お医者さんと患者さん。 「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。 |
手紙244 日本のHIV ビッグイシューのインタビュー こんにちは。 12月1日の世界エイズデーをはさんで いろいろなところで HIV感染症やエイズについて 語られる機会があったので、 目にしてくださった方々も多いかもしれません。 わたしも、広島や東京で 一般の方向けにHIVについて お話をする機会をいただいて、 とても楽しく過ごしました。 昨年、ホームレスの自立を応援している雑誌 ビッグイシュー日本版で HIV感染症の特集が組まれたことをご紹介いたしました。 とてもありがたいことに、 ビッグイシューではHIVについて 継続的に取り上げていこうと考えてくださっていて、 今年もインタビューを受けました。 インタビューの最初の質問は 「昨年の状況から変わったことは何でしょうか?」 というものでした。 返答に詰まる、というのは このようなことなのだなあと わたしは彼女の質問を反芻しながら すごく困ってしまいました。 ・HIVは粘膜と粘膜の濃厚な接触でうつる感染症で、 ・一度感染したら、絶対に治らない病気で、 ・とても良い薬ができていますが、生涯治療が必要で、 ・日本では年1300人を越える人が 「自分が感染していることを知って」 医療機関に紹介されていますが、 ・でも「自分が感染していることを知らない」人というのが 日本にその何倍いらっしゃるのか、 それを知るすべはない。 という状況は、昨年インタビューを受けたときと 何ら変わりないからです。 新しい薬の開発も進んでいますが、 HIVを完治させることはいずれもできず、 ワクチンの開発もなかなか思うようには進んでいません。 「去年と違うことは患者さんの数で、また、増えました。」 というのが、わたしの答えになりました。 もし、来年同じ質問を受けることがあっても その答えはまた同じになってしまうのだろうな、と なんだか悲しくなってきました。 15年ほど前の米国のHIV感染者の男女比は 男性9に対して、女性1でした。 これは今の日本と同じ比率です。 しかし、この十数年の間に、 米国の女性の患者さんの比率は3倍になり、 現在の男女比は7対3です。 日本の女性はご自分のHIV感染リスクは高くない、と 思っている方が多く、 検査を受けることも少ないので 感染が判明する時期が比較的遅いという特徴もあります。 HIV感染症の女性への広がりは、 出産を通じて子供への感染の広がりにつながります。 男性も女性も同じように、この病気について 「HIVはすでにわたしたちの周りに存在する」 という点から 目を向けていただければいいなあと思います。 インタビューの内容は、 現在販売中のビッグイシューの最新号に掲載されています。 ジョン・レノンとオノ・ヨーコの表紙です。 もし機会があれば ぜひお手にとってご覧いただければと思います。 ビッグイシューの定価は300円ですが、 1冊売るごとに160円が販売者の収入になるしくみで 大都市の街角で販売されています。 では、今日はこの辺で。 みなさま、どうぞお元気で。 本田美和子 |
2007-12-07-FRI
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