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キミも、あなたも、とびだせどうぶつの森

nagata
2012/12/10 03:06

「はにわ」的なるもの。

深夜に思うのだ。
「はにわ」とは、なんであろうか。

置物といえば、置物である。
家具といえないこともない。
が、あれほど多種にわたる意味を問われると
うまく答えることができない。

「はにわ」がなければならない理由はない。
「はにわ」が万人が愛されるとも思えない。
「はにわ」はあたりでもないし、はずれでもない。

諸君、「はにわ」とは、なんであろうか。

記憶がたしかなら、「はにわ」は
2001年にニンテンドー64用ソフトとして発売された
初代『どうぶつの森』から存在する。
どうしてあるんだろうね、「はにわ」は。

おそらく、合理的、機能的な面から見れば、
「はにわ」の存在意義はないだろう。
あるかもしれないが、他で代用がきく範囲だろう。
「はにわをなくさないで」と訴えるファンも
いるにはいると思われるけれども、
きっとその人にとっても一番ではないだろう。

推測する。
おそらく、ゲームの新作が話し合われるたびに、
「はにわって、もう、いいんじゃないですか」と
チームの誰かが言ってるんじゃなかろうかと。
「そもそもなんであるんでしたっけ?」と。
「こんなに数、いりますっけ?」と。
「せめてなにか役割をもたせませんか?」と。

推測を続ければ、おそらく場の面々も、
いったんは「そうだね」と理解を示すだろう。
「たしかに見直すべきかもね」と。
「まえもそういう話、したよね」と。
しかし、その合理的な意見に
チームの全員が心から納得することはない。
たぶん、「なんであるんでしたっけ?」と
存在を疑ったその人ですら、
「はにわ」の撤廃をほんとには願っていない。

いや、そもそも、
やりとりからすべて想像だけれどね。
でもたぶん、「はにわ」が残ってるということは
そういうことなんじゃないかなと思う。

思えば、ビデオゲームというものには、
とりわけ、シリーズを重ねるようなゲームには、
「なんであるんでしたっけ?」が
たくさん含まれている。
ゲームは「はにわ」的なもので満ちている。

生まれる理由や背景はいくつもあるだろう。
複数のつくり手が長期間をかけてつくるから、
遊びや隙が生じやすく、
合理性だけで律しきれないこと。
ある時期には意味のあったものが
仕様の変更などによって機能を失ったが
存在を取り去ると整合性がとれなくなるので
そのまま残ってしまうこと。
当初意味を持っていたものが
シリーズを重ねたことで意味を失い
なんとなく残って形骸化してしまうこと。
ひょいっとそれを生みだした開発者が
みんなに愛されていたこと‥‥。

人が知恵を出し合って話し合っていくと、
物事は合理的に整理されていくものだけれど、
合理性と機能性できちきちに締めつけられた
完全な世界のみを人が目指すかというと
意外にそうではないような気がする。
(そこを目指すには相当な強さが必要で、
 それはそれで尊敬すべきことだろう)

しかし、だからといって、
「はにわ」的なものが失われないことが
当然の成り行きだとも思わない。
「はにわ」の存在意義はつねに疑われ続ける。
いつもいつも「はにわ」は
風の前に揺れる灯火のようであるのだ。

「はにわ」的なものが
そこから排除されずに残り続けるとき、
理由はたぶん強い肯定からではない。
「完全に合理的で機能だけの世界は息苦しい。
 ムダであろうと、はにわを残すべきだ!」と
誰かが拳を振り上げて力説するからではない。

推測だらけの原稿の終盤に、
もうひとつ力強く推測しよう。

きっと、「はにわ」的なものが残る理由は、
「ないと、なんかねぇ‥‥」だ。
「かといって、なくすのもねぇ‥‥」だ。
「ま、あったらあったで‥‥」だ。

あるべきだという理由ははっきり言えないが、
ないときの寂しさは、はっきり感じる。
そういう必要のされ方をするものが
世の中にはあって、
それこそが、それを含む全体を
うっすらとかけがえのないものにしている。
その「ないと、なんかねぇ」という
非合理的なものこそが、
個性だったり、文体だったり、世界だったり、
意義だったり、気持ちの源だったりする。
ほんとに、うっすらと、だけど。

たとえば、ほぼ日刊イトイ新聞には
「今日のダーリン」というものがある。
糸井重里が毎日書いている原稿のことだ。

「ダーリン」というのは、
「ほぼ日」が十数年前に細々とはじまったとき、
「人が生きていくうえで使わないことば」として
糸井重里がおもしろがってつかいはじめたものだ。
はじめて「ほぼ日」を訪れる人にとっては、
わかりづらいこと、このうえない。

「ほぼ日」のモバイルサイトとか、スマホ版とか、
ページ全体のリニューアルを考えるミーティングが
社内には定期的にあって、
そこではしばしば「今日のダーリン」という
表現についての意見が出る。
はじめて訪れる人に、不親切ではないかと。
あるとき、一度、意を決して、
仮のページレイアウトにこう書いてみたことがある。

「糸井重里の日替わりコラム」

うわぁ! とそこにいる全員が感じて、
即座にそれは却下された。

そういう「はにわ」的なものが、
ゲームとこの世の中には、しばしば含まれる。
参加している乗組員たち。
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