PHILADELPHIA
お医者さんと患者さん。
「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。

手紙186 WHO・9 北タイのHIV対策とエアロビクス


こんにちは。

タイの北部に
HIVの治療を広く行き渡らせるために計画された
3 by 5計画(しつこくてすみません。)の
モデルケースの一つとなった農村があり、
その様子を見せてもらいに行ったときの話をしています。

タイでは1990年代から
HIVに関する予防のキャンペーンを
国を挙げて行ってきました。

欧米や日本、オーストラリアなど
さまざまな国の支援を上手に政策に組み込んでいて、
2002年以降は
高価なHIV治療薬の特許を
欧米の製薬会社に放棄してもらって、
自国で製造する安い治療薬で
より多くの患者さんの治療を始めています。

まず、県の衛生局の方が
この地域でのHIVの感染者が
90年代にはどのくらい爆発的に増えていて、
どれほどの方々が亡くなったか、
そして、行政としてさまざまな取り組みを行う中で
HIV予防の方法が広く知られるようになり、
値段の安い治療薬が普及するようになった今、
死に至る患者さんは激減している、といったことを
説明してくださいました。

この地域には
以前から日本の援助が続けられていて、
このプロジェクトをしっかりとサポートしています。

国際保健や国際協力に関しては
わたしはよく知らないのですが、
この地域の方々の健康を守るために
年余に渡る計画が立てられ、実行に移され、
そして、目に見える形で成果が得られていることを
担当した当事者から直接伺うことができ、
臨場感あふれるそのお話に引き込まれると共に
その地道な努力に頭が下がる思いでした。

以前、バンコクに行ったとき
夕刻になると
オフィスビルの谷間にある広場で
エアロビクスをやってる人たちをよく見かけました。

こんな街の真ん中で
エアロビクスをやるなんて陽気な国なんだなあと
眺めていたのですが、
今回の出張中に、
あれは国策なんだ、と聞かされて驚きました。

90年代後半に
糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防を目的に
保健省が音頭をとって始めたものなのだそうです。

今回のタイの田舎町でも
夕方には広場にたくさんの人が集まって
がんがん音楽を流しながらエアロビクスをしていました。

政府が「こうする」と決めたら
きっちり実行される、そんなお国柄が
HIV対策にも反映されたのだろうな、と
すごい勢いでエアロビクスをやってる
たくさんの町の人を見ながら思いました。

では、今日はこの辺で。
次回はその町でお目にかかった
患者さんについてお伝えしようと思います。

みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2006-04-07-FRI

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