが濡れないようにしゃがみこむと、
まずはしずかに石を物色します。

『‥‥これ、手ごろな大きさかも』

「石」対「自分」。
選んだ石の、形や重さを確かめながら、
いよいよ、立てます。
「重心」のようなものを探しつつ、
選んだ石を、川原の石の上にあててみます。

数分後、川の音に混ざって
の声が聞こえてきました。

「‥‥こんなところかな」

おおー。
立ってる。立ってます。
しかも、石の上にもうひとつ石が。

きもちいいんです。

バランスをとっていると、
「あ、いける」
と思える瞬間がやってきて、
しずかに手をはなせば‥‥すっと立っている。

が立てた石です。
このくらいでも、かなりきもちいい。
自然にある石が
こんなふうに立ってることはまずないので、
景色として不思議です。

が、またひとつ立てました。
ああ‥‥こーれはかわいい。

まわりのコケや植物が、いい雰囲気を出しています。
は、どうだろう、できたかな。
彼女もずっと黙ってやってるけれど‥‥。
どう?

あ、できてる。立ってるね。

いいわぁ(笑)。
そっちにも、いい味の作品が。

‥‥なんだろう、おもしろい。
ゆーないとが積んだ石は、
ゆーないとが描く絵に似てる気がする。
前に描いたウサギの絵とかに。
ほら、これ。

はぁーー、石でも自分のタッチが出るんだ。

そっちにあるのも、そうだよ。
ゆーないとが積んだ石は、ゆーないとの絵だ。

彼女の作品に感心していたら、
が、おおきな動きを見せました。

ダイナミックなプランが思い浮かんだようです。
そのサイズの石を、立てるのですか‥‥。

大作の完成をたのしみにしながら、
は、
自分の作業にしばし集中します。

聞こえてくるのは、あいかわらず川の音だけ。
足をなでる水の冷たさが集中の邪魔をします。
その邪魔に負けず、
心を平静に、石の重心を探って‥‥。

山下は4つ積むことができました。

ゆーないとは、引き続き自分らしい作品を。
植物を取り入れています。

そして、のプランが完成しました。

‥‥不思議な景色です。
みごと。
上にふたつ、
ちいさな石を積んでいるのが、さらにおみごと。

「いまできるのは、ここまでかな」
そんなのひとことで、
この日のロックバランシングは終了です。

足が冷えました。
次は長靴を持ってこようと思いました。
きもちよかったけれど、
それなりに集中したので
すこし疲れたかもしれません。

せっかくのバーベキュー場ですから、
薪を買って火をおこしました。

ホーローのポットを、火の中に。
お湯を沸かして、コーヒーを飲みました。

おいしかった‥‥。
外でこうして飲むのは、それだけでも最高です。
それとね、スコーンをあぶってあたためたんです。

これも、おいしかった。

正午に東京を出発したミニツアーは、
このくらいたのしむと、もう夕方です。
ぼちぼち、帰り支度をしないと‥‥。

そうそう、忘れちゃいけない、だいじなことを。
ロックバランシングは、
かならず積んだ石をくずしてから帰りましょう。
ちいさな子どもが興味津々で触ったりしたら、
危ないでしょう?
これは、ぜったいのルールです。

この日は周囲にだれもいなかったので、
小石を投げて、くずしました。

「よっ(投げる)。
 ‥‥当たったー、くずれたー」

久々の「ロックバランシング」は、
やっぱりたのしかったです。
アート作品ができなくても、
すっと石が立つだけで、なんだかすっきり気持ちいい。

みんなにおすすめしたくもありますが、
どうなんでしょう?
性格的に向き不向きはありそうですね‥‥。
でも、いまこれを読んでいて、
「やってみたいかも」と思ったあなた。
あなたは、夢中になる素質十分だと思いますよー。
石があるところに行けばすぐできるのが、
「ロックバランシング」のいいところです。
準備や道具はほとんどいりません。
これから夏に向けて、
水辺に行く機会があったなら、
ちょっと試しにやってみてはいかがでしょう。

以上、
「ロックバランシングは、たーのしいぞー!」
というニュース(?)でした。

最後にもう一度。
「積んだ石は、くずして帰る」はぜったいのルールです。
周囲に人がいるときは、
「積み終わって写真を撮ったら、くずす」
くらいが安全です。
ルールを守って、良いロックバランシングを。

それではーー!

2016-06-09-THU