手紙188 WHO・11 住友化学
こんにちは。
前回はタイのHIV患者さんに
お目にかかったときの話ましたが、
今回は、そのとき患者さんに伺ったことを
ご紹介する予定でした。
タイの患者さんたちに
きっちりと治療薬が届くようになったのは
ここでしつこくご紹介した、
「2005年までに300万人にHIV治療薬を届けよう」
という3by5計画の成果です。
残念ながら、2005年までに
この目標を達成することはできなかったのですが、
この計画は今でも続いています。
日本政府は2007年までに
約85億ドル(約9800億円)拠出する、と表明しており、
今年も3月15日に
1億3000万ドル(だいたい150億円)を拠出しました。
約束した額の6割くらいがすでに支払われています。
各国の支払い状況は世界基金の以下のサイトで
一目瞭然です。
http://www.theglobalfund.org/en/files/pledges&contributions.xls
この表では、アルファベット順に
いろんな国がリストアップされて
「いつまで、いくら拠出する」と約束して、
実際にいくら支払ったか、がわかるようになっています。
ふーん、と思いながら
下の方まで見に行くと、
国のあとに、「個人」の欄がありました。
個人的にこの計画に賛同した人が
寄付をしてくださっていて、
その額も紹介されています。
たとえば、ビル・ゲイツ夫妻。
このご夫妻は1億5000万ドル(170億円くらい)
寄付をしています。
その他にも、国際オリンピック委員会、とか
プロサッカーチームのレアル・マドリードとか、
10の個人や企業名が挙げられているのですが、
その中に、日本の会社、
「住友化学」があるのに気がつきました。
昨年の秋頃にこのサイトを見たときは載ってなかったので、
最近の寄付のようです。
2005年に寄付をしたのは、この会社だけでした。
なんでまた、住友化学が寄付をしてるんだろうと思い、
この会社のサイトを見に行ってみました。
最近は、企業に社会貢献部、というのができているらしい、
ということを聞いてはいましたが、
実際にこの会社では、
いろいろなことをやっていることを初めて知りました。
住友化学は化学メーカーとして
いろんな製品を作っているそうですが、
そのなかで、蚊帳(かや)、しかも
防虫剤を練り込んで、蚊から身を守ることができる
特別な蚊帳を作っているのだそうです。
この特製の蚊帳を
WHO(世界保健機関)を通じて
蚊が媒介となって人にうつる
マラリアが多い地域の国々に供給したり、
現地の会社にその技術を提供したりしているのだそうです。
3by5の基金である、世界基金の正式名称は
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」というのですが、
住友化学はマラリア対策の一環で、
このような寄付をしているのかもしれません。
いずれにせよ、私企業がこのような形で
力を貸してくださっていることを知って、
本当にありがたいと思ったので
今日は寄り道をして
世界基金の集金状況をご紹介してみました。
では、今日はこの辺で。
次回は予定通り、
患者さんの印象的な言葉について紹介しようと思います。
みなさま、どうぞお元気で。
本田美和子
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