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ああ、二日連続で「復刻記」を更新するなど、
一旦なまくらになると、たかだか2回連続で、
めまいがしそうである。正直。
しかし、ワレは行く。
明日はいよいよ、「ペンギンショップ」に
マグカップの新作が入荷するわけであるからして。
品切れになっていた、
「ペンギンカード」が再入荷するわけであるからして。 |
▲これが、新作のマグカップ。 |
もちろん、そのような真に現世的な浮世的な、
なんていうか、というような情報もあるのだが、
最後に、きちんと伝えておきたかったことが一つあるのだ。
私たち「さよならペンギン」復刻チームは、
10冊以上の旧版の「さよならペンギン」をあつめて、
一番状態のよかった一冊を選んで、
それを解体したのである。
それは、見事にバランバランに。
解体したときの様子は、
いまもここでみることができる。 |
▲このようにして解体された。 |
もちろん、解体することに意味はあったのだ。
そうしなければ、1ページ1ページを
うつくしくスキャンすることが
出来なかったからである。
ただ、「本は大切なものである」と思っている
復刻チームは、本を解体する前から、
「必要とわかっていながらちょっと申し訳ない」という
気持ちをずっと抱えていたことも確かなのである。
だから、印刷会社の藤井さんから、
「解体がとてもうまくいきましたので、
このバラバラになった絵本、
再度、製本することができるとおもいますよ。」
ときいたときは、心底嬉しかった。
本を提供していただいた高木さんに
バラバラになった絵本をお返しするのは、
忍びないことだけれども、
さりとて、どうしようもないな、と諦めていたのだ。
そこにこの朗報。
しましたとも、小躍りを!
じゃ、小躍りついでに、
さっそく、どうやって再製本するのかを
解説していこう。
通常、書籍をつくるときは、
ブックデザイナーが、どういう紙をつかって、
どんな大きさで、
しおりのひも(スピン)は何色にして、
という「造本設計」がきまると、
印刷会社は、その設計図どおりに、
実際の紙をつかって、見本をつくる。
これを「束見本」という。
つまりは、印刷はされていない、真っ白なモックである。
これは、職人さんが手作りをする。
この「本を手作りする」ということができるわけだから、
解体してバラバラになった本を再度製本するなどは
朝飯前なのである。
特に、今回はこれまた本の構造をよくわかっている
印刷会社の藤井さんが「うまいこと」解体してある絵本だ。 |
▲これは「黄昏」の束見本。
絶妙な具合にひらいて写真をとることができた。 |
早速、凸版印刷の工場に
藤井さんにつれていってもらった。
今回、製本してくれるのは
凸版情報加工板橋工場製本部雑誌課の
近健太さんである。
もちろん、上記の束見本も作成するが、
その他にも手でしかつくれない(!)特装本などを
作成されているそうです。
この部屋には、なんだか古めかしい機械なども置いてあり、
重度の印刷オタクである、
担当藤井さんの説明を延々ときいているのも、
もちろんやぶさかではないのだが、
残念ながら時間、まったく許さず。
はやいところ、作業をはじめなければ。
まずは、見返し(本文と表紙をつなぐページ)を
本文と接着します。 |
▲まずは、旧版のときの「接着剤」を指できれいにとりのぞく。 |
▲そろえて。 |
▲ハケでびしっと接着剤をつけます。 |
▲ページの並び順を確認します。
ここで、順番を間違えると、再度「解体ショー」である。
ブックデザイナーの清水さんにも一緒に確認してもらう。
いや、ほんとに2度目の「解体ショー」はシャレにならない。 |
そして、次に、本文と「表紙」を
がっちゃんこするのだ。
ここは、手作業ではなくて、マシーンでやる。 |
▲額の広い、妙に前のめりな女が写っているが、それはきにせずに。
マシーンの全貌をちゃんと写した写真がなかったので、これで勘弁していただこう。 |
これが、一瞬にして、
表紙と本文を合体させるための
専用の機械なのである。
名付けて‥‥‥‥
‥‥‥‥全然、名付けない!
そんな時間はないぞ!
先を急ぐ。
機械を動かしていこう。 |
▲表紙をセットします。 |
▲表紙が機械に吸い込まれていきます。 |
▲吸い込まれました。 |
▲本文をセットします。 |
▲本文部分が動いていきます。 |
▲ここで、のり付けされます。 |
▲できあがり。 |
▲完成! |
ものすごい、「あっ」というまです。
もう、ほんとうにあっけなくおわりました。
どれくらい、あっけないかというと、
こちらの動画をご覧いただくとお分かりいただけるかと! |
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そして、見返しを、
表紙に接着します。
(さっきは、見返しを本文と接着したが、こんどは逆側。) |
▲見返しと表紙をくっつけます。
▲ハケ、再度登場。
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そして‥‥。
ちょっとがさがさしていた、
3つの側面をたち落とします。
ああ、このマシーンには
なんでも切り落としてくれそうな刃がついています。
なんでも、の「なんでも」な部分は
あまり想像しないほうがよいような。 |
▲刃が、がっしゃーんと降りてくる。
▲たち落とした部分。
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なんと、側面をたち落としてみたら、
元々のジャストサイズになった。
あれ? 小さくならないのは、何故?
「たぶん、紙が作られてから
年数がたって、伸びたんですね。
紙は組織がゆるゆるとなっていき、
それにしたがって面積がひろがります。」
は〜〜。そんなことってあるんですね。
このようにして、いったんバラバラに解体された
旧版の「さよならペンギン」は
ほぼ、元のとおりにもどったのだ。
ディテールをみていっても、
一度解体された本だとは到底思えない出来上がりになった! |
▲出来栄えに、清水さんも仰天。
側面をたち落としたことで、見た目が新しくなる。
▲近さんありがとうございました!
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この絵本は、もとの持ち主の高木さんに、
例の、サインをいれた新しい「さよならペンギン」とともに、
お返しさせていただいたのである。
これで、ほんとうにほんとうに
すべての『「さよならペンギン」復刻記』は終わりである。
ここまでお読みいただいて本当にありがとうございました。
そして、明日からは、
「さよならペンギン」にまつわる様々なお知らせを
お伝えしていく
『「さよならペンギン」繁盛記』の
連載を始めさせて頂く予定である。
あしたからも、
どうぞ、よろしくお願い致します。 |
(完) |
2011-08-25-THU |