08.家族の問題に法律は必要か?

糸井 先生はいろんなケースで
職を辞さなくてはならないことがありますね。
吉本 先生というのは、割の合わない仕事ですよ。
僕が大学を出て
職業に就こうとしたときに、
最も敬遠したのが「先生」でした。
食えそうにないときは
するかもしれないけど(笑)、
できるかぎりはしないというふうに、
いまでも思います。

いまみたいに、変なところでもって
法律が介入してきちゃうことは、
やっぱりよくないことだと思います。
法律というのは
いちばん最後に、
しかたがないから
法律の問題になったとか、
そういうことじゃないと、
意味がないです。

法律は、人が作ったものなんです。
時代によって、人々の考え方とか、
やり方も変わっていきますし、
いまみたいに荒廃してくると、
凶悪犯罪みたいなものも
増えてきたりしてるわけだから、
そういう時代とそうじゃない時代とは
あんまり同じように
論じられないのではないでしょうか。
糸井 一方では、犯罪は増えていないんだ、という
見方もありますが‥‥。
吉本 犯罪は「少なくなった」「多くなった」という
問題ではなくて、
質が違ってきてるんです。
この数年の間に
急激に起こってきている事件のなかに、
法律に引っかかるやつと、
引っかからないやつがあります。
しかしみんなそれぞれ
極限まで来ています。

家族の解体現象も、
これはいい意味も含みますけど、
そうとう極限まで来ているという感じがします。

親と子どもの関係は、
どちらかが亡くなるまでつづきますし、
その間はいろいろなことがあるでしょうけど、
それを全部越えていかないといけないです。

日本でいちばん問題なのは、
世代離反になってきていることと、
それが進めば今度は男女離反になっていく、
ということです。
男女離反というのは、
女性の勢いが、
あたうべからざるがごとくなっていくことです。
だから、男女がいやおうなく離れていきます。

これを法律でどうしようったって、
それはダメです。
警官がやかましくなるとか、
せいぜいできるのはそういうことぐらいです。
これはそれぞれの
家族の問題として
解いていくしかないです。

法律はあんまり口出さんでくれといって、
家族でもって解いていくという
やり方以外にありません。

(明日につづきます)

2008-05-05-MON




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