ほぼ日刊イトイ新聞 - 「ほぼ日」にわか写真部。


	「フイルムカメラ使ってますか？」

	「このごろは、さっぱり‥‥ 　愛着はあるんですが‥‥」

みなさんからいただいた質問を
菅原さんに答えていただいております。
ちょっとメンタルなところで。
フイルムかデジタルかっていうので、
悩んでいるかたが、ふたり、
おられました。いっぺんに紹介しますね。

菅原さん、こんにちは。
私は写真が大好きです。
特に、フイルム写真が。
きっと、子供のころの写真が
好きだからだと思います。
なんか昔の雰囲気が出てていいんだと思います。
でもデジタルはデジタルでなんかいいんです。
きっと撮った時の気持ちとか、
雰囲気とかがそれぞれに入ってるからなんでしょう。
どっちもある世の中で
どうやってそのどっちかを
選んだらいいんでしょうか？
菅原さんはどうしてますか？
教えてください。
（south-garden）

ほぼにちわ。
今、写真にとても興味があります。
カメラ付携帯電話で撮っていたのですが
もうちょっと本格的に撮りたくなってきて‥‥。
そこで、フイルムカメラにするか
デジカメにするか迷っています。
HP・ブログをやってるわけではないので
どうしてもデジカメじゃなきゃという理由もなく。

フイルムカメラ
　＝本格的・かっこいい・「写真」て感じがする。
　　でもマメじゃないので、
　　現像とかちゃんとやらないかも。
デジカメ
　＝間に機械が入っちゃうのがなんとなくイヤ。
　　なんか写真じゃない。
　　撮ってすぐ画像が見れるのが合ってる。

色々な本を読めば読むほど
わからなくなってきました。
どっちが私にあってるんでしょう？
オススメがあったら教えてください！
（ゆうこ）

なるほど。

いまって、デジカメ一色になったみたいに
見えますが、
フイルムに興味を持っているひとも
こういうふうに、いるんですね。

個人的にはとてもうれしいです。
というのは僕の中で写真は
「プリント」だと思ってるから。
やっぱりオブジェっていうか。

もの、紙。存在？

そうですね、これが写真だっていう。
だから、モニターで見るだけでは
写真じゃないみたいな気持ちが、
ぼくのなかに、あるんです。
プリントになってはじめて写真だ、
みたいなところがある。
もちろん、だからと言って、
そうじゃなきゃだめだっていう
偏屈な世界はもっと嫌いなんですけれど。
「いろいろあっていいよね」ってことなんですが。

自分でもそうですが、
出発がフイルムで、プリントだったから、
かもしれないですね。

そうだね、始めた時からね。
そして今でもそれがすごく好き。
で、押し付けるつもりはないといいつつ、
いつもみんなに言っちゃうんですよ、
「ぜひプリントしてみてください」って。

うんうん。

で、「あ～っ！」っと思ってほしいんだ。

すごくかわりますもんね。印象が。
その瞬間は好きです。

プリントをするということを考えると、
実はまだフイルムカメラのほうが
アドバンテージが高いですよって
いうのはあります。
ただ、今、本当に過渡期というか、
ハイスペックな世界では、
デジタルカメラで撮影して、
プリントもインクジェットプリンタでしていても、
物として、ある意味、
ステージをちょっと越えてるところはある。
そういうところまで来ています。

菅原さんも、赤十字で
バングラディッシュを取材した写真は
デジカメで、インクジェットで、
展覧会をなさいましたもんね。

そんな時代に、フイルムかデジタルか？！

好き嫌いで、単純に悩んで、
より好きなほうを買ったらいいと思うんです。
ただ、プリントをやるんだったら、
フイルムカメラで撮ってみて、
って思います。
是非一度、興味があるんだったら。
たぶん、メールをくださったおふたりは、
ちょっとフイルムに興味があるんだよね。
だったら、なおさらね。

フイルムってなくなっちゃうんですか？

完全になくなるっていうことは
ないと思うんですけど、
今みたいに簡単に
手に入らなくなっちゃうかもしれない。
でも、今はあるので。
どちらにしても今後デジタルカメラで
写真を撮っていく上で、
フイルムカメラを知っておくことは、
すごく大事だったり、大きいことだと思いますよ。
コンパクトなデジタルカメラを使って
写真の魅力に触れて、
「わあ、写真って面白いな」と思って、
フイルムのカメラを買う人もいっぱいいます。
だから、それもありじゃないですか。

自分でもじつは悩みます。
どちらも持っているんですが、
旅行行く時は１つに絞りたい。
重いから。
取材でフイルムは、もう、
取り換える手間が惜しいです。
いつも悩んで、フイルムっぽい写真が撮れる
デジタルがないかなって思ってます（笑）。

インターネットっていう場所で
仕事をしてる人たちはやっぱり
デジタルですよね。

もう圧倒的に便利ですね。
菅原さんはどういうふうに使い分けてますか？

僕はちょっと今さかさまになってきて、
携帯電話のカメラ機能が
これだけ性能がよくなってきたんだから、
毎日、空の写真を撮っているんだけど、
「もう携帯で撮ってもいいかな」って思います。
で、その分、普段は、
フイルムのカメラを持ってるほうが、
いいかなって。

フイルムカメラがちょっといいなって思うのは、
ちょっと撮りづらいかな、
みたいな瞬間があるとするじゃないですか。
それが、携帯電話だとなおさら臆するところを、
フイルムカメラを持ってる自分は、
なぜだか堂々と言えちゃう。
「撮ってもいいですか？」
って言いやすいんですよ（笑）。
写真を撮りたい気持ちがもっと出るというか。
形が古くさいとなおさら
「あ、なぁに、それ？」
なんて言ってもらえたりして。
「あ、この人、写真本当に撮りたいんだ」って
思ってくれる気がするんです。
こちらの心の問題かもしれないけれど。
‥‥また、フイルムカメラ、
出してこようかな？？？

2009-01-30-FRI