Sponsored by Nintendo.


2013/08/22 13:58
東京藝術大学卒業
加納ちひろ先生登場。

さてさて勉強サイド、
続いての登場は加納ちひろ先生です。
「ほぼ日」のなかの人です。
ちーちゃんこと、ちひろ先生はふだん、
デザインまわりのお仕事をしています。
主にといっしょに、
その右腕となり、
黙々と着々と、
仕事を進めていくがんばりやさん。

あと、特徴としては、
しゃべりかたが面白いです。
低いトーンの妙なムードではなします。
クレヨンしんちゃん的と言えば
わかりやすいかもしれません。

そんな、ふしぎなしゃべり方ですが
東京藝大をきちんと4年で卒業しています。
国立大学で狭き門。
センター試験も受けてきたわけで。

ちょっと特殊なパターンかもしれませんが
芸大受験をしてきた人の「勉強」を
うかがってみましょう。

ちひろ先生、よろしくお願いします。


2013/08/22 14:06
よろしくお願いします。

ちーちゃん‥‥
じゃなくてちひろ先生、よろしくお願いします。

「‥‥録音してる」

あ、それはメモがわりです。
気にしないでください。

「‥‥私のしゃべり方を録音して
 あとでみんなでモノマネするんですね」

え? いやいや、
モノマネはこれからもするけれど、
これはただのメモですよ。
‥‥モノマネ、よくされるの?

「子どものころはよくされました。
 大人になってからはそんなでもないです。
 でもこの会社の人はみんな子どもみたいなので
 また急にモノマネされるようになりました」

悪気はないのです、ごめんなさい。

さて、モノマネのことはさておき、
勉強の話を、はじめましょう。


2013/08/22 14:19
頭、わるいです。

東京藝術大学は国立大学です。
やっぱり、勉強はできたんですよね?

「勉強、してないんです。
 頭、よくないんですよ。
 頭、わるいです」

‥‥いや、とはいえ、でも、
センター試験がありますよね。

「東京藝大は
 あまりセンター試験を重視してないんです。
 もっと重視しなさいと
 国から怒られるくらい。
 昔はとくにそうだったみたいです。
 いまはそうでもないらしいですが」

ということは、実技重視。

「そう、ですね」

センター試験は何教科でした?

「わたしはデザイン科で、
 3教科でした。
 国語、英語、生物。
 年によっては総合理科を
 選択したこともありました。
 わたし4浪したので」

そうですか、4浪。
東京藝大では、ふつうのこと?

「最近では、1浪とか2浪とか、
 そのくらいみたいですが。
 そうですね、
 浪人は、ふつうだと思います」


2013/08/22 14:29
むかしは勉強できた?

うーーん。
でもやっぱり、それなりに、
勉強ができていたから入れたと思うんですが‥‥
小学校のころは、勉強どうでした?

「得意でした。
 小学校のときはべつに勉強してなかったけど
 得意でした。
 かんたんだったから。
 それが中学になって
 『算数』が『数学』になって、
 あやしくなってきました。
 『証明』とか。
 だましだましやってたんですけど、
 高校生になって
 はっきり偏りがでました。
 国語の成績が学年で一桁、
 数学が下から2番め、
 英語はまんなかへん。
 国語は好んで本を読むほうだったので
 自然と勉強になってたんだと思います」

国語はトップクラス。
なるほどー。


2013/08/22 14:48
東京藝大の試験って?

センター試験の他の試験は
東京藝大の場合、どんな内容なんですか?

「一次試験がデッサンで、
 二次試験では色彩構成と立体構成
 というのがあります。
 わたしは、現役と一浪のとき、
 最初の2回は一次で落ちました。
 デッサンで終わり。
 『あ、もう受験終わっちゃった。
  おそろしい』
 と思いました」

二次にはどのくらいの人が進めるんですか?

「そこで五分の一になります」

そんなに絞られる‥‥
デッサン力は大事なんですね。

「東京藝大の場合はそうです。
 ほかの芸大ではデッサンをやらないところも
 あるようで。
 ですから大学によります」

二次試験の内容を教えてください。

「まず、色彩構成は
 いろいろなモチーフ、
 野菜、魚、ビンとか。
 それをB3の画面内に構成して
 絵を描きます。
 これを6時間くらいで
 やらなきゃいけない。
 予備校ではずっと、
 その試験時間を繰り返して
 練習してきました。

 立体構成は、
 わたし、最後のときが
 紙工作だったんですよ。
 ほとんどの年が粘土で構成するんです。
 めずらしくその年は紙工作でした。
 紙が出てきて
 グダグダになってた人もいました。
 わたしは4浪で、紙も繰り返してたし
 個人的に好きだったので
 そこで動じなかったから
 なんとかなりました。
 植物というテーマを与えられて、
 蓮の花をつくりました」

そして、合格。

「はい」

おめでとうございました。

「はい(笑)」

うれしかったでしょう。

「そうですね。5回めだから」


2013/08/22 15:02
偏差値って、なんですか?

5回、あきらめないで挑戦した、
その原動力は何だったんでしょう?

「‥‥のんびりしてたんですけど、
 そうですね‥‥
 落ちたときに頭のなかで
 来年に向けての計画をしてたんです。
 半年バイトして半年予備校、とか」

自然と、そう思っていたんですね。
はあー。
‥‥バイトもしてた。

「はい。バイトしながら
 予備校に通いました。
 一浪のときは半年予備校に。
 二浪のときだけ
 一年間、予備校に通わせてもらいました。
 3浪のときは、半年がバイト。
 4浪のときはもう、
 10ヶ月バイトしてました」

予備校は、実技の予備校でしょうから、
センター試験用の勉強はそんなに‥‥。

「そんなにしません。
 1月くらいからやる程度です。
 センター試験はお散歩みたいな感じでした。
 実技の息抜きのような」

お散歩‥‥。
偏差値はどのくらいあったんですか?
 
「偏差値?
 偏差値って気にしたことない‥‥
 ぜんぜんわかんない、
 偏差値ってなんですか?
 どうやって出るんですか?
 模擬?
 模擬試験は1回しか
 受けたことないので思い出せないです」

‥‥すごいですね。
かなり、実技重視なんですね。
ある意味、東京藝大を目指す人には
希望が持てるお話だと思います。

「そうですね(笑)。
 センター試験もできたほうがいいんですけど
 それがすべてではないので」


2013/08/22 15:08
お母さんに感謝。

ちょっと立ち入った質問を。
予備校に通うにも、
お金がかかるじゃないですか。
親御さんからのプレッシャーは‥‥?

「プレッシャーはなかったです。
 うちは両親が離婚してるんですが
 お母さんはのんびりした人なんです。
 あと、すでに家庭が破綻してたから
 いろいろと自由に
 やらせてくれてたのかもしれません」

おかあさんと、仲はいいんですか?

「はい。
 でも、ほっとかれる感じです」

そうですか。
よかったですね、4浪させてもらって。
予備校に通わせてもらえて。

「それは、はい。感謝しています。
 その予備校で出会った後輩と結婚しましたし」

あー、そうか、そうなんだ!
それは、すばらしい。
「4浪」と「予備校」と「お母さん」に
感謝ですね!


2013/08/22 15:09
質問1
「やる気が出ない」

では、このあたりで
読者からの質問に
できる範囲で答えていただきましょう。

まずはこちらの質問です。

───────────────────
こんにちは、高校3年の受験生です。
私は、周りの受験生と違って
「がむしゃらに勉強する」
というのができません。

このままじゃ全然合格できない
というのはわかっているのに、
不安と焦りだけがつのって、
勉強という行動に移せません。
「いつやるか?今でしょ!」
の言葉が何度も脳内再生されています。
なのに、勉強しなきゃ!
って思っても
机になかなか向かえないのです。

そんな自分にスイッチを入れる方法を
考えていただけないでしょうか?
(真夏のペンギン)
───────────────────

「‥‥‥‥‥やればいいと思います」

‥‥いや、そのための方法を。
ご自分はどうでした?
やる気がでないこと、ありました?

「ありました。
 家で絵を練習をしなくちゃ
 と思ってても、やれなかった」

焦りはなかったですか。

「多少はありましたけど‥‥
 ほんとに焦ってたら、
 やっぱりやると思うんです。
 わたしは、のんびりしてたんです。
 だからこのひとも、
 ほんとには焦ってないのかもしれない。

 ‥‥具体的にやることを決めて、
 やってみるのはどうでしょうか。
 この教科書のここをやる、とか」

ああ、なるほど。
漠然と「勉強しなきゃ」
と思っているだけだと
「勉強」という大きなものを
動かし始めることは難しいですよね。
すこしでいいから具体的に決めて始める。

「そう思います」


2013/08/22 15:26
質問2
「目的がわからない」

質問をつづけます。

────────────────────
大学院入試を来週に
控えているのですが質問です。

生物系の大学院に進学を
考えているのですが、
そもそも私が生物を学びたかったのは
生物がなぜ生きているのかを
知りたかったからです。
そして大学で生物を学び
大学院入試の勉強をする中で
なぜ生物が生きているかを
大雑把に知ることが出来ました。

そして今困っているのです。
私の当初の目的が達成されて
私のやりたいことはなんなのかと。
大学で研究をする中で
自分の本当にやりたいことが
研究なのかと自問することが多いです。

近い将来、職に就く時に
自分のやりたいことが何なのか。
難関大学といわれる大学に通っていますが、
そこに入ったからには
一流企業で研究職に就くことが
自分の人生にとって幸せであるのか。
大学院入試を通して考えていますが
今の私には答えが見つかりません。
なにか助言を頂ければ幸いです。
(apple)
───────────────────────────

「‥‥面白い人ですね」

はい。

「わたしも就職ができなくて
 大学院に行こうと思ったんですけど
 なぜ行くのか、レポートが書けなくって、
 よくわかんなくなって書けなくって、
 大学院はやめました」

このかたは「勉強の目的がわからない」
というのが悩みとしてあるようです。

「それは、なりますよね。
 だって、
 なぜ生物が生きているかを
 大雑把に知ることができたって、
 すごいことです。
 わたしには未知の世界。
 ハイレベルすぎます」

このかたは、
大学院に行ったほうがいいと思います?

「こんなに面白い人なら
 どっちでも面白くなるんじゃないでしょうか」

大学院にこだわらず、
一流じゃない企業に進んでも。

「いや、一流は、
 面白いことが多いんじゃないかと思います」

‥‥ああーーー。
なるほど。
ありがとうございます。
次の質問にいきましょう。


2013/08/22 15:31
質問3
「インパクトある勉強法を」

質問です。

────────────────────
勉強をやるのはいいけれど、
マーキングをするにも
ノートをまとめるにも、
なんだかインパクトがなくてはかどらないし、
記憶に残らない意味のない
勉強になってしまいます。
スキマ時間にやったり、
用語しりとりをするというのも
考えましたがイマイチピンときません。
何か思い切りインパクトのある、
ほぼ日らしい勉強法はありますか?
(とある国のとある学校の
 生徒会が大好きなとある生徒)
─────────────────────

「‥‥絵を描くとか」

絵、ですか。

「わたしは、
 絵を描いて、その横に単語を書いて、
 それごと覚えたら覚えられました。
 たとえば、
 alleyって「小道」っていう
 意味なんですけど、
 なんかこう描いて(描く)‥‥
 覚えました。
 でもこれは、わたしの場合です」

なるほど。
このかたも、自分にとって
興味を引きそうなものに添えて
何かを覚えるといいのかもしれませんね。
ありがとうございました。

質問、つづけます。


2013/08/22 15:31
質問4
「子どもが宿題をしない」

ちひろ先生に、
こちらが最後の質問です。

────────────────────
こんにちは、勉強の質問、させてください。
うちの次男、高校2年、のことです。
宿題というものを一切やりません。
それはもう長い話で、
小学校1年ではじめて宿題が出た時からです。
親として、励まし、手伝い、
説教をし、脅し、あの手この手で、
いろんな面からアプローチして
頑張ってきました。
ですが、結局、奴は全く動じず、
動かざるもの山のごとし、なのです。
成績は中の中という位置で、
本人に危機感が皆無、
先生方と相談しても、
まあいいんじゃないですかと、
反応は鈍いです。
私は成績うんぬんではなく、
約束したことを守る、という意味で、
きちんとやって欲しいのです。
残りわずかな夏休み、
何か打つ手はありませんでしょうか?
(つる)
───────────────────

「すごいアウトサイダー(笑)。
 すごい信念のようなものを感じます。
 納得がいかないんじゃないでしょうか。
 夏休みだから、休む。
 他人よりも自分と向き合っているような
 そういう高校生なんじゃないでしょうか。
 まあいいじゃないかとわたしも思います」

はい。
ですが、後半がポイントで、
お母さんとしては「約束を守ってほしい」と。
ちひろ先生も親になったときに
これは思うかもしれませんよね。

「まだ親になってないので
 なんとも言えないんですが‥‥。
 これがいい方に向かえばいいと思います。
 この信念の強さは
 ガマン強さとも言えます。
 疑問をもたず、なんでもこなす人よりも
 面白い気がします」

なるほど‥‥。
このかた、いいお母さんですね。

「はい」

ちーちゃんのお母さんも
こんなふうに見てたのかもしれません。

「(笑)」

お母さんから勉強で叱られたことは?

「あんまりないです。
 ‥‥やっぱり、そうですね。
 本人がきちんとしてたら、
 そっとしておけば
 いいんじゃないでしょうか。
 わたしはそう思います」


2013/08/22 15:42
ちひろ先生、
ありがとうございました!

というわけで、ちひろ先生、
ありがとうございました。
質問は以上です。

「ありがとうございました」

ええと‥‥
つまり総じて言うと、
ちひろ先生は勉強については‥‥

「あんま興味ないです」

はい(笑)。
でも、5回受験を繰り返した
しつこさも、あるんですよね。

「勉強って一生するものですよね。
 だからやっぱり、
 好きなものを知ることが、
 勉強なんだと思います」

ちひろ先生は早くから、
好きなものを見つけられてよかったですね。

「はい。
 そう思います。
 ですから見つかってない人の場合
 どうしたらいいのかは、
 わたしにはわからないです」

ありがとうございます。
厳しくもありますが、真実だと思います。
ほんじつはありがとうございました。

「こんな話で大丈夫でしたか」

たいへん、大丈夫でした。
これからも、
モノマネとかするかもしれませんが
よろしくお願いします。

以上、加納ちひろ先生でしたー


 最新の投稿へ