各国の手書き事情について
APUのみなさんに聞きました。
こんにちはです。
今年、ほぼ日手帳チームでは
「手で書くことの良さをあらためて見直そう」
というテーマを掲げています。
9月には「手で書く手帳展」を開催。
また10月には、立命館アジア太平洋大学
(APU)を社員研修で訪れた際に
留学生のみなさんと「手で書くことについて」
語り合うワークショップを行いました。
その様子は、オンラインマガジン『PingMag』さんで
記事にしてくださっていますので、ぜひご覧くださいね。
手書きに対する、国ごとの意識の違いなど
おもしろいエピソードが満載です!
>>『PingMag』の記事はこちらから。
そして、ワークショップの一貫として
各国からきた留学生のみなさんに
どうやって文字を教えているのか、
「先生側」からのお話もうかがいました!
こちらは手で書く話とはちょっと違って、
どのように日本語を教えているかの話なのですが、
学生さんにインタビューした
『PingMag』の記事と合わせて
お読みいただけたら、うれしいです。
APUの梅田先生と井口先生にも
お話をうかがいました!
「留学生にどうやって日本語を教えていますか?」
写真右:言語教育センターの梅田千砂子教授
写真左:入学部副部長の井口由布准教授
ほぼ日:
学生のみなさんは
最初、日本語がまったくわからない状態で
入学されるんですよね。
そこからどうやって
言葉を覚えていくのでしょうか。
梅田先生:
うちは、プログラムの進度がすごく速いので
教科書の第1課を開けたら、
全部ひらがなが書いてあるんです。
授業で「あいうえお」の書き方から教えるわけでないので、
スタート時点でひらがなが読めないとだめなんですよ。
そこで、授業がはじまる前段階で5日間、
夜7時から9時まで、補習をします。
ひらがなが覚えられない学生には、
こういうふうにイメージで覚えさせていきます。
早い段階でひらがなをマスターしてもらったら
漢字にうつります。
中国の学生はいいんですけど、
ネパールとか、非漢字圏のところから来た人たちにとっては
すごく大変みたいです。
教え方ですが、「川」という文字だけを習っても、
一文字だけだと単なるパーツですよね。
それよりも、大学の近くにある
「春木川」という川の名前や、
「林」なら「小林さん」という苗字で覚えたほうが記憶に残ります。
とにかく手で書いて練習をさせますが、
文字の「はね」や「とめ」までは厳しく言いませんし、
書き順もそのとおりでなくても、実践の場で
「通じる、わかる」ということを強調しています。
ほぼ日:
型にはまった学習よりも
すぐに実生活で役立つ言葉を教える、
ということなんですね。
梅田先生:
そうですね。授業では、もちろん基礎を教えますが
学生たちは日本という国に来て、
生きるために言葉を身につけなくてはいけないんです。
アルバイトをするのにも日本語が必要ですから、
教室で学ぶことが外でいかせるよう工夫しています。
井口先生:
ある学生は、日本語ができなかったときには、
日本語が必要のないバイトをしていたと言っていました。
でも、
「日本語が上手になったら、
もう少し時給のいいバイトにつけるし、
コミュニケーションのとれるアルバイトができる」
と言って、勉強をがんばっていましたね。
ほぼ日:
学生さんたちも、
必要に迫られることで
覚えよう、という気になるんですね。
梅田先生:
はい。それに、うちの学生は
日本の会社に就職をしたい人が多いので、
ゆっくりと学んでいたら
4年後の就職の面接に耐えられないんです。
ビジネス用語や敬語も覚える必要がありますし。
だから授業も、最初の1年生の前期に週12コマ(1コマ95分)、
初級レベルの日本語を集中して勉強し、
後期は週4コマ授業を受けます。
1年間に16コマ勉強しないといけないので、
とてもハードですよ。
井口先生:
梅田先生はすごく厳しいので有名なんですよ。
とても熱心で。
ほぼ日:
はい。お話をうかがっていると、
すごく、情熱を感じます。
梅田先生:
学生からも「厳しい」「速い」と
いつも言われていますね。
だけど、みんな本気でやればできると思うので、
放っておくわけにはいかないんですよ。
最初のオリエンテーションのときに、
「みんな、iPhone欲しいでしょう?」って言うんです。
それで、「欲しい」と返ってきたら、
「じゃあお金がいるよね。
日本語を使ってアルバイトして買おうね!」
と言って、心に火を点けさせています(笑)。
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インタビューの最中、先生が
「これは入学して3週間目の学生が書いた作文、
こっちは4年生が書いた作文なんです」
と資料を見せてくださったのですが、
見比べると、文字の語彙量も内容も全く違っていて、
その成長具合が一目瞭然だったんです。
学生さんたちに短い期間で日本語を
マスターさせるために
先生たちが行っている努力が
いかに大きいかがよく伝わってきました。
梅田先生、井口先生、
どうもありがとうございました!