PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙175 医療制度のしくみ・12
日本の特徴(2)いただいたメール



こんにちは。
昨年の夏以来
ここでのお話を続けることができなくなって
年も明けてしまいました。

もしかしたら覚えていてくださっている方が
いらっしゃるかもしれませんが、
医療制度のしくみについて
日本と米国の違いなどをご紹介しているところでした。

自分でも、どこまで、どんな風に話を進めていたのかを
だいぶ忘れてしまって、
読み返しながら、書き始めています。

医療制度のしくみについて考えるときには、
1)医療の質(quality)
2)医療にかかる費用(cost)
3)医療へたどりつくまでの手間や時間(accessibility)

という3つの部門が
その国に住む人々にとって
利用しやすい制度として設けられているかどうかが
大切な点になります。

日本の場合、医療へたどり着くまでの手間や時間が
いわゆる先進国の中では
とびぬけて良いのだ、ということをご紹介したところで、
前回は、といっても去年の夏の終わりですが、
終わりました。

この話を読んだ方から
メールを何通かいただきました。
中には海外でのご経験を伝えてくださった方もいました。

それぞれのメールでは
さまざまな角度からみた医療制度のしくみの
欠点や長所が指摘されていて、とても参考になりました。

その中で、
米国・カリフォルニア州にお住まいだった方からのメールは
米国での典型的な経験だと思われるので
ここでご紹介してみようと思います。


 家族で安心して暮らしていく上で、
 医療は欠かす事のできないものの1つです。
 アメリカの医療、保険制度の複雑さと高額なことには
 ほとほと疲れました。

 私が英語嫌いなのを割り引いても、
 複雑でわかりにくいと感じました。
 とてもあの膨大な書類を熟読できませんし、
 すでに、もともとのシステムが違うのですから
 何を確認していいのやら・・。

 それも、医療機関にかかる時は、
 私自身が弱っているか
 子供が怪我をして泣き叫んでいるか、ですから、
 お金は二の次で時間外でも診てくれる
 “WALK IN CLINIC”
 に飛びこむ事もありました。

 (本田注釈・このwalk in clinic というのは
 予約なしで時間外に駆け込んでも診てくれる、
 救急治療室(Emergency Room; ER)
の軽症版です。
 もちろん時間外料金はたっぷり請求されます。)


 あとで請求される金額に驚きつつも
 どうしようもありませんでした。

 いずれも保険会社から
 「あなたの契約では
 うちがカバーできるのはこれだけです。
 ご質問はお電話下さい」

 なんて手紙が送られてきますが、
 日本語ならいざ知らず、
 あのアメリカの自動音声で
 本当の担当者にたどり着くまでの時間と
 たどり着いてからのやりとりを思うと・・・。

 また、妊娠している友人が
 突然の出血で予約を取ろうとしても、
 「再来週の木曜日です。それまで空いていません」と、
 きっぱり言われる始末です。

 「とりあえず、行けば診てもらえる」という、
 日本のシステムはありがたいものだと、
 しみじみ思いました。
 もちろん、日本の医療システムが
 全面的にいい、と思った訳ではありませんが。



日本の医療システムが、全面的にいい、と
胸を張って言えるか、と問われると
わたしもちょっと考えてしまうところはありますが、
「比較的、いいところもあるシステムだ」と
言うことはできそうな気がします。

では、今日はこの辺で。
次回はあまり間を空けずに続けるつもりです。

みなさまどうぞお元気で。

本田美和子

2004-02-08-SUN

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