ルールを原始的に。 ルディー和子さんと、お金と性と消費の話。
 
第11回 マッチョイズムと幸せ感。
ルディー もうひとつ、日本は
若い人が集まるお店とかについて
騒ぎすぎだと思いますよ。
たくさんお客さまが行くところが儲かってる、
って思い込みですね。
売上アップしても、利益はどうだかわからないし。
若者が安い1000円くらいの物を
いくら買ったからって
売上自体、それがなんだっていうの、
ってくらいじゃないですか。
糸井 ほんとですねぇ。
若い人がピーチクパーチク言いながら
買い物をするところを、
みんながうらやましがってたり、
かわいいねって思ったりするのは、
あれは、やっぱり、
メディアの特性ですよね。
ルディー そうです。
メディアが騒ぐからなんですよね。
糸井 たとえばフィンランドだって、
GDPとか、ずっと低いでしょ。
フィンランドのことを、
ぼくらはいずれもっと調べようと思っているんですが、
一人ひとりの生活とか見てると、
ものすごく質素で楽しそうなんですよ。
ルディー やっぱり、相対的なもので
みんながそういう生活してれば
日本人だって幸せに感じられるんですけど。
他人と比べて見ると、やっぱり、
自分には、あれがない、これがない。
だから自分は幸せじゃない。
糸井 アメリカのマッチョイズムを、
半端に輸入しちゃって、そこがなんか
幸せ感をわからなく
しちゃってるんじゃないかな。
ぼくは、自分の中のマッチョイズムを、
ビルがにょきにょき建ったときに、
ある種、人類として
性的に興奮してるんじゃないかな、
っていうふうに思ってて。
やっぱり、にょきにょき建つ、
っていうのはうれしいんだよ、
っていう意見もあるかと思って、
上海に見に行ったんですよ。
にょきにょきを。
ルディー はい。
糸井 でも、うれしくなかったんですよ。
うらやましくなかったんですよ。
ずっと貧しかったときには
あの建ってるのがうれしいんで、
ある程度見てからだと、
うらやましくないんですね。
いろいろ、試し算をしてる最中なんですよね。
ルディー ああー、なるほど。
やっぱり、北欧って
これからの日本が行く道かも
しれないですよね。
糸井 うん。案外、変えられるのは、
若すぎるやつらとじじいだと思ってるんです。
それは、両方とも
マッチョイズム持たないで済むから。
まぁ、そんな大それたことができるまで
生きてるとは思えないけれど、
長生きしたくなるんですよね。
ルディー 日本、うーん、もうちょっと
元気出してもらいたいと思いますね。
糸井 また、吉本さんの話なんですけど。
アフリカ的段階の土地、
アジア的段階の地方と、
それから、いま現代、近代と、
3つの地区を、いまの技術だったら、
ミックスした都市計画ができるっていうのが、
講演テープの中に入ってて。
「そういうことっていうのは、
 発展して行った先にはあると思いますね」
って言い方してて、
憧れですよね、逆に言うとね。
ルディー うん。
やっぱり、東京に集まりすぎてる
っていうのが問題なんでしょうね。
田舎も少し再生してもらわないと。
糸井 田園があり、森林があり、商圏があり、
そこに船が来たらもっといいですよね。
‥‥みたいなこと、いちばんね、
実は東京だってできると思ってるんですよ。
でもたぶん、
土地の値段が付いちゃってからだから
難しいんですよね。
アフリカ的場所を作れないからね。
地方都市だったら、できますよね。
ルディー できます。
糸井 ぼくは、いま「ほぼ日」っていう仮想の場所を、
町みたいに機能させようと思ってるんだけど、
ほんとのリアルの町で
そういう遊び方ができるんじゃないかな、
っていうのは、生きてるうちに
できるとおもしろいなぁと思ってるんですよね。
ルディー ぜひ、がんばっていただきたいと思います。
糸井 ほんとはダイレクトマーケティングの話も
聞きたかったんですけど。
うちは、よそとコラボしていくことを、
意識的に増やしてるんですけど、
そのコラボしたチームに対して
ルディーさんみたいな人が
ちょっと、助言くださったり、
教えてくださることがあったりすると、
なんか見えてくるものが。
やっぱり、異文化の組み合わせになるんで、
両方わかってる人に、
ちょっと訊いてみたいことが
出てくると思うんですよね。
ルディー 何かありましたら、ぜひ。
糸井 そのときは、ぜひ。
ぼくら「ほぼ日」は
そういう場所なんで、
ただおもしろきゃいいやでやってるんですけど、
ぜひ、よろしくお願いします。
ルディー いえ、こちらこそ。
糸井 ありがとうございました。
いやー、おもしろかった。
いままで知らなくてごめんなさいね。
ルディー とんでもないです。
読んでいただいて、
書いていただいて、
呼んでいただいて、
もうほんとにうれしくて。
糸井 せめて、この本がみんなに行き渡るように、
また、がんばります。
ルディー ありがとうございました。
友人に売れないと言ったら、
演歌歌手だって、
みんなCDを配って歩いて
2年後に売れ始めたりするんだから、
がんばってやりなさいって
言われました(笑)。

(ルディー和子さんとの対談は、
 これで終わりです。
 ひきつづき「ほぼ日」のお金特集は
 つづきます。
 どうぞ、おたのしみに。
 どうもありがとうございました!)
2010-07-26-MON
前へ このコンテンツのトップへ  
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN